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死後につくる、新しい家族  作者: 火蛍
第13章 友情の光
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奇妙な共通点

今回は前半がタカノ視点、途中から三人称視点になります。

 「あー、どうしたもんかな……」


 ある日の夜、俺とオズの二人はアリスに手を焼かされていた。

 どういうわけか急に泣きだしてそれっきりぐずり続けているのだがその理由がさっぱりわからない。

 ご飯でもなければおむつの交換でもない、それに遊びたいわけでもなければ眠たいわけでもないようだ。

 せめて考えてることの一つぐらいわかれば対処もできるんだが……


 「あーよしよし。ほら、いい子だから笑って笑ってー」


 オズもなんとかしてあやしているがさすがにお手上げ状態だ。

 かれこれもう十数分もこの調子だ。


 「ただいまー!」


 俺たちが悪戦苦闘している中、ミラの声が聞こえてきた。

 ちょうどいいタイミングでの助け舟だ。

 

 「!?」


 ミラの声に反応してアリスは声のする方に身体を乗り出した。

 まさかとは思うがミラがいなくて寂しかったから泣いてたのか?


 「ミラ、ちょうどいいところに帰ってきた。アリスをあやすのに協力してくれないか?」

 「お姉ちゃんに任せなさい!」


 ミラは得意げに小さな胸を張るとアリスの方へ近寄った。

 対するアリスもミラの腕に移ろうとオズの腕の中から身体をいっそう大きく乗り出す。


 「アリスはなんで泣いてたのかな?お姉ちゃんに教えて、サンティマ・デビュ・ソロ」


 ミラはアリスの顔の前に右手をかざすと精神干渉の魔法を発動させた。

 そうか、言葉が離せない赤ちゃんが相手でも精神干渉なら考えていることが正確にわかるのか。


 「そっか。お姉ちゃんいなくて寂しかったのかー。ごめんねー」


 ミラに抱かれたアリスは泣き止んだかと思えば急に上機嫌になった。

 元々ミラがかなり可愛がっていたからというのもあるだろうが早くもシスコンの片鱗が見えてしまっている。

 先が心配だ。


 「何はともあれ、やっと静かになってくれてよかった……」


 オズはソファに腰かけたかと思うとそのまま力なくへたり込んだ。

 俺が仕事に出ている間はずっとアリスとこんなやり取りしてるんだよな。


 「もしかしてアリスってミラの言うことなら何でも聞くんじゃ……」

 「あー、あり得るかも……」


 あり得るというか、あんなのを見せられたらそうだと確信するほかにない。

 ミラに言い聞かせてもらえば寂しさで泣いてしまうことはなくなるんじゃないか?

 何はともあれ、ミラのおかげで助かった。


 「ありがとな。助けてくれて」

 「困ったときはお互い様、でしょ?」


 ミラはニコニコしながらなんの恥ずかしげもなく言葉を返した。


 「……そうだな」


 いやぁ本当、いい子に成長してるなぁ。


 

 そして翌朝。

 

 「寂しくなっても泣いちゃだめだよ。お姉ちゃんとの約束だからね?」

 「う!」


 ミラからの言いつけに対してアリスは元気よく手を挙げた。

 赤ちゃんがどこまで約束を守れるのかわからないけどひとまず信じてみるか。

 

 

 ――――――――


 「おはよー!」

 「おはようミラちゃん」


 学校の校門前でミラとユキノは合流して朝の挨拶を交わした。

 そして同じ教室へと入り、同じ授業を受ける。


 その日の『属性論』の授業の中で興味深い話題が浮上した。

 『二つの属性を持つ魔法使い』のことだ。


 「一般的に魔法使いが持つ属性は一つとされていますが、ごくまれに第二の属性を持つ魔法使いが発生することがあると言われています。そんな特異な存在を我々の間では『二重持ち』と呼んでいます」


 教師の話を聞いたミラは教室の様子をキョロキョロと見回した。

 

 「どうしたのミラちゃん」

 「あ、ううん、なんでもないよ」


 普段と違って落ち着きなく視線が移り変わるミラにユキノがこっそり声をかけた。

 それに対してミラは平静を取り繕うが彼女は元来嘘をつくのが苦手、しかも相手は人の心を読む力を持ったユキノだ。

 嘘はあっさりと見抜かれてしまった。


 「えっ、ミラちゃんって『二重持ち』だったの?」

 「うん、実はね……」


 ミラとユキノはこそこそと話を続けていた。

 ユキノはミラが光属性以外の属性を持っていたという事実に衝撃を受けた。


 「二重持ちはどのようにして発生するのか、持つ属性に法則性や規則性はあるのか、詳しいことはまったくもってわかっていません。ただ分かっていることは『二つ目の属性は後天的に発生する』ということだけですね」


 『二重持ち』

 それは元々この世界の人間の中でも少数派の魔法使い同士ですら希少とされる二つの属性を持った魔法使い。

 ミラはその数少ない存在の内の一人だったのだ。

 

 「つまり、どんな魔法使いでも二重持ちになる可能性があります。もしかすると、ここにいる生徒の中からも生まれるかもしれませんね」


 教師の話に生徒たちは大きくざわめいた。

 

 「私も光属性以外の属性を持てたりするのかな?」

 「そうなるといいね」


 目を輝かせるユキノに対してミラは曖昧な返事をした。

 直前まで自分の持ったステータスの大きさを理解していなかったが故にそれを自覚して焦っているのだ。

 

 そして放課後、ユキノはミラにふと尋ねかけた。


 「ミラちゃんは最初から光属性の魔法使いだったの?」

 「えっとね……光属性は後から付いたの、元々は氷属性なんだ」


 非常に希少な二重持ちの魔法使いであるミラ、唯一無二の能力である読心を持ったユキノ。

 二人の間にある奇妙な共通点が明らかになった。


 「うへへ……なんだか二人だけの秘密って感じがするね」

 「そうだね。今ならユキノが自分の力を隠してる理由がわかるよ」


 希少な力を持つことを公にすると不必要に目立つ。

 彼女は目立ちたがりなわけではないのでそうなることは避けたいのだ。

 ミラはユキノの心情を理解できた。



 二人は同じ光属性の魔法使い、そして他にはない特殊な存在。

 後にこの特殊性を巡る騒動が起きることはまだ誰も知る由はなかった……

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