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第四章 十八


 告白して、返事をもらって、一緒に郷里に来てほしい 手をつなぎたい 接吻したい 抱きしめたい 裸にしたい 舐めまわしたい 夫婦になってほしい 道場の後継になってほしい 料理を作ってほしい 彼の子がほしい ほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしい



「こんなところで死んでられるかあっ‼ 」


 私はこれからやりたい事を見つけたばかりで、何ひとつ行動に移していないじゃないか。こんな黒毛玉に私の人生終わらされてたまるか!


 爆発するほどの精神の励起とともに、急激に思考が回転し始め、生き残るための道を力の限り疾走する。


 そもそも"もり"は拳大の毛玉が群れとなったものだ。薬師の隠れ家からここへ来る時、フラウラの合図に統率された動きを見せていた。目の前の黒いヤツも、同様の動きをしているところを見ると、指導者の役割をしている毛玉が必ずいるはずだ。先ずはそいつを探し出す。


 私は両手の剣をめったやたらに振り回して、黒い球体に斬り込んでみた。するとそれは素早い動きで散開し、少し離れた場所で再び集結する。その中心には……

……

いた。



他の"もり"よりひとまわり大きいヤツがいて、そいつの周りに集まっている。


アレを殺ってやる。


 明らかに精細を欠く私の攻撃を見切ったのか、黒い球体は右へ左へゆらゆらと揺れ、遊ぶような動きをしている。


 足元には先ほど斬り捨てた触手の先の部分が、死んだ黒い"もり"となって転がっている。少なくとも斬られれば死ぬことは確かだ。問題は素早く統率のとれた動きのアイツらにどうやって一刀を喰らわすかだ。幾度斬りつけようとも、刃の寸前で上下左右に分かれ、当たるどころかかすりもしない。剣の動きを見ているというよりかは、刃が来る前に避けられている。


 恐らくはあのぎっしりと生えた毛が触角の役割を果たしていて、剣の動きで乱れる空気の振動を察知して避けているのだ。あの毛がある限り、私の剣が直接アイツらに当たることはないだろう。


 それとも空気に伝わるよりも先に斬るような、伝説の奥義にでも挑戦してみるか。


 絶望的な状況の中、私は両手の剣を地面に刺し、胸の痛みに耐えながら軽く息を吐く。


 ふとある光景が目に止まった。


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