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ソリタ  作者: Albert
エンレット
15/20

悪魔の定義とは?

五年後。

父と初めて異教徒狩りに行って以来、教主になりたくないという思いは日に日に強まっていった。父も、そんな私の様子に気づいているようだった。

父:「エンレット、お前は教主になりたいか?」

二十一年間生きてきて、初めて聞かれた言葉だった。これまではいつも「エンレット、お前は次期教主だぞ」と言われてきたのに、彼は初めて私に問いかけたのだ。

エンレット:「……どうしてそんなこと聞くの?」

父:「なりたくなさそうに見えるからだ」

(……そんなに顔に出ていたのか?)

エンレット:「そんなことないよ!」

(……本当は、なりたくてたまらない!)

父:「そうか、わかった。……そうだ、明日は異教徒の掃討に行く。深夜に出発するから、早く休んでおけ」

エンレット:「……わかった」

そうして深夜、午前二時か三時頃に私たちは起床し、隣の村へと向かった。そこは異教徒たちに占拠されたという。我々と他村の教主たちが協力し、助っ人を連れて鎮圧に向かうのだ。今回の相手は非常に手強いらしい。

父:「なぜ深夜に動くか、わかるか?」

エンレット:「どうして?」

父:「この時間が奴らの防衛が最も手薄になるからだ。占拠して数日、奴らは精根尽き果てているはずだ。多くの死人を出し、深夜の見張りも重なれば、疲労はピークに達しているだろうよ」

エンレット:「それで、三日も待ってから動いたのか」

父:「その通りだ」

村に到着すると、村の周囲には多くの見張りが立っていたが、我々には気づいていない。

私と父、そして村の助っ人たちは近くの草むらに身を潜めた。他村の部隊はどうなっているだろうか。すでに攻め込んでいるのか、それともまだ道中なのか。

父:「奴らの目を見てみろ」

エンレット:「……焦点が定まっていないし、足取りもふらついている。ずっと寝ていないんだね」

父:「いい観察眼だ。……それとな、もしお前が奴らの立場で、村を占拠して何日も援軍が来なかったら、どう考える?」

エンレット:「……僕なら、もう敵は来ないと思う」

父:「正解だ。奴らもそう思い込んでいる」

エンレット:「どうやって攻め込むの?」

父:「私がまず囮になって火力を引きつける。その隙にお前たちは村へ潜り込め」

エンレット:「……他の人を派兵できないの?」

父:「私の経験からして、あの異教徒どもは首に懸かった賞金で動いている。殺せば殺すほど稼げる仕組みだろう。私のような緑の髪の教主は、さぞ高値がつくはずだ。奴らの目は私に釘付けになる。そこがお前たちのチャンスだ。安心しろ、私は死なん」

そう言うと、父はゆっくりと立ち上がり、敵の方へと歩き出した。

「おい、あいつは誰だ?」

「おい見ろ、髪が緑色だぞ!」

「ありゃ相当な賞金首だぞ!」

「追え! 逃がすな!」

一人が父の方へ向かうと、父は反対方向へ走り出した。

「おい、ここを守るんじゃなかったのか?」

「もう何日も経ってるんだ、誰も来やしねえよ! 目の前の賞金を逃すつもりか?」

「でも……」

「ならお前だけ残れ! 俺たちは賞金を掴みに行ってくる!」

「……わかったよ!」

結局、残った見張りは一人だけになり、他の奴らは皆父を追いかけていった。

三十秒後、我々は一斉に飛び出し、残った一人を打ち倒して村の中へと突き進んだ。

進んでいく道中、なぜか敵の姿はなかったが、あちこちに村人の死体が転がっていた。二メートル歩くごとに死体がある、そんな惨状だった。

「ひどいな……異教徒にここまで荒らされるとは」

「ここの教主が、あまりに善良すぎたのが仇となったな」

エンレット:「善良すぎた? どういう意味?」

私は気になって尋ねた。

「知らなかったのか? あの異教徒どもは一度捕まったんだが、ここの教主が奴らの反省したフリに騙されてな。改心したと信じて村に受け入れた結果が、これだ」

「異教徒ってのは、決して変わらんのさ」

エンレット:「そんな背景があったのか……」

私たちは話をしながら敵を探したが、村の中は静まり返っていた。やがて……。

「他村の者か?」

「お前たちは?」

「L村の部隊だ」

「敵は全部片付けたのか?」

「ああ、終わったよ」

「教主様を助けに行かなくていいのか?」

「お前たちの教主がどうした?」

「敵に追われているんだ」

「なら急いで――」

「……その必要はないぞ」

遠くから声がした。父の声だ。

エンレット:「父さん! よかった……」

霞んでいた視界がはっきりしてくると、戻ってきた父の姿が見えた。……彼の片腕は、失われていた。

追跡されている間に何があったのかは分からない。ただ、彼は生きて帰ってきた。

任務はこうして終わった。占拠された村に、生存者は一人もいなかった。

家に戻り、ベッドに横になって休む。

(……教主の中にも、あんなに善良な人がいたんだな)

(だが、その善良さが彼の死を……村の滅亡を招いた)

(他の教主たちが情け容赦なく異教徒を処刑するのも、民の安全を守るためなのか。誤認であっても、見逃すよりはマシだと考えているのか……)

(……それが教主という存在の目的。悪魔の上着を羽織った人間……)

(そして俺は、いつかその上着を着なきゃいけないんだ)

(でも、それじゃあ、間違われて殺される異教徒があまりに不公平じゃないか……)

この世界、一体何が正しいんだ……。

つづく。

今後は週に一度更新されます。

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