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死後につくる、新しい家族  作者: 火蛍
第13章 友情の光
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プロローグ:新しい友達

今回から新章がスタートします。

 メリルが地上を去ってから数日が経過した。

 俺たちはまた四人家族、いつも通りの生活を送っていた。

 

 ミラは中等部に進学し、より一層学びに精を出している。

 新しい環境にもなんだかんだで適応できているらしく、新しい友達もできたと言っていた。


 そして今日、ミラが我が家に友達を一人連れてくるらしい。

 たしか名前は『ユキノ』って言ってたっけか。

 どんな子なんだろう。


 中等部に進学してから授業の時間数が増えたのもあってか、ミラの帰りが俺より遅くなる日が出てきた。

 現に今日も俺が帰ってきてもこの通りだ。

 遅くなること自体は問題ないんだが変なところへ寄り道していないかだけは心配だ。


 「ただいまー!」


 おっ、帰ってきた。

 中等部に入ってからできたミラの友達、果たしてどんな子なんだろう。


 「おかえりー……」


 ……これはどういう状況だ。

 ミラの後ろにミラより一回りほど背の高い女の子が一人べったりとくっついている。

 この子がユキノちゃんだろうか。


 「トモユキ―。この人がユキノだよ」


 そうだったかー。

 それにしてもすごい仲良さそうだな。


 「初めまして。ユキノっていいます」


 ユキノちゃんが俺に挨拶をしてくれた。

 黒髪に黒い瞳、この世界では珍しい日本人的な名前と顔立ちだ。


 「こちらこそ初めまして。俺はタカノだ」


 俺はユキノちゃんに挨拶を返した。

 ちょっと気が弱いみたいだけど真面目そうな子だな。

 

 さて、ここで気になることが一つ。


 「どうしてミラにずっとくっついてるのかな?」

 「ああすみません!一緒にいないとどうしても不安で……」


 何気ない質問をしたつもりだったけどちょっとまずかっただろうか。

 ユキノちゃんは慌ててミラから一歩離れるとペコペコと頭を下げてきた。

 こりゃあ過去になにかあったな。


 「あ、いや。悪い、別に怒ってるつもりはないんだけど……」

 「そ、そうでしたか……」


 あー、この子がどんな子なのかなんとなく見えてきたぞ。

 

 「あら、その子はミラの友達?」

 

 台所で晩御飯を作っていたオズが顔を出して様子を窺い見てきた。

 

 「えっ……クラリス様……!?えっえっ!?」


 ユキノちゃんはオズの姿を目の当たりにして唖然とした様子で口元を手で覆い隠した。

 そりゃあこんな普通の家から魔法使いのトップの片割れが出てきたら驚くよな。


 「ねーねーお姉ちゃん!ユキノはすごいんだよ!生まれつき光属性を持ってるんだって!」

 「嘘!?詳しく聞かせて!」


 ミラからの情報を耳にしたオズがユキノちゃんに食いついた。

 確か生まれつき光属性を持つ魔法使いってめちゃくちゃ珍しいんだっけか。

 ミラもオズも光属性を持っているが後から発生したものだって話だし。


 「おい、火は見なくていいのか?」

 「そうだった!ご飯作ってあげるからちょっと待ってて!」


 料理を作っているのを思い出したオズは台所へと戻っていった。

 これはもう話を聞く気満々だな。


 で、十数分後。

 ユキノちゃんを迎えて俺たちは食卓を囲んでいた。

 『迎えて』というよりは『なし崩し的に座らせて』と言った方がいいかもしれない。

 オズの世話焼きの強引さを感じる。


 「ユキノちゃんは光属性の魔法使いなんだよね。話を聞かせてよ」

 「はい。えっと……うちは昔からずっと光属性の魔法使いで……」


 オズからずっと質問攻めを受けつつもユキノちゃんは丁寧に答えた。

 おかげで食事にあまり手を付けられていないのが気にかかるが大丈夫だろうか。


 「なあミラ。ユキノちゃんとはどういう経緯で友達になったんだ」

 「えっとねー、ユキノとはね」


 「助けてもらったんです!」

 

 ミラが語るよりも先にユキノちゃんが答えた。


 「助けてもらった?」

 「はい。実は私、光属性の魔法使いだからっていう理由で周りからよく思われていないみたいで……」


 要は嫉妬されてるってわけか。


 「初等部にいたころからいろいろ嫌がらせを受けてて……そこにミラちゃんが声をかけてくれて……」

 

 やっぱりか。

 ユキノちゃんはいじめられっ子だ。

 それも『現在進行形』の。

 

 「どうしてみんなユキノにばっかり意地悪しようとするのかな?ミラだって光属性の魔法使いなのに」

 

 ミラは不思議そうに首を傾げた。

 いろいろと理由は考えられるだろうけどミラに手を出してこない最大の理由は『マーリン家の娘だから』だろうな。

 ミラ本人が自覚しているかはわからないがマーリン家は魔法使いの名家中の名家、その跡取りである彼女に手を出そうものならそれこそ家ごと潰されてもおかしくはない。


 「ミラちゃん、私の話を聞いてくれて、そしたら自分も光属性の魔法使いだって教えてくれて、それで意気投合して」


 ミラとの出会いの話をしているユキノちゃんはなんとなく嬉しそうな表情をしているように見えた。

 

 「あと、私銀色のものが好きで……うへへ……」


 あー、ミラの髪は銀色だからな。

 そこに惹かれたのもあるのか。


 「すごいですよね。まだ十歳にも満たないのに私たちよりも圧倒的に成績がいいし、上級生からでも私を助けてくれるぐらい強くて、私憧れちゃいます」


 ミラのスペックの高さには俺も驚かされることが多々ある。

 人助けの精神に関しては俺たちが助長したのもあるがそれでも大したものだ。


 「それにちっちゃくてかわいい……うへへ」

 

 ……なんだろう。

 ユキノちゃんのミラに対する感情の中にちょっと屈折したものを感じるんだが。

 当のミラはというとまったくそれに気づいていないようだ。


 「わざわざすみません。初対面なのに夕食までご馳走してもらっちゃって」

 「いいのよ別に。またいつでもいらっしゃい」


 夕食を終えてしばらく経ち、夜の九時頃。

 ユキノちゃんは帰り際に挨拶をしてくれた。

 オズは気前よく次回の来訪を促している。

 

 「もう夜も遅いから道には気をつけてな」

 「大丈夫ですよ。私、夜でも昼間と変わらないぐらい目が見えますので」


 光属性の魔法の力だろうか。

 もしかしてミラやオズも同じことができるのかな。


 「じゃあねー!また明日!」

 「うん!また明日!」


 ユキノちゃんはミラに手を振ると自分の家へと足を進めていった。

 ちょっと不思議な雰囲気はあるけどいい子でよかった。


 「ミラ、これからもユキノちゃんと仲良くしてあげるんだぞ」

 「うん」


 中等部でできた友達はいじめられっ子という苦い経歴を持っていた。

 ちょっとおどおどした振る舞いも過去の記憶の積み重ねで形勢されてしまったのだろう。

 ミラとの出会いがあの子をいい方向へ導いてくれるといいな。

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