相手の過去(上)
プリシュール:「さあ、家に着きましたよ」
とても絶妙なタイミングで、プリシュールが話を終えると同時に、僕たちは家へ到着した。
プリシュール:「私は先に夕食の準備をしますから、君はテーブルで待っていなさい」
プリシュールが夕食の支度をする間、僕はテーブルに座り、彼がなぜあの物語を僕に聞かせたのかを考えていた。
プリシュールは僕の疑問に気づいたようだった。彼は本当に凄くて、いつも僕の顔の表情を見ただけで、何を考えているのかを言い当ててしまう。
プリシュール:「なぜ私が今の話を君にしたのか、気になっているのでしょう?」
彼は夕食を作りながら、そう声をかけてきた。
クオ:「……そんなに顔に出てた?」
プリシュール:「ええ、とても分かりやすく」
クオ:「じゃあ、どうしてあの話を僕にしたの?」
プリシュール:「あの物語の少年が、君とよく似ているとは思いませんか?」
クオ:「似てる? どこが?」
プリシュール:「君は、あの教主の助手が憎いですか?」
クオ:「当然だよ。あいつが僕の両親を殺したんだから」
プリシュール:「では、あいつを殺したいですか?」
クオ:「当たり前だ! 両親の仇を討ってやる」
プリシュール:「物語の中の少年は、エンレットを殺した後、他の者たちによって生きたまま焼き殺されました。そして、神を信じない者たちはさらに教主を嫌悪するようになった。双方が自らの立場を理由に傷つけ合えば、そうした殺し合いは激化する一方です。それでは根本的な解決にはなりません」
クオ:「あんたに何が分かるんだよ! あんたの両親は教主の奴らに殺されたのか? どんな資格があって、僕に憎むななんて言うんだ! それに、あの忌々しい助手にどんな理由があろうと、僕の両親を殺していいわけがないだろ! たとえ理由があったとしても、どうして僕が許さなきゃいけないんだ? 許す義理なんてどこにあるんだよ!」
プリシュール:「……まず、落ち着きなさい。冷静になったら、まだ君に話したいことがあります」
クオ:「落ち着くだって? こんな状態で落ち着けるわけないだろ!」
僕は考えれば考えるほど腹が立ち、夕食も食べずに、そのまま自分の部屋に戻ってベッドに横たわった。
プリシュールは僕を引き止めなかった。しばらくして、彼はおそらく食事を終えたのだろう。僕の背後へと歩いてきて、彼がいつも寝ている場所に横になる気配がした。
プリシュール:「クオ、もう眠りましたか?」
クオ:「……まだ」
僕はまだ怒っていたけれど、言葉を交わすくらいには落ち着いていた。
プリシュール:「先ほどのことは謝ります。君の気持ちを考えず、自分の意見を一方的に押し付けてしまいました。ごめんなさい」
彼から謝罪の言葉を聞いた時、僕の怒りはほとんど消え失せていた。彼に悪気があったわけではないと、声から伝わってきたからだ。
クオ:「それで……さっき言おうとしていたことって、何?」
プリシュール:「この後も、冷静でいると約束できますか?」
クオ:「……たぶんね。話してよ」
プリシュール:「では、話しましょう……君は、あの教主の助手が、なぜあれほど異教徒を憎んでいるのだと思いますか?」
クオ:「子供の頃から、そういう観念を植え付けられて育ったからじゃないの?」
プリシュール:「他の者なら君の言う通りかもしれませんが、彼は少し違います」
クオ:「どういうこと?」
プリシュール:「彼の名はバンハ。彼の両親は、異教徒に殺されたのです。あの日、バンハはいつものように教主と話をしてから帰宅しました。ですが家に入ると、彼の両親は二人の強盗と相打ちになり、倒れていたのです。教主は彼に、これこそが異教徒の恐ろしさであり、だからこそ根絶やしにしなければならない、そうすれば二度と他の犠牲者は出ないと告げました。……しかし数ヶ月後、彼は教主と共に別の村へ赴き、そこで教主のもう一つの顔を目にすることになります。それがきっかけで、彼は自分の進む道が正しいのかどうか、疑念を抱き始めました」
クオ:「あいつがどうしてそうなったのかは理解できたよ。……でも、だからって許せるわけじゃない。それから、一つ気になるんだけど、どうしてそんなことまで知ってるの?」
プリシュール:「私は先週、彼と会いました。……今回、君を彼の元へ連れて行こうと思っています。行きたいですか?」
クオ:「行く。行って、あいつときちんと話がしたい」
プリシュール:「彼に会っても、決して手を出してはいけませんよ」
クオ:「分かった。できるだけ我慢するよ」
つづく。




