アップルパイ
俺は、そっとユリを抱きしめた。背中をポンポンとたたきながら、ユリが落ち着くまで待った。
うつむいて頬が赤くなったのを見て、通常運転に戻ったところで、話を続けることにした。
『ユリ、魔力を吸収することは絶対に秘密だ。分かったか?』
『うん…』
ユリが、赤くなったまま小さく頷いた。
『それじゃ、アップルパイを食べるとするか。姉さん、グラフィット、ユリを頼む。』
今日は人数が多いから、アイテムボックスから大きめなテーブルと人数分の椅子を出していく。
皆が椅子に座ったので、切り分けておいたアップルパイを3ホールテーブルに取り出した。
『うわぁ~いい匂い。美味しそう!』
『『いただきます』』
サクリと音をたててフォークがパイにささる。
『甘さ控えめのカスタードクリームと、りんごが絶妙ね。』
『りんごのキュッとした酸味と上品な甘さ…!』
『『美味しい〜!』』
ふと、ユリを見ると美味しそうに食べている。良かった笑顔だ。
俺の視線に気づいたユリがこっちを見た。
『美味しいよ。ありがとう、浜崎!』
ニッコリと可愛い笑顔で感想をくれた。
ぅっは!!嬉しいけど胸がドキドキする!いかん、俺はノーマルなんだ。なんとかポーカーフェイスを保つ。
『もう1個食べるか?』
『ぇ!いいの? ありがとう!』
ユリがパァッとさらに笑顔になった。見ているこっちが幸せになる笑顔だ。
この笑顔を守りたい、そう強く思った。




