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闇吸蝶図鑑  作者: 夜宵
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美青「秋本さんが記念日を覚えていないと思って

逃げ出したんだね…大事な日だもの、例え今が

大変な状況でも、忘れてほしくないよね」



叶実「こんな可愛い子に気を遣わせて…馬鹿ね。

犬は賢いから人間の空気だって感じ取れるもの、

毎日のように喧嘩されてたらストレスも溜まるわ」



美青「どうする?蝶花楼さん…」




叶実「シルバ。明日の朝、一緒に思い出の公園に

行って彼を待ちましょう。あなたが逃げたのも

彼のことを確かめたかったからでしょう?」



叶実の問いかけに、シルバは尻尾を振った。



美青は事情を琥珀に伝え、家の中にシルバを入れた。



シルバは嬉しそうに琥珀に近付くが、

琥珀はうーっと唸った。



しょんぼりしながら後退りして、

部屋の隅に移動して座るシンバ。




30分くらい経ってからだろうか…


上目遣いで琥珀の顔色を伺うシルバを見て、

琥珀はゆっくりと歩み寄り、くっついて寝始めた。



野良犬だったシルバの気持ちが、

一時迷い猫になった琥珀にも伝わったのだろう。




叶実「美青!可愛いが大渋滞してるわ!!」



あまりの可愛さに、叶実は写真を撮りながら

料理中の美青に向かって実況を始めた。





その夜はシルバが加わって一段と賑やかになった。



シルバはご飯を沢山食べてすぐに眠ってしまった。




美青「おやすみ、シルバ。安心して寝るんだよ」



美青はシルバに布団をかけ、頭を撫でた。









翌朝、


朝日が昇りきる前に、シルバの先導で

思い出の公園に向かった。



公園につくと、シルバの過去の記憶と同じ、

山積みになった銀杏のベッドがあった。



シルバは嬉しそうにベッドへと飛び跳ね、

朝日をじっと眺めている。




叶実と美青は、その様子を

少し離れたところで見ていた。



叶実の肩には、モンキチョウが乗っている。



澄んだ空気には、シルバの真っ白な息が浮かぶ。




もうすぐで朝日が昇ってしまう


その時だった。




柊吾「シルバ!!シルバ、いるか!!」



柊吾の声だ。

早朝なので、迷惑にならない程度の声で叫んでいる。



シルバは尻尾を振りながら、くぅーんと鳴く。



叶実は肩にいた蝶を柊吾の耳に向かわせて

シルバの心の声を注入した。




柊吾の顔はだんだん崩れていき、

記憶の再生が終わる頃には座り込んで泣いていた。




柊吾「シルバ…!ごめんな。本当にごめん」



シルバは泣き崩れる柊吾の元へ駆け寄り、

頬に伝う涙をペロペロと舐めた。




柊吾は慰めてくれるシルバを抱きしめて、

こう言った。




柊吾「今日のこと、忘れるわけないだろう。

あの時約束したじゃないか、毎年来ようって」



シルバはその言葉に、笑っているような顔をした。




そして柊吾は持っていた袋から

犬用フードを手に取り、シルバに与えた。



ご飯を食べ終えたシルバの目には

あの日のように、

柊吾と朝日が反射して輝いていた。




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