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キミボク  作者: きつねさん
異世界とソニア
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盗賊

馬車が走ってる事でかすかに感じていた振動がなくなったことで目が覚めた。

それにやわらかいものに少しめり込むような感触もした。

この時は頭がまわってなかったから分からなかったけど、

馬車が止まった慣性で私の体が転がっていかないようにビックスライムがおさえたのだろう。


取りあえず目が覚めたので体を起こす。

しばしばしている眼をこすって周りを見回す。側にネルヴァがいない。

焦った。ネルヴァが側にいないことに不安に感じた。

今まで起きた時、側にネルヴァがいるのは当たりまえの事だったのだ。


しかしその焦りや不安はすぐに消えた。

シンクロしっぱなしだったネルヴァの視界が見えていたからだ。

馬車の外。

なんだか全体的にみすぼらしい一団が見える。


私は特に何も考えずに馬車から降りた。

そしたらあたりが微妙に騒がしくなった。

「〈おっ、これ当たりじゃん。これだけ上等な愛玩奴隷だぜ。かなりの稼ぎになる事決定じゃん。〉」

言葉が分からない?ああ、そうか。異世界だった。

いや、ソニアになってからはこの世界が初めての世界だし、異世界という表現はおかしいか。

いやいや、血みどろ失楽園もまた一つの世界としてみれば異世界と言えるのか?

そんな寝起きの意味のあるような無いような思考に身を任せる。

「ご主人様、この者たちはどうしましょう?」

「しらない」

眠いし頭がまわらない。やっぱりもうちょっと寝よう。

「分かりました。こちらで処理します。」

ネルヴァが返事した直後何か重いものが地面に倒れるような気がしたけど全く気にしなかった。

寝起きの緩慢な動作で馬車の中に戻って行き、ビックスライムのマットの上に寝転ぶ。

眠いというのになかなか眠りは訪れなかった。

すこしして私の横にあったかいものが寝そべった。

それに安心して私は眠った。


ネルヴァの添い寝が当たり前の事になっている私はネルヴァが添い寝してくれないと寝付けなくなっているのかもしれない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

うちの雇い主様は規格外すぎる。


なぜか急に馬車を止めさせられたのでその場で止めて少し待っていると、

道の先から待ち伏せしていたのであろう盗賊たちがわらわらと。だいたい十人ぐらい。

「金目のもんを置いて行ってもらおうか。」

という感じに脅されたんだが、その時こっちにとってかなり不都合なことが。

本当のの雇い主が馬車から降りてきてしまったのだ。

雇い主様と違って明らかに非戦闘要員な本当の雇い主。守りながら戦うのは困難だ。

(雇い主様もメイド服であるのだが、振る舞いから戦闘をできると思われる。)

これは絶対に盗賊たちにカモだと思われた。そう思った俺と同じく盗賊たちもカモに思ったのだろう。


「おっ、これ当たりじゃん。これだけ上等な愛玩奴隷だぜ。かなりの稼ぎになる事決定じゃん。」

あっ、これ雇い主様絶対に怒ってる。

今日の馬車旅だけで分かったが、雇い主様はご主人様至上主義だ。

それが愛玩奴隷などいわれて怒らないはずがない。


でもさすがにこの人数は無理そうだなあ、と思い金目のものを渡そうと提案しようと思った。

しかし雇い主様は本当の雇い主と話を始めてしまった。

話を遮ることはできない。

会話の途中で止めようとするとギンッと睨まれるのだ。それはもう恐ろしいのだ。


本当の雇い主は寝ぼけているのか何事か話した後眠そうに馬車の中に戻って行った。

あれは絶対に今の状況を把握していなかった。絶対馬車の中で寝るつもりだ。

盗賊の方をちらりと見もしなかったし。


そしたら風が起こった。

その動きは距離も離れていたし、速くはあったが目で追えないほどではなかった。

予定調和かのように盗賊は次々と倒れていく。

そしてあっという間に盗賊たちは全て倒れていた。すべて気絶しているようだ。

血の出血もなく、一見何処も怪我をしているようには見えない。


盗賊たちの持っていた武器を回収した後に一言。

「では馬車を出発させてください。」

「あっはい。」

俺は目の前の光景に圧倒されてそう答えるしかできなかった。


自分の腕にそこそこの自信を持っている俺は今まで護衛をつけていなかった。

しかし今回はだめかと思った。

さすがに数が違いすぎる。

馬車の機動力考えれば逃げるのは比較的容易だったのだが、一回止まってしまっている。

なぜ止めたし、と雇い主を少し恨んでいたのは内緒だ。

だけどそれを雇い主はいとも簡単にのしてしまった。

これは逆らえんな。

いや、元から逆らうつもりはなかったけど。



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