035
あれから二週間後の日曜日、
柊吾の結婚式が行われた。
12月に入った今でも、銀杏は紅葉している。
挙式は進んでいき、指輪交換の時間になった。
新郎新婦と参列者達は、一斉に式場のドアへ
目を向けて、カメラを構える。
ドアが開くと、そこにはタキシードを着た
シルバがお座りして待っていた。
襟元には、美青が銀杏の葉で作った
リボンが付けられている。
シルバはバージンロードを駆け抜け、
柊吾の元へ一直線に突き進む。
そして、背を向け、背負っていた指輪を見せる。
シルバは立派にリングドッグの役目を果たした。
褒めてほしくて撫でられるのを待つシルバと
涙を流しながらシルバを撫でて褒める夫婦。
式場内ではフラッシュがそこらじゅうで光り、
シャッター音が鳴りやまなかった。
叶望神社では、美青がシルバを心配し、
上の空で銀杏の落ち葉を集めている。
美青「シルバ、ちゃんと指輪届けられたかな」
叶実「大丈夫よ、あの子なら絶対成功するわ」
叶実は琥珀を膝にのせて縁側に座って
庭掃除をサボっている。
美青「もー!サボってないで一緒にやってよ!」
叶実「仕方ないじゃない、琥珀が離れたくないって。
ね、琥珀」
琥珀「ニャー!」
美青「琥珀…今日はカリカリに鰹節をかけて
食べさせてあげようと思ったのに…残念だね」
琥珀は美青の言葉を聞いて
瞬時に叶実の膝から離れた。
叶実「ちょっと美青!食べ物で釣るのは卑怯よ!」
美青「そうでもしないと掃除やらないでしょ!!」
叶実「少し休んだらやるつもりだったわよ!この!!」
叶実が箒を掲げて美青を追いかけまわしてる。
琥珀はこたつから少しだけ顔を出して、
二人の追いかけっこを眺めていた。
後日、秋本さんから神社宛に手紙が届いた。
封筒にはお礼の手紙と、
結婚式の写真が数枚同封されていた。
叶実「嬉しそうな顔しちゃって。よくできました」
美青「あれっ!?あ、気のせいか…」
シルバの襟元に付いた銀杏のリボンが
美青の目には一瞬、
心の声を吸い取ったモンキチョウに見えた。
美青はリボンを作る時、
毎年仲良く家族記念日に公園へ行けるようにと
強く願った。
例えどんな困難が立ちはだかろうとも、
家族とその思い出だけは疎かにせず、
いつまでも大切にしてください…と。




