小話:受け継がれる属性
今回はタカノ視点の話です。
「で、初めての授業はどうだった?」
その日の晩、俺はオズに話を振った。
オズはミラの通っている学校に特別講師として招かれていた。
学校に通った経験のない彼女がちゃんと授業をすることができたのだろうか。
「すごーく疲れた……」
オズはテーブルにべったりと項垂れている。
初等部、中等部、高等部それぞれに授業を付けたらしいし、本当に疲れてるっぽいな。
「まあ、それはともかくとして中々面白かったわよ。年に一回ぐらいならやってもいいかなって思うし」
オズ派の魔法使いたちを率いる主導者でもあるわけだし、誰かに何かを教えたりするのは性に合ってるのかもな。
「そういえば、アンタに魔法の属性の話ってしたことあったっけ?」
「なにそれ初耳なんだけど」
薄々感じてはいたけどやっぱり魔法に属性ってあるんだな。
「今日は授業の中でいろんな子の魔法を見てきたんだけどさ、光属性を扱う子がほんの一握りしかいなかったのよね」
光か、確かにレアなイメージがあるな。
「それでさ、魔法使いの魔法の得意不得意って親から受け継がれる部分が結構あるのよ」
そうだったんだ。
じゃあアリスはオズからどんな属性を受け継ぐんだろう。
「お前の得意な魔法の属性はなんなんだ?」
気になって仕方がないので直接聞いてみた。
どんな魔法でも万遍なく使いこなしているから得意分野が予想できない。
「お父様とお母様から受け継いだのは『影』、でもアタシが得意なのは『光』」
おい、話と違うじゃねえか。
例外も存在するってことなのか?
「ほう、それは何か理由があるのか?」
「わからない。でも親と子で得意な属性が違うって言うのは決してあり得ない話じゃないの」
所謂『突然変異』とかいう奴だろうか。
人間にもあるんだな。
「親と子で属性が違うのはアタシだけじゃない。ミラもそうだってことが今日はっきりとわかったわ」
「ミラがねぇ……」
俺の周辺にいる人たち、いろいろとイレギュラーが多すぎやしないか。
「ミラが得意な属性は『光』、でもレオナルドが得意な属性は『氷』」
確かにミラの発動した大魔法は光の結界だったし、治癒魔法にも光を使っていた。
それに対してレオナルドさんは一気に周囲を低温化させたり任意のものを一瞬で凍結させたりするのが得意だ。
「それならお前とミラは同じ『光』の魔法が得意なわけだろ?でもミラは召喚魔法を使えないし、お前はミラほど強力な結界や治癒は使えないよな」
「同じ属性でも性質が違うのよ。ミラは『守る』『治す』ための光だけどアタシの場合は『壊す』ための光だから」
なるほどなぁ。
小難しい話をしてるが同じ属性でも用途が違うっていうことはなんとなく理解できた。
「この変質って何がきっかけで起こるんだろうな」
「さっきも言った通り、アタシにはわかんない。もしきっかけがあるとしたら『意思の変化』だと思うのよね」
意思の変化か。
確かにミラは『医者になること』を志すようになってから治癒魔法がどんどん強力になっている。
それ以前はあまりそういうのを使わなかったし。
「将来アリスはどんな属性の魔法を使うんだろうな」
「順当に考えればあの子も『光』になるでしょうね。アタシの血とミラの魔力の一部を引いてるわけだし」
確かにそうだな。
光属性の魔法使いの血と他の光属性の魔法使いの魔力があるならほぼ光属性で確定といってもいいぐらいだ。
「意外と炎とかが得意になったりしてな」
「可能性はあるわね。そう考えると成長が待ち遠しいわね」
我が子の成長した姿を見るのが今から待ち遠しい。
彼女はどんな魔法使いに育つのだろう。
魔法使いの遺伝の仕組み、細かいことはさっぱりだがある程度引き継がれる要素があることはわかった。
いずれその分野の研究が進んだらわかるようになるかもしれないな。
技術の進歩が待ち遠しい。
「それはそれとしてさ」
「なんだ」
俺がいろいろと物思いに耽っていたところで今度はオズが話を振ってきた。
「そろそろさ、『お酒』解禁してもいいわよね?」




