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死後につくる、新しい家族  作者: 火蛍
第11章 おじさん一家の娘
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新たな事件の匂い

 その日の夕方、俺はオズに一つの相談を持ち込んだ。


 「なあ、オズ」

 「何?」 

 「お前は俺のこと、心配性だと思う?」


 俺の疑問に対してオズは何とも言えないような渋い顔を見せた。

 一度視線を逸らし、少し考える素振りをしてから一息つき、言葉を切り出す。


 「そうねぇ。アタシたちのことを気にかけてくれてるのはわかるんだけど、たまにお節介すぎるって感じることはあるわね」


 マジか。

 俺はオズにすら心配性に思われていたのか……


 「今日ミラにもアレンにもアルにも心配しすぎだって言われてさ……お前にきっぱり言ってもらえて逆によかったわ」

 「ふーん……それはよかったわね」


 オズに冷めた反応を示された。

 それはそれとして、俺のどういうところが心配性に思われているんだろう。


 「で、今日はママ友はできたのか?」

 「アタシね、アンタのそういうところが心配性だと思うの」


 オズから冷静な指摘された。

 やっぱり自分だとわからないもんだな。


 「まあ、行動はしてみるもんよね。今日は二人できたわ」


 そうか、それはよかった。


 「アタシがオズ家の当主だって言ったらあっさりと迎えてくれたのよね」


 それは友人関係ではなく服従関係を築いているのでは?

 プライドを逆撫でされるような出来事はなかったようだけどこれはこれでまた何とも言えないものがあるな。


 「やっぱり人間にとって魔法使いの子供って興味の対象になるのかしらね。いろいろ質問攻めされちゃった」

 

 そういえば、俺も父親でありながらわからないことがある。

 魔法使いの子供っていつ頃からその力を使えるようになるんだろう。


 「なあ、魔法使いとして力を使えるのっていつ頃からなんだ?」

 「少なくとも物心がついてからだと思うわ。赤ちゃんが魔法を使ったっていうのは見たことも聞いたこともないし」


 そうなのか。

 じゃあ今のところは魔法が暴発する心配はしなくてもよさそうだな。

 これで一つ魔法使いに関する知識が深まった。


 「ちなみにアタシが初めて魔法を覚えたのは四つの時よ。ミラはもっと早かったみたいだけどね」


 確かミラは三つの時から魔法を使えるようになったって言ってたな。

 覚え始めるのはだいたいそれぐらいの頃からか。


 「悪い!邪魔するぞ!」


 その言葉と同時にアルが玄関を開けて我が家へと上がってきた。

 今日二度目の対面だが、アポなしなんだしせめてノックの一つや二つぐらいしたらどうなんだ。


 「あ?なんだ急に」

 「せめてノックぐらいはしてほしかったかなー」

 

 俺とオズは呑気に構えていたがアルの様子がいつもと違う。

 息が上がっている。

 急いでこっちに来たということは何かよくないこと知らせを持ってきたということだ。


 「事件だ。人攫いが出たんだよ」


 人攫い?

 つまり誘拐ということか。


 「犯人は複数人いる。攫われたのは全員魔法使いの子供だ」


 その報告で俺は血の気が引いた。

 ターゲットにされそうな魔法使いの子供が我が家には二人もいる。

 俺たちはすぐさま表情を真面目モードへと切り替えた。


 「何か犯人の手がかりは?」

 「まだ何もない。顔を隠してるし、体つきもわかんなかった」


 これは参ったぞ。


 「おっさんのところは魔法使いの子供が二人いるだろ?だから警戒してほしくてよ」

 「ありがとな。こっちも警戒はしておく」

 「おう、ついでといっちゃなんだけどさ……」


 なんだ。


 「飯食わせてくれよ、仕事上がりで腹ペコなんだよ」


 そんなことだろうと思ったわ。

 今日はまだ飯作ってないし、貴重な情報をわざわざ回してくれたからそれぐらいなら礼を返してもいいだろう。


 

 その晩、俺たちはアルと一緒に夕食を取ることになった。


 「ミラ、この頃ギルドに人攫いが出たんだってよ」

 

 俺はミラに事件のことを伝えた。

 当事者になりかねないだけに本人にも気を使ってほしい。


 「それ、帰ってくるときに本屋の人からも教えてもらったよ」


 ミラはすでにこのことを知っているようだった。

 攫われなかったのはなんとも幸運というべきか。

 

 「気を付けろよ、もしかしたらお前も攫われるかもしれないからな」

 「わかった。でもどうすればいいのかな?」


 そうだな。

 一番いいのは俺が付いていることなんだろうけれど、さすがに学校の中にまで入るわけにもいかない。


 「じゃあこうしよう。しばらくの間は学校の行きと帰りは俺が付いていく」

 「アタシはどうすればいい?」

 「オズはアリスの傍にいてくれ、もしかするとアリスすら攫われかねん」


 俺とオズのどちらかが付いていないといけない。

 外を出歩く分には男の俺が付いている方が抑止力になるはずだ。


 「ウチらも警備を強化する予定だけど、そっちでも対策に務めてくれないか?」

 「わかってる。できるだけのことはやるさ」

 

 アルから警告を受けたがそんなことは言われなくてもわかっている。

 だが俺たちにそれを促してくれたことに感謝しよう。


 「飯ありがとな!」

 「おう、こっちこそ今日はありがとな」


 アルが帰っていくのを確認し、俺は玄関を閉じた。


 人攫いか……

 しかも魔法使いの子供ばかりを攫っているとなると裏に何か大きな陰謀を感じるな。

 

 アリスは、そしてミラを守らなければ。

 


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