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ロンギヌス  作者: 白河・DG・夜舟
6回戦

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27/49

27.尾形 均

 フルネームで紹介される、本作品3人目の人物。

 他の人物はすべて名前が出ません。

 みんな、名前があって、生活しているんです。

 それをみんなモブ扱い。

 作者はひどい人です。

 南東京地区予選決勝の球場は、大満員だった。

 両校の応援団や全校生徒もそうだが、一般の観客もぎっしり詰めかけていた。

 応援にも熱が入る。

「本当なら、俺たちがここで試合をするはずだったんだけどな…」

「それはもう言わないんだろう?」

 部員の言葉を、キャプテンがたしなめる。

 能口も同感と思いかけて、止めた。

 勝ったチームだけが、この場に出られるのだから。

「よお、みなさんおそろいで」

 通路から、昭和高校のユニフォームを来た男が一人、降りてきた。

「…尾形、なんでここにいるんだ?今日投げるんじゃないのか?」

 能口は思わず立ち上がって、ライバルと呼ばれた男の顔を見つめる。

 いや、今はもうライバル扱いされないだろうが。

 一回戦敗退のピッチャーと、決勝まで進んだピッチャーの違いをひしひしと感じるだけだ。

「投げるよ。こっちに寄ったのは、ただのサボリ」

 ニカッと笑う顔にはあどけなさが残るが、投げる球は紛れもなく一級品である。

「お前な、そういう油断してると、足元掬われるぞ」

「油断、じゃねえよ」

 尾形は、グラウンドの方を見つめた。

 海浜の選手が、ベンチの前でキャッチボールの練習をしている。

 ひときわ高い、イヌイも脇の方で肩慣らしのピッチングを始めていた。

「お前に、試合前に会っておきたくてな」

 尾形は、能口を真っ直ぐに見つめて、そう言った。

「俺に?」

「サンキューな」

 南洋第一のナインが、一斉に尾形の方を見た。

「なにが?」

「アイツに、会わせてくれてよ」

 言っていてキザだとでも思ったのか、顔を見られないようにソッポを向いた。

「な、なに言ってんだ?」

「…俺、ああいうピッチャー馬鹿と、とことん投げ合うの、夢だったんだ」

「はあ?」

「決勝で、お前とやり合えるのも楽しみにしてたんだが…」

 言われるまでもなく、能口もそのつもりではあった。

 南東京最強をうたわれた打線を、完全に封じ込めて甲子園への手土産にしてやるつもりだった。

 そしてそれは、尾形にとっても同じだろうが。

 しかし、もうそれは叶わない。永遠に。

「…お前の分もとことん投げるからな」

 捨てぜりふのように言い残すと、階段を駆け上がって行ってしまった。

「なんだ、アイツ」

「失礼な奴ですよね…」

 そのまま見送った能口は、名残惜しそうに自分の腕を見つめる。

「アイツも、野球馬鹿なんですよ」


 余裕ある強者ぶり、まさにラスボス。

 投げ合いは望むところ。絶対に俺が勝つ!

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