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死後につくる、新しい家族  作者: 火蛍
第11章 おじさん一家の娘
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仲間たちからのお祝い

 「というわけで、今夜アルが家に来るらしい」

 「ふーん」


 家に帰った俺はさっきの出来事をオズに話した。

 それにしてもこの頃は内輪の人物がよく我が家を訪れてくる気がする。

 

 「アルってあの猫の子でしょ?あの子が家に来るということは……」


 オズが何気なく発言したことで気が付いた。

 ほぼ間違いなく弟たちも一緒に連れてくるぞ!

 騒がしくなるのは避けられないな。

 アルの制御下にあればある程度は大人しくしてくれるだろうけれど……


 ………あっ、玄関をノックする音が聞こえた。


 「おーい!お祝いに来てやったぞ!」


 ご丁寧に自己紹介までしてくれたおかげで玄関の向こうの人物がアルだと確定した。

 マジで俺の家知ってたのか。

 せっかく来てくれたんだし、もてなしぐらいはしてやらないとな。


 「よく来たな……ってあれ?」


 アルがルイ君とリリーちゃんを連れてくるところまでは予想できていた。

 だがその後ろにグレイさんとアレンまで付いてくるとは予想できなかった。


 「よう、顔を合わせるのは久々だな」

 「アルから聞いたぞ?子供が生まれたんだってな」

 「なんで二人も一緒なんスか?」

 「そりゃあ、部下に子供が生まれりゃ祝うのが道理ってもんだろう」

 「同僚の子供の顔が見てみたくてよ」


 もはや何もコメントできない。

 そんな俺をフォローするかのようにミラが脇から入ってきた。


 「みんなわざわざ来てくれたの?」

 「おう。俺たちはタカノの僚友、喜びも悲しみも分かち合うもんだろ?」


 都合のいいことを言っているように思えるけれども実際俺がきつかった時に幾度となく助けてくれてるんだよな。

 

 「んで、夕飯は?」

 「もう食っちまったよ」


 さてはこいつらついでと言わんばかりに夕飯集りに来やがったな。

 絶対にやらんぞ、余りもないし。


 「えー、せっかくおっさんの美味い飯が食えると思ってたのに」

 

 やはりそうだったか。

 断固拒否してやる。


 「いつまでも外にいると冷えるよ?上がって上がって」


 ミラに迎え入れられ、アルたちは我が家の中へと足を踏み入れた。


 「いらっしゃーい」


 オズがアリスを抱いて二階から降りてきた。

 いつもアレンたちに見せるようなツンツンした雰囲気は微塵も感じられない。


 「おーっ!これがおっさんの子か!?」

 「人間の赤ちゃんって初めて見たー!」

 「触ってみてもいい!?」


 アルたち猫の三姉弟はアリスに興味を惹かれて飛ぶように向かっていった。

 一歩引いた場所からグレイさんとアレンもアリスの顔を覗き見ている。

 

 「顔つきがタカノに似てるよな」

 「言われてみれば確かに」


 ミラにも言われたし、オズにも言われたし、グレイさんにも言われたから本当に俺と似てるんだな。

 

 「男の子?それとも女の子?」

 「女の子よ。アリスっていうの」

 「へぇー、アリスか」

 「可愛いー!」


 グレイさんはちらっと俺の方に視線を送ってきた。

 なにか話したいことがあるらしい。


 「ガキは可愛いか?」

 「ええ、そりゃあもう」

 「だろうな。子供ができる前から親バカだったぐらいだもんな」


 言いやがったなアレン。

 確かにアリスが生まれる前から家にはミラがいたからそうなんだけれども。


 「おいおい、アリスが泣き出したぞ」

 「あー、そろそろおっぱいの時間かな?」


 そういえばさっき飲んでなかったもんな。

 ということは……


 「男は少し席を外してちょうだい」

 「はいはい」


 まあそうなるよな。

 オズはまた二階へと戻って行った。

 グレイさんとアレンに強引に背を向けさせた。


 「オズ家当主の生の胸……」

 「あれを独り占めにできるとはなんと羨ましい……」


 アンタたち俺の妻に対して何考えてんだぶっとばすぞ。

 それはそれとしてせっかくの機会だ、仕事のことをグレイさんに相談しておこう。


 「話したいことがあるんですけど……」

 「なんだ。どうせお前のことだし、休暇のことかなにかだろ?」


 もうわかってたか。

 流石に俺のことよくわかってるなぁ。


 「無理してこっちに来ようと思わなくてもいいんだぞ」

 「そうだぞ。休みは有意義に活用しないとな」


 二人はそういうけれどいつまでもそうしているわけにもいかない。


 「いやぁ、そろそろ身体が本格的に鈍っちゃいそうで」

 「お前が仕事したいっつーのは大いに嬉しいしそれに対して文句は言わん。ただガキのお守りもままならねえのにこっちに戻るつもりだってんならそれはこっちから願い下げだ」


 まさかグレイさんから拒否の言葉が出てくるとは思わなかった。

 言われてしまったものは仕方がない、オズが一人でも落ち着いてアリスの世話をできるようになるまでは休職しよう。


 「で、お前としてはどれぐらいのタイミングで復帰しようと思ってたんだ?」

 「早ければ今年の冬の頭には」

 「それは早すぎる。待遇を上げるから冬の半ばまでは休んでろ」


 ああ、我が上司グレイ様。

 この御恩は忘れませぬ。


 「さて、今日は俺たちからお祝いの品を持ってきてやったぞ」

 

 マジっスか!?

 思わぬサプライズに感激を禁じ得ない。


 「俺たちだってただ冷やかしに来たわけじゃねえからな」


 そういってアレンが取り出したのはなにやらクソデカい瓶。

 あれ、それってもしかして……


 「オズ家の女が好きそうな酒を五千ルートで買ってきたぞ。今度夫婦二人でゆっくり飲めよ」


 あー、そうきたかー。

 気持ちは嬉しいがオズは今断酒してるんだよなぁ。

 けれどもせっかくの好意を無下にはできないし、ありがたく受け取っておこう。

 禁酒を終えたときのために内緒でしまっておくか。

 

 「俺からはガキ用の冬服だ。アレンに比べりゃ実用性あるだろ」


 意外なことにもグレイさんからは実用性のある子供服を貰えた。

 ありがたい、実にありがたい。

 これはオズも喜ぶだろうな。


 「結構かわいい奴選んだんスね」

 「選んだのは俺じゃなくて猫だ。つまりこれは猫からの分も兼ねてる」


 そうか、アルが選んだのか。

 こんな風に弟たちの服も見繕ってるんだろうな、こういうところはしっかりじゃないか。

 後でお礼言っとかないと。


 「なあなあ!また会いに来てもいいか!?」

 「リリーも!」


 帰り際、アルとリリーちゃんはオズに懇願していた。

 ルイ君はというとこれで満足したらしく、これといって興味は示していない。

 男と女の違いって奴か?いや、個人差だな。


 「いいわよ。今度は一緒にお世話してみる?」

 「やるやる!やるぞ!」

 「よかったねーアリス。みんなに可愛がってもらえて」


 そういえばオズってルイ君とリリーちゃんのことをけっこう可愛がってたよな。

 そう考えると断れないのもあるんだろうな。


 「今日は邪魔したな」

 「こんな大人数で来るとは思ってなかったっスけど。家に来るぐらいなら歓迎っスよ」

 「マジか。また何かあったら連絡に来るからな」


 業務連絡をくれるのはとても助かる。

 今は休暇中だけど何か協力できることがあるかもしれないし。

 

 「アル」

 「ん?なんだ?」

 「アリスの服見繕ってくれたのってアルなんだろ?ありがとな」

 「いいっていいって。リリーの服を見繕うよりは簡単だったからな」


 珍しくアルが謙遜している。

 お礼に今度飯でも作りに行ってやるか。


 「じゃあねー!」

 

 ミラが手を振り、俺たちはアルたちが帰宅するのを見届けた。

 いい仲間を持ったもんだ。


 「いい仲間を持ったわね。ちょっとアイツらのこと見直したかも」


 オズも今回のことは喜ばしく思っているようだ。

 ありがとう、職場の仲間たち。

 この恩は忘れないからな。

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