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ソリタ  作者: Albert
ピエール
5/20

夢のために

プリシュール:「それで……あなたの夢は何ですか?」

ピエール:「俺の夢、か……」

それは25年前の夜のことだ。俺はまだ幼かった。普段なら日が暮れる前に寝てしまうのだが、なぜかその日は寝付けず、夜更けまでベッドの中で寝返りを打っていた。

ふと窓の外を見ると、そこには見たこともない世界が広がっていた。真っ暗ではなく、かといって昼間のような明るさでもない。燃えるような赤い太陽は姿を消し、代わりに灰白色の光が満ちていた。空には小さな白い点が無数に散らばっている。

その日、俺は太陽が再び赤く染まるまで、一睡もしなかった。

朝になると、興奮気味に両親へ昨夜見たものが何だったのか尋ねたが、二人とも知らなかった。街の人全員に聞いて回ったが、答えを知っていたのは教主様だけだった。教主様は物知りで、当時の俺にとっては先生のような存在だった。彼は空についての知識をたくさん教えてくれた。

夜の太陽は「月」と呼び、白い点は「星」という。俺たちが住んでいるこの場所は「地球」という丸い形をしていて、星も太陽も月も、そして天そのものも球体なのだと。それらは地球を中心に回っているのだと。それ以来、俺は毎晩のように窓の外を眺め、美しい空を鑑賞するようになった。いつも夜遅くまで起きていた。

当時の俺は、空に関する知識をたくさん吸収した。

だが大人になると、家の手伝いに追われ、教主様を訪ねる時間はどんどん減っていった。やがて、全く行かなくなってしまった。

ピエール:「俺の夢は、夜の空を心ゆくまで眺めることなんだ。もっと夜の空について知りたい」

プリシュール:「天文学者、ですね」

ピエール:「天文学者?……それは何だ?」

プリシュール:「空を専門に研究する人のことです。普通は裕福な人がなるものですが」

ピエール:「……俺になれると思うか?」

プリシュール:「それは何とも言えませんが……。ほら、もう時間も遅い。まずは帰りましょう」

家に着くと、俺は宣言した。

ピエール:「母さん!俺、天文学者になりたいんだ!」

母さん:「……何を言ってるんだい?」

母さんは目を見開き、驚愕の表情で俺を見た。

父さん:「お前はこれからも農夫として生きるんだ」

父さんの声は低く、怒りが混じっていた。

ピエール:「どうしてだよ!」

父さん:「農夫という確かな仕事を放り出して、天文学者だなんて。天文学者への道がどれほど険しいか、わかっているのか?」

ピエール:「でも、これが俺の夢なんだ!」

父さん:「夢が飯を食わせてくれるのか?」

父さんの声が荒くなる。

ピエール:「夢は飯を食わせてくれないかもしれない。でも、自分の夢じゃないことで手に入れた飯なんて、きっとちっとも美味くない!」

両親は一瞬、沈黙した。

父さん:「……わかった。応援しよう。お前ももういい年だ。だが、夢を追うための金は自分で出しなさい。給料はいつも渡しているはずだ」

ピエール:「わかった!ありがとう、父さん!来月にはここを発つよ」

母さん:「本当にいくのかい? 苦労する道だよ……」

母さんの顔には不安が滲んでいた。

ピエール:「ああ、自分で決めたことだ」

翌日。

プリシュール:「そうだ、教主様に聞いてみてはどうですか?」

ピエール:「ああ、あの人なら詳しいはずだ」

教会にて。

ピエール:「教主様、俺、来月プリシュールと一緒にこの村を出ることにしたよ」

教主:「なぜだね?」

ピエール:「夢を叶えるためです」

教主:「夢?」

ピエール:「天文学者になりたいんです」

教主:「なるほどな……。だが、なぜ私のところへ?」

ピエール:「どこで天文学を学べるか聞きたくて。昔、空のことをたくさん教えてくれた教主様に、どうしても相談したかったんです」

教主:「W村へ行きなさい。ここからそう遠くない。私の知識も、元々はあそこで学んだものだ」

ピエール:「わかりました!ありがとうございます。じゃあ、行きますね。バイバイ!」

教主:「待ちなさい!」

その力強い声に、俺たちは足を止めた。

教主:「これは私からのささやかな気持ちだ。受け取りなさい。中には少しばかりの金が入っている」

教主はピエールに一袋の金を差し出した。

決して多くはないが、自分の貯金と合わせれば、あちらでしばらく生活するには十分な額だった。

ピエール:「……ありがとうございます!」

教主:「これが最後になるかもしれんな」

ピエール:「また会いに来るよ。バイバイ!」

プリシュール:「さようなら」

教主:「さらばだ」

一ヶ月後、出発の日。

俺は家の前で両親に別れを告げた。

母さん:「外では体を大切にするんだよ。ちゃんと食べて、水もたくさん飲むんだよ」

ピエール:「もう32歳だよ、子供じゃないんだから。……じゃあ行くよ。バイバイ! プリシュール、行こうぜ!」

父さん:「ああ。気をつけてな」

母さん:「元気でね。帰りたくなったらいつでも戻っておいで」

プリシュール:「さようなら!」

こうして、俺とプリシュールの天文学者を目指す旅が始まった。

つづく。

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