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陰で育てる少女たちのチート冒険譚~奴隷少女たちを最強に育てる陰の策略~  作者: spichat
第2章 新たな出会いと奴隷少女

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第33話

頭の先から目覚まし音が聞こえる。

寝ぼけた頭でアラームを止め、時間を確認する。

朝の六時三十分。

休日なら二度寝するところだが、今日は出勤日。


(……日本、か)


身体を起こす。

ミアは洗濯物を干し、リリアとエレナはキッチンで朝食の支度をしている。

いつもながら三人とも、すでに起きている。


「……おはよ。今日は?」


起きたのに気付いたミアがベランダから声をかけてくる。


「仕事だ。三人はどうしたい?」


短く返す。

エレナが頷く。


「承知しました。今日は三人でテレビでも見ながらのんびりしたいと思います」

「……少しぐらい外出したらどうだ?つまらないだろ?」

「そうでもないですよ」

「……外、熱いし」

「……テレビ、面白いよ」


三人それぞれが意見を言う。

念のため、昼食代とおやつ代としてエレナにお小遣いを渡しておく。

二人の作ってくれた朝食を食べ、身支度をして家を出る。


「……いってらっしゃい」


ミアも続く。


「……気をつけて」


(……慣れたな)


軽く手を上げる。


「行ってくる」


東京都千代田区霞ヶ関、日本の国の中枢が集まる場所。

見慣れた赤レンガに高層ビル。

いつもの空気。

いつもの雑音。

立ち番をしている警官に挨拶をして中に入る。


ここまでは平穏。

だが――


「警部」


捜査一課の部屋に入る寸前で声をかけられ、振り返る。


「刑事部長がお呼びです」


(……嫌な予感しかしない)


「分かった」


一度荷物を自席に置き、刑事部長室へと歩き出す。

”刑事部長 寺門慎一”。

警視庁の捜査部門のトップ。

一係長を呼びつけることなどほぼない。

考えられるのは、既に課長が呼び出されていて、下っ端に命令することぐらい。

嫌な予感がしつつも、秘書に呼び出されたことを告げ、扉をノックする。


「入れ」


扉を開ける。

部長が椅子に座っている。

案の定、課長も呼び出されていたようだ。


「来たな」

「失礼します」


一礼。

机の上には資料が散らばっているのが見える。


(……仕事、だな)


刑事部長が口を開く。


「組対部からの申し出があってな。手伝いをしてもらいたい」


(……組対?)


「内容をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「一斉摘発だ。人手が足らんらしい。薬銃の方で追っていた事件だ」


一拍。


「要するに、脱法だ」


(……ドラッグ?)


「今回の一斉摘発は、違法薬物と思わしき薬物の流通ルートの一つと見られている複数店舗の同時捜査となる。そのため、人員が足りなくなってこちらに支援を求めてきたわけだ」


課長から資料が滑らされる。

渡された資料は、担当する場所の写真、店の外観、店舗の図面がある。


「優先事項は?」

「売人の確保だ」


即答。


「今回は脱法ドラッグのこれ以上の流布を防ぐ目的が最優先だ」


(……何かあった、のか?)


「……承知しました」


部長が目を細める。


「……今回の脱法ドラッグな、既に服用した者から自殺者が出ている。しかも首都圏の中、高校生を中心に、だ。早急な対処を上からも求められている」


部長が静かに告げる。


「……よろしく頼むよ」


(……面倒なの押し付けられたな)


「決行は今日、20時」


早い。


「急ですね」

「こればかりは早いにこしたことはない」


当然だ。


「人選は任せる。他にあるか?」

「……ありません」

「よし」


部長が頷く。


「詳細は薬銃課から共有される。席に戻れ」

「了解しました」


一礼して部屋を出る。

面倒事を押し付けられたと顔に出さないように席に戻る。


(……渋谷、クラブ、薬。まさか、な)


行方不明の三人が思い浮かぶ。

榊原。水瀬。藤堂。


(……あっち系じゃないことを祈るばかり、だな)


自前のドリップコーヒーを入れに立ち上がり、出勤前の事務所を眺め、椅子に戻る。

机には承認を待つ書類。

確認のため、それらの資料を広げる。

そこに――


「お疲れ様っす」


鴨志田。


「お疲れ。なんか元気だな」

「そうっすか。いつも通りっすよ」


椅子を引いて座る。

出勤する部下達もぞろぞろと出勤してくる。


「それじゃ話があるから聞いてくれ。今日20時、一斉摘発がある。薬銃からの応援要請だ」

「薬銃課っすか?」

「ああ」

「面白そうじゃないっすか」


(……相変わらず、軽いな)


「遊びじゃないぞ」

「分かってますよ」


一拍。


「で、どんな作戦っすか?」


周囲を見る。


「刑事一課は現場に潜入、命令が出るまで待機の予定だ。詳細な作戦はこれから会議がある。特段追ってる事件がなければ参加だ」

「了解」


この場いる全員が即答。

何とも頼もしい部下達だ。


「時間になるまではそれぞれの仕事を」

「了解」


(……にしても、応援、か)


資料を見る。

潜入先のクラブに、客を装っているだろう売人。


(……紛れるには最適)


「……会議は15時からか」


呟く。


(……準備時間は少ない)


スマホを取り出す。

エレナには念の為スマホを渡してある。

仕事で遅くなる時には連絡をする用として、だ。


「……はい」


エレナ。


「今いいか?」

「はい」


短く返る。


「今日、夜遅くなる」

「……仕事ですか?」

「そうだ。すまないが、三人で夕飯は済ませてくれ」


一拍。


「……もし問題なければ、どんな仕事ですか?」

「渋谷のクラブ摘発だ。他の部署からの要請でな。あっちには関係ないと思う」


沈黙。

ミアの声が混ざる。


「……行く?」


リリア。


「……ついていく?」

「今回は来るな。れっきとした警察の仕事だ。いたら巻き込まれるぞ」


はっきり言う。


「それに、あっちが関わっていることなら、終わった後にきちんと話す」


少しの間。

エレナが答える。


「……承知しました」

「家の方はよろしくな」

「はい」


通話を切る。

スマホを置く。


(……さて)


渋谷。失踪。薬。

全部が繋がる可能性がある。


(……さて、仕事しないと、な)


時計を見る。

まだ時間はある。

静かに息を吐く。

戦いは夜だ。

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