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死後につくる、新しい家族  作者: 火蛍
第11章 おじさん一家の娘
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オズ、ママ友を作る?

 オズの動向が気になって仕方がない。

 『ママ友を作る』と意気込んでいたが果たして彼女にそれができるのだろうか。


 今、我が家には俺一人。

 そしてやることがない。

 それはつまり、自由な時間があるということだ。

 たまには気ままに外をぶらつくのも悪くないだろう、ギルドに赴いてみよう。


 「あ?タカノじゃねえか」


 たまたま巡回中だったアレンから声をかけられた。 

 今日は午後から巡回だったのか。


 「ようアレン」

 「今日はどんな用だ?」

 「暇だから散歩がてらな。ただ一つ気になることがあってよ」

 「ほう、というと?」

 

 ここで俺はアレンに考えていたことを話した。

 

 「オズがママ友を作るとか言い出してよ」

 「ママ友?」

 「極端に例えるなら人妻のコミュニティだ」

 「ほう……」


 その息一つで何を考えたか俺にはお見通しだぞアレン。


 「今風俗みたいなものを想像しただろ。断じてそんなものじゃないからな」

 

 とりあえず説明しておこう。

 誤解されっぱなしだと話が進まないだろうし。


 「子育てに関する相談をしあったりするコミュニティだ」

 「ほぉーん」


 概念を理解したらしいアレンは俺に話を振ってきた。


 「ところでよ、オズ家の女は母親としては新米ホヤホヤだろ?」

 「そうだな」


 俺も父親としては新米だ。

 何か問題でもあるのだろうか。


 「魔法使いの頂点であるそんな奴がいきなり下っ端から始まって境遇に耐えられると思うか?」


 そういえばママ友とは階級制であるというのを耳にしたことがある。

 

 そして俺はすっかり見落としていた。

 アイツはオズ家の当主にして魔法使いの頂点の一角、おまけにものすごくプライドが高い。

 最近はすっかり鳴りを潜めていたが高いプライドの嫌な部分がぶり返してしまわないだろうか。


 「やっぱり心配になってきた」


 俺は予定を急遽『オズの様子を観察する』に変更することにした。

 

 「俺も様子見てみるか」


 アレンも同調しているが仕事はいいんだろうか。


 「お前、仕事は?」

 「それぐらい人探しの手伝いって言えばいくらでも誤魔化せるだろ」


 コイツ、変なところで融通が利くんだよなぁ。

 

 「んで、主婦が集まりそうなところってどこか知らない?」

 「そうだなぁ……俺にはまるで見当がつかん」


 ですよねー。

 なら自分の足だけを頼りに探してみよう。

 結局アレンとは適当に落ち合って俺一人で探すことにした。

 さて、主婦があつまりそうなところってどんなところだろうか……


 「あれ?トモユキ?」


 途中、通りでミラとばったり鉢合わせた。

 そうか、もう学校が終わったのか。


 「おぉ、ミラか。今日はもう学校終わったのか?」


 あれ?

 この道って通学路とは全然違う場所だよな。

 ということはどこかに寄り道をするつもりだったのだろうか。


 「うん。ちょっと本屋に寄ろうと思って」


 あー、そういえば書店ってここの通りを過ぎた先だったっけ。

 それなら納得だ。


 「そういうトモユキはどうしてここにいるの?」

 

 ミラに尋ねられ、俺は自分の活動を説明した。


 「お姉ちゃんがお友達作るのを観察する?」

 「いやぁ、元々オズってかなりプライド高いじゃん?トラブル起こさないか心配でさ」

 「流石に心配しすぎでしょ」


 確かに傍から見れば余計なお節介だろうな。

 だがトラブルを起こされると人命の一つや二つ簡単に消えそうだから心配せずにはいられないのだ。

 やらかされてからじゃ遅すぎるし。


 「主婦の人が集まりそうなところってどこがあると思う?」

 「うーん……食料品の市場とか?」


 まあ、無難なのはそのあたりだろうな。

 前に買い物してからそこそこ日が経ってるし、もしかしたらオズもそこにいるかもしれないな。


 「よし、その辺探してみるわ」

 「うん、まあ頑張ってね」


 ミラに冷め気味な対応をされた。

 人の友人関係を覗き見するのはなんとなく気が引けてきたがそれ以上に心配の方が大きい。


 

 「……あれ?」


 市場へ向かう途中、俺は意外な場所でオズらしき人影を見かけた。

 よく見直してみるとその腕にはアリスを抱いている、あれはオズ本人で間違いない。

 その周囲には子供を連れた女の人が二人ほどいる。

 まさか普通にママ友を作れたのか。


 声はあまり聞こえないが口の動きや表情は見えるから状況はなんとなくわかる。

 俺は物陰に隠れてその様子を見守ることにした。

 

 「昨夜初めて夜泣きをされちゃって……」

 「あらー、ずいぶんと早いわねー」


 割と馴染んでるっぽいな。

 今のところは特に問題なさそうだ。


 「何が原因で夜泣きするのかわからないですか?昨夜はご飯でもおむつでもなくて……」

 「それならふと目を覚ましちゃって夜の暗さに怖がってるのかもしれないわね」

 

 なるほど、俺の推測は結構当たってたんだな。

 それなら具体的な対策も立てられそうだ。


 オズの様子をじっと観察している途中、俺は誰かに背中を叩かれた。

 それに反応して振り返るとそこには……


 「オッサン……何を物陰でコソコソ覗いてんだよ」


 呆れたような表情をしたアルが立っていた。

 今日は知り合いとよく会うなぁ。

 そしてこの後の展開がなんとなく予想できる。


 「いや、これはな……その……」

 「ちょっといくつか質問させてもらうぞ」


 ああ、そうなると思ったよ。

 こうして俺は異世界生活初の職務質問を受けることになった。

 普段はする側なだけになんとも新鮮だ。


 「なるほど、つまり自分の妻がやってることを心配して様子を覗いてたってことだな?」

 

 そういうことだ。

 

 「それはいくらなんでも心配しすぎだろ。ウチだってルイやリリーが心配でもそこまではやらねえぞ」

 

 ついさっきミラにも同じことを言われたな。

 やっぱり俺の考えすぎだろうか。


 「大丈夫だって。オズ家の当主様ならそこらへんは上手いことやってくれるって」

 「でもなぁ……」

 「自分の嫁さんなんだろ?もっと信用してやれよ」


 アルの言葉で俺はハッとした。

 そうだよ、もっと信用しないと。

 個人のことを放任するぐらいには。


 「そうだよな、もっと信用しないとダメだよな。じゃあ俺そろそろ帰るわ」

 「何はともあれ、覗きは結構危ねえ行為だから次から気を付けろよ」


 帰ってオズの口から聞かせてもらう程度にしておこう。

 今回はさすがに心配が過ぎた。

 見た感じ問題はなさそうだったし、多分大丈夫だ。



 俺、いつからこんな心配性になったんだろうか。

 

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