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ロンギヌス  作者: 白河・DG・夜舟
3回戦

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12/49

12.決着

 いくら投手戦とはいえ、24回まで試合が硬直…

 今のルールだと、翌日再試合になりそうですね。

 当時はそんなものありませんでしたね。

 その辛抱が、ついにきっかけを捕らえた。

 打者が3巡目に入った24回の表、海浜のトップバッターがついに打球を捕らえたのだ。

 ライト前へのクリーンヒットだった。

 しきりにガッツポーズを取るランナーを尻目に、相手校はリリーフの準備をしていた4人目のピッチャーを送りこんだ。

 次のバッターはバントで送ろうとして失敗、ピッチャーフライに終わった。

 三番打者も内野ゴロを打たされたが、ファーストランナーがエンドラン気味にスタートしており、必死に走ってなんとか併殺は逃れた。

 そして、今までの試合で唯一打点を記録している、海浜キャプテンの4番打者。

 今までも、全く打てる気配はなかったが、データでは回の後半にいけば行くほど打率は上がっているようだ。

 2アウトとはいえ、ランナー二塁。

 ヒットを打たれると、点を取られる。

 どうせ、一塁も開いているのだ。

 監督からのサインは、「敬遠」だった。

「おい、敬遠だってよ」

「こんな打てそうもない四番にか?」

「まあ、判らなくもないがな。とにかく一点もやる訳には行かないからな」

 キャプテンは、そう言って深く頷いた。

 実際、作戦としては間違っていない。

 相手校の監督も、そう思っていた。

 こんなジャージ姿のチーム相手に逃げるような戦術を取ることに、後ろめたさはあったのだが。

「おい、敬遠か!」

「卑怯だぞ!」

「真剣にやれよ!」

 珍しく海浜のベンチから野次が飛ぶ。

 普段は味方への声援しかかけていなかったのだが。

 そして四番バッターも、バットをピッチャーに向けて怒鳴った。

「勝負しろ!」

 ピッチャーはいまいましそうににらみ返すと、監督の指示を扇いだ。

 いくら急造ピッチャーとはいえ、まだ最初の対決である。

 前のピッチャーが打たせなかったように、抑える自信はあった。

 だが、監督はあくまで敬遠を指示した。

 感情に流されて、試合を落としたくなかったのだ。

 監督の指示に頷き返し、次の敬遠球も大きく外した。

 その時である。

 セカンドのランナーが、三盗を試みたのだ。

 お世辞にも足が速いとは言えなかったが、その必死に走る姿に、キャッチャーも動揺した。

 念入りに外された敬遠の球はあまりに遅く感じられ、捕球が遅れた上に、送球動作もバランスを崩した。

 四番バッターがホームランでも打つような勢いで援護の空振りをしたことも、送球の狙いを惑わせてしまった。

 ランナーを刺しにいったボールが、ベースカバーについたサードのグローブを大きくそれて、転々とグラウンドを転がっていく。

「回れっ!回れっ!」

「行けえっ!」

 海浜ナインが、半ばベンチを飛び出して、必死に駆けるランナーに声援を送る。

 ランナーが三塁を蹴って、ホームに駆け込んでくる。

 ようやく追いついたレフトが、肩も抜けよとばかりに矢のようなバックホームを投げ込んだ。

 だが、ボールが返って来た時には、もうランナーはホームベースに滑り込んだ後であった。

「やったあっ!勝ったあ!」

 一斉に群がり集まってくる海浜ナイン。

 応援席も、まるでお祭騒ぎのようだっだ。

 揉みくちゃにされながら、生還したランナーは泣きじゃくっていた。

 取り囲むみんなも、泣きじゃくっていた。

 そんな様子を、呆然と相手校の選手が見つめていた。

 応援席の、南洋第一の選手たちも、見つめていた。

「さっきの四番、勝負しろって言ってたのは、相手ピッチャーにじゃなくて、セカンドランナーへのサインだったんだな」

 能口も、大騒ぎしている海浜ナインを見つめながら、そう呟いた。

「…そうだな」

 キャプテンがちょっと悔しそうに、そしてちょっと照れくさそうに答えた。

「海浜、下手くそばかりだが、いいチームだな」

 南洋第一ナインは、誰も頷かなかった。

 そんな下手くそなチームに負かされた悔しさと、そんなことを認めたくない照れくささが、認めることを無意識の内に拒んでいた。

「…まるで、決勝に勝ったみたいな騒ぎだな」

「…俺たちだったら、地方大会で勝った位で、あんな大騒ぎしないよな」

 だから、負け惜しみのような事を口にするしかなかった。

「…しない、んじゃないよ」

 能口は、エースだったピッチャーは、そう呟いた。

「なに?」

「ただ、忘れていただけだよ。勝った時の喜び方を…」



                             (続く)


 この勝ち方は楽しい。

 みんな一生懸命にやって、策が実っての勝利。

 負けた方はショックが大きいですね。

 1点取られたら負けなんですから、3塁に向かうランナーを刺しに行ってはいけませんでした。

 落ち着いて敬遠を続けて、ランナー1,3塁で次のバッターを仕留めておけば、事故は起きないはず。

 だって2アウトなんですから、スクイズや犠牲フライはない。

 監督か、キャッチャーは方針をもう一度確認しておくべきでしたね。

 油断してはいけないのですいけないのですよ。

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― 新着の感想 ―
ひとまず、ここまで読ませて頂きました。 選手の名前とか、一期一会の関係の相手に名前付けちゃうとかえってわかりにくくなりますもんね。特定のキャラに絞って際立たせるのはいいと思います。 乾火馬の名前が後…
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