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陰で育てる少女たちのチート冒険譚~奴隷少女たちを最強に育てる陰の策略~  作者: spichat
第2章 新たな出会いと奴隷少女

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第51話

■ゼロ


シャードッシの見えない攻撃が避けきれず、身体が重い。

瓦礫へ叩きつけられた衝撃で呼吸すらまともにできず、立っているだけで意識が飛びそうになる。

それでも、シャードッシから目だけは逸らさない。

逸らした瞬間に終わる。


「ドウシタ、人間。モウ終ワリカ?」


シャードッシが腕を軽く振る。

瞬間、見えない何かが飛来する。


「ッ――!」


咄嗟に身体を捻る。

頬を掠めた直後、背後の建物が何かによって殴られたかのように崩れ落ちた。


(……直線的な軌道ならまだ読めるんだが)


ここまで色々と試してみたものの、全て予想外なことが起こっている。

最初こそ振るった腕と同じ軌道だと感じていたものが、今や背後から襲ってきたり、真横から飛んできたりと、考えもしない方向から攻撃が飛んでくる。

魔法なのか?とも考えたが、それらしい詠唱もなければ、魔力を使っている様子もない。

ギガンテスは脳筋と仮定すれば、風圧での攻撃とも取れる。

しかし、それにしては威力がおかしい。

風圧で済ませれる威力ではない。

シャードッシのスピード、機動力は奪ったままなので、その場から動いていない。

移動を奪われても、勝利を確信しているかのように悠然とそこに立っている。


「楽しカっタぞ、人間。だガ、そロそろ終わリだ。こチら二も時間ヲ無駄にスるワけ二いカなイ理由がアる。アとハ安らカに我々ノ糧とナれ。」


シャードッシは溜めの動作に入る。

これまでで一番の攻撃をこちらに放ってくるだろう。

糧となれと言ってることから、殺されはしないだろうが、未来は明るくない。

ここまでか。

そう思った瞬間。


「――レインショット!」


無数の矢の雨が、シャードッシに向けて降り注ぎ、攻撃体勢を解くことに成功する。


(……まさか、来てくれるとはな)


「ご主人様!」


視線を向ければ、そこにはアステリアの姿がある。

ミアを先頭に、全員がこちらへ駆けてきていた。


「……助かった。よくこの場所だと分かったな」

「ご主人様であれば魔王軍と戦っているだろうと考えました。そえなると東門ですので、こちらに向かってきた次第です」


エレナが細剣を抜きながら、即座に相手を確認する。

シャードッシはこちらが六人になったことに戸惑いを見せたものの、今は前陣のミア、リリア、セラにどう対応するかを考えているようだ。

エレナから魔力回復薬を受け取り、応急処置としてヒールを唱え、まだ戦える意志を示す。

しかし、エレナから出た言葉は厳しいものだった。


「ご主人様、下がってください。ここからは私たちにやらせてください」

「……やれるのか?相手はギガンテスだぞ?」

「あれがギガンテスですか?承知しました。それでも少し任せてください」

「……無理はするな」


エレナは静かに頷く。


「ご主人様はもしもの時のために回復を」


その言葉はありがたい。

正直、応急処置のヒールだけでは十分に身体が動かせない。

加えて、魔力を回復したとはいえ、頭痛も抱えながらの戦闘では限界も近い。

ここで無理をすれば、逆に足手まといになる。

俺は後方へ下がりながら、シャードッシを睨む。

シャードッシも新たに現れたアステリアを見て、興味深そうに笑った。


「ほウ。増援か。マだマだ楽シめソうダな」


■フィア


あの見えない攻撃には見覚えがありました。

最初は何の冗談だろうと思っていましたが、ここに来るまでにエレナさんから聞いていた事が実現しているなら可能性としてありえます。

そうなると、私にとっても因縁がある相手――


「……エレナさん」

「どうかしましたか?」

「先程の話、たぶん正解です。あれはエルフ族の固有スキル風刃かと」


私の声はそこまで大きくなかったと思いますが、皆に聞こえていたのか、全員が目を見開きます。

そう、あれは私のお母さんが得意としていたスキルと同じもの――


「……風魔法?」

「いえ。エルフ族でも一部にしか発言しない固有スキルです。精霊の力を借りて、攻撃に風の特性を付与するものです。見えませんし、早い。加えて、どこからでも攻撃できる厄介なスキルです」


ですが、ギガンテスが使えるとは聞いたことがない。

そもそも魔族に精霊が力を貸すということも。

となれば、エレナさんが示唆していた事象が現実になっていると考えるのが一番しっくりくる。

他人のスキルを我がものにする技術――


「なるほど……」


エレナさんが小さく呟きます。

その視線は、シャードッシの身体ではなく、先程鎮圧した研究所から持ってきた薬へ向けられていました。


【検体効果解除薬】


もし、得た力が“検体化”によるものなら――


「試してみる価値はありそうですね」

「……やる価値はある」


エレナさんが即断します。

シャードッシはこちらを警戒しているものの、動き自体は鈍いまま。

おそらく、ゼロ様が弱体化させた影響でしょう。


「ミア、リリア、セラ。前陣で撹乱をお願いします。ご主人様曰くギガンテスとのことですので破壊力には十分注意を。フィアとルナは私の援護」


全員が頷く。

だからこそ、一瞬の隙が必要。


■エレナ


あれがギガンテスとは思えません。

ギガンテスと言えば巨体の筋肉モリモリな魔物です。

それがヒューマンと変わらない姿、これは何かあるとしか思えません。


(……しかも、ご主人様がここまで苦戦している。十分注意しなければ)


「ミア、リリア、セラ!」


私の号令で三人が突っ込んでいきます。

相手は三人の素早い攻撃に誰をターゲットにするべきか定まっていないようです。

攻撃は繰り出されているようですが、集中できていないため、まともにコントロールできていません。


「ちィッ!」


相手はだいぶイライラしているようです。

自慢の破壊力も当たらなければゼロ。

とはいえ、こちらも時間をかけてしまえば慣れて対応されてしまうのは明白です。


(……そろそろ頃合いでしょうか)


前衛の三人が注意を引いてくれて、後衛への意識が薄れている。

狙うなら、今――

フィアに合図を出し、弓に薬を括り付けたものを直接飲ませることができれば――


「何だ、ソれハ!」


弓の攻撃を察知され、矢を撃ち落とされてしまいますがそれも想定の範囲内です。


「甘いワ。」


口を大きく開けた。

今がチャンスとルナに合図を出します。

ルナが静かに手を掲げ宙に舞った液体が、水球のように浮かび上がる。


「行って」


液体が意志を持ったように相手に襲い掛かります。


「ッ!?」


相手は動気が遅い。

それはここまで様子を見ていた中で確認しています。

そこに弓による攻撃を防いだことでの慢心。

ここまでお膳立てができていれば、避けるより早く、液体を口へ流し込むことはできる。


「ガ……ァ?」


目論見どおり、相手に液体を流し込むことはできました。

あとは、きちんと効果があるのかどうか。

もし、聞かないのであればご主人様を頼るほか無くなってしまいます。

が、相手は服薬した瞬間、今まで溢れ出ていた魔力がどんどん弱まっていくのを感じます。


「何ヲ……シタ……?」

「あなたが取り込んだスキルを解除する薬を飲ませました」


この魔族はそんな薬があるとは知らされていなかったようです。

驚きと絶望が混ぜこぜになった表情をしています。

この魔族にあの研究室で見たこと、感じたことの感情をぶつけるのは間違っているかもしれません。

ですが――


「馬鹿……ナ……」


この【解除薬】の効果が凄いのか、はたまた今までは取り込んだ能力で強くなっていたのか。

それはどちらでも構いません。

しかし、あのようなことを平然とできる集団に属していると言うだけで、私を前へ突き動かします。


「終わりです」


相手が顔を上げますが、私が最後に見たのは、銀色の閃き。

これにて――ラグナードの侵攻は防がれました。

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