表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流浪の不死者  作者: Albert
エンレット

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/32

いわゆる異教徒

父:「新しい月が始まったな、エンレット。明日の朝、お前を異教徒狩りに連れて行く。また別の村から異教徒どもが紛れ込んできたようだ」

異教徒狩り。それは危険な仕事だ。捕まらぬよう、異教徒たちは護身用のナイフを忍ばせていることが多い。

エンレット:「異教徒狩り? それってすごく危ないんじゃないの?」

父:「危ないからといって避けていては、一生覚えることはできん。エンレット、私がいつかいなくなった時、これらはお前の任務になるのだ」

エンレット:「わかったよ……。でも、僕が足手まといにならないかな?」

父:「誰に向かって言っている。お前の親父は強いんだぞ!」

エンレット:「……ちょっと気になるんだけど、その異教徒たちはどんな罪を犯したの?」

父:「『神は存在しない』と考えている。それが奴らの罪だ」

翌日、父は一団を連れて村の中を二手に分かれて探し始めた。今回の異教徒は十五人ほどだという。かなりの人数だ。

父:「見ろ、あそこの男だ。あれが標的だ」

その男は、どこにでもいる普通の村人にしか見えなかった。私には、なぜ彼が異教徒なのか全く分からなかった。

エンレット:「どうやって見分けるの?」

父:「他村の教主から人相や歩き方、服装を聞いている。奴の振る舞いはすべて合致する。よく見てみろ、数歩歩くたびに周囲を観察しているだろう。警戒心が非常に強い。……我々のこの髪色は目立つからな。ほら、これを貸してやる」

父から手渡された頭巾を、私は頭に巻いた。

父:「ここで見ていろ。動くんじゃないぞ。私が捕まえてくる」

私:「わかった」

父は一般の村人を装って男に近づいた。三十歩、二十歩、十歩、そして三歩……。異教徒が気づいた時には、もう遅かった。

異教徒:「あんた、誰だ? 何の用だ」

父:「新しく来た村人かい? うちのパンは旨いぞ、食べていかないか」

父はパン屋のふりをして声をかけた。

異教徒:「……いや、いい」

男は即座に数歩下がり、父と距離を取った。

父:「そうか、残念だ」

父が目配せをした瞬間、背後から伸びた刃が異教徒の喉を切り裂いた。

男はそのまま崩れ落ちた。

「きゃあああ!」

周囲の村人が悲鳴を上げる。

「人殺しだ!」「怖い! あの人たち、異教徒なの? 誰か教主様に知らせて!」

父:「皆、落ち着きなさい」

父は頭巾を脱ぎ捨て、正体を明かした。

父:「こいつは異教徒だ。世を乱さぬよう、私が処分したのだよ」

「ああ、教主様でしたか! お疲れ様です!」

「異教徒なんて恐ろしい。教主様が守ってくださるおかげで、私たちは襲われずに済むんだわ」

この、髪色だけで判断する連中め。教主が殺せば正義で、異教徒は人間ではないというのか? そもそも、この人たちは何も悪いことなんてしていないじゃないか。異教徒は人間として扱われる価値もないのか?

「彼らが異教徒なのは、ただ、彼らが『少数派』だからですよ」

その声は、昨日私に話しかけてきたあの声だった。隣を向くと、やはりプリシュールが立っていた。

エンレット:「……どうしてここに?」

プリシュール:「ただの通りすがりですよ」

エンレット:「……あんた、捕まるのが怖くないのか?」

プリシュール:「私は異教徒ではありませんから」

エンレット:「リストには載っていないのか?」

プリシュール:「ええ、うまく隠れていますから」

エンレット:「……ならいいけど」

プリシュール:「お父上も片がついたようですし、見つかる前に私は行きます。さようなら」

エンレット:「バイバイ」

プリシュールは去っていった。

父:「一人片付いたな。あと十四人だ、気合を入れろ!」

こうして、私は夕方まで父の異教徒狩りに付き合わされた。

父:「これくらいでいいだろう。残りは逃げ出したはずだ。他村の連中に任せるとしよう」

エンレット:「あと何人残ってるの?」

父:「人相と人数からして、残るは二人だ。つまり、我々は十三人の異教徒を仕留めたということだ」

エンレット:「……でも、みんな死んじゃったよ」

父:「死んだのは肉体だけだ。奴らの悪魔の魂はまだ生きている。十字架に縛り、火で焼き尽くさねばならん」

エンレット:「……そうなんだ」

父:「この仕事は通常一、二週間に一度だ。手紙が届いたら準備を始めろ。悪魔どもは逃げ足が速いからな」

エンレット:「……わかった。頑張るよ」

(……何が仕事だ。人を殺せっていうのか? まっぴらごめんだ!)

翌日。

街の広場には十三人が整然と十字架に縛り付けられていた。私を含め、多くの村人がそれを取り囲んでいる。父が火を放つと、十字架の人々は炎に包まれ、何も残らずに焼き尽くされた。

「神よ、我らをお守りくださり感謝します!」

「神よ! 異教徒に審判を下したまえ!」

「ようやく報いを受けたわ、忌々しい異教徒どもめ!」

……神を信じないというだけで、彼らは殺された。

またあの村人たちだ。どうして人の死を「自分たちを守るため」だと思えるんだ。報いだって? 彼らは何も間違ったことなんてしていない!

……どうやら、本当の悪党は、俺たちのほうらしい。

つづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ