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陰で育てる少女たちのチート冒険譚~奴隷少女たちを最強に育てる陰の策略~  作者: spichat
第2章 新たな出会いと奴隷少女

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第31話

コンビニの裏手。

人通りの少ない搬入口の脇で、少女は腕を組んだままこちらを睨んでいた。

制服のまま。

さっきの店員だ。


「……警察って暇なんだ」


棘のある言い方。

だが、逃げる気はない。


(……話すつもりはある、か)


鴨志田が横で軽く頭を下げる。


「すみません、少しだけなんで」

「……別にいいけど」


少女がため息をつく。


「ただし、ここじゃ無理。見られるから」


周囲を一度見渡す。

確かに、店の裏でも完全に人目がないわけじゃない。


「……場所、変えましょう」


エレナが静かに言う。

少女は少しだけ考え、顎で示した。


「裏の公園。人少ないからそこでいい?」


小さな公園。

ブランコが二つと、古びたベンチ。

夕方の空気は少しだけ冷え始めている。

少女はベンチに腰を下ろし、足を組んだ。


「で、何が聞きたいの?」

「水瀬遥のことだ」


一瞬だけ、表情が変わる。


「……やっぱり、それかぁ……」


「噂があるって言ってたな」


沈黙。

少女が視線を落とす。


「……あの子さ」


一拍。


「薬、やってるって噂があってね……」


空気が、わずかに重くなる。

鴨志田が眉をひそめる。


「薬って……ドラッグっすか?」

「それ以外ある?」


吐き捨てるような言い方。


「最初は違ったんだよ」


少女が続ける。


「……私とはさ、元々同中で、高校は違ったけど。でも、普通に真面目で、バスケ部だったんだけど中学では有名だったんだよ」


彼女、高梨さん、はそう言いながら昔話を始めた。


「……確か、推薦で高校入ったって言ってた。部活でね。結構いいとこ。でも――」


言葉が少し詰まる。


「入ってすぐ、膝、壊したみたいでさ」


沈黙。


「治すために病院通ってたみたい。高校は推薦だったから、居場所、なくなっちゃったみたい。友達から聞いた話だけど」


声は淡々としているが、その奥に感情が滲む。


「周りは期待してたし、本人も治療を頑張ってたけど、復帰までは当分かかるみたいだね」


一拍。


「それで……逃げちゃった、のかな」


(……ありがちな話だ)


だが、それで終わらない。


「最初は、ただ元気ないだけだった。抜け殻って訳じゃないけど、バイト中も上の空っていうの?でも、だんだん変わっていって。なんか、ヤバい人達と付き合ってるって噂が広まってさ。気づいたら――」


高梨がこちらを見る。


「バイトほぼ毎日入って、お金稼ぐことにやる気になってた」

「それが、薬か」

「噂だけど、ね。他にも理由あるかもしれないし。まぁ、洋服とか化粧品とかかもしれないけど」


即答ではないが、何かしら確信めいたものを高梨は知っている。

だからこそ――


「最近は?何か変わったこととか言ってなかった?」

「……水瀬さん、渋谷で見かけたことがあって……」


その一言で、全員の視線が揃う。


「気になって後つけたんだ。そしたら、バーに入ってった」


鴨志田が顔を上げる。


「バー?」

「うん。水瀬さんってさ、真面目じゃん?そんなとこ出入りするかなって」


高梨さんの声が少しだけ低くなる。


「それにさ、雰囲気、変だった」

「何が?」

「説明できないけど……」


少し考えてから言う。


「……別人に見えたんだよね」


少女が遠くを見ながら呟く。


「あそこ、ヤバいと思う。なんとなくだけど」


リリアが続ける。


「……誘われた?」


少女が一瞬だけ驚く。


「……一度だけね。なんで分かったの?」

「……心配してる」

「……そうだね。同中で憧れだったからね」


苦笑する。


「あの時一緒に行っていればって思うよ。それで何が変わるか分かんないけど。でも、止めれたかもしれないしね」

「断ったのか」

「当たり前じゃん。私、見た目ギャルだけど、そんなに軽くないし」


少しだけ肩をすくめる。


「行ったら、戻ってこれなさそうだったし」


(……正解だな)


「その後、水瀬は?」

「……知らない」


視線を逸らす。


「でも、あの店に行ったのを見てから、何となくだけど変わったかな。雰囲気が。明るくなったって言ったらいいかもだけど」


一拍。


「で、その後かな。少しの間はバイトも来てたけど、来なくなったの」


沈黙。

風が、少しだけ強く吹く。


「……他に、何か覚えてることは?」

「……」


少し考える。


「……一回だけ、バイト始まる前に電話してるの聞いた」

「どんな?」

「なんか言い争ってたけど。その時は彼氏かな、って思ったかな」


一瞬、全員の思考が一致する。


「……まぁ、よくよく考えると変なんだけど、ね。お金がどうとか言ってたし。でも、妙に慌ててた気もするんだよね」


(……買ってた側、か?)


「それだけ?」

「うん」


高梨さんが立ち上がる。


「もういい?これ以上は、情報料が欲しいところなんだけど」

「助かった。ありがとう。あと、この件に関わらないように。君、今日待ってなかったら調べようとしてただろ?」

「……なんのことやら。でも、水瀬さんをお願いします」


強い視線をこちらに向けた後、背を向ける。

少しだけ歩いてから、止まる。


「……あの子、悪い子じゃない。絶対に」


振り返らないまま言い、そのまま去っていく。

鴨志田が小さく息を吐く。


「……ドラッグっすか。調べてみます?」

「ああ」


短く返す。

頭の中で整理する。


・水瀬遥

・ドラッグ

・渋谷のバー

・黒い服の男

・行方不明


(……何かを見落としている気がする)


エレナが口を開く。


「ドラッグ?と異世界の関係は不明ですが……三名の接点は“場所”ですよね」

「渋谷か」


鴨志田が腕を組む。


「……アングラな店は多いっすけど。こっちの領分じゃないっすからね」

「まあな。とはいえ、榊原をもう一度調べ直してもいいかもしれないな」


即答する。


「……現時点では、情報が足りない」


リリアが小さく言う。


「……何か出てくるといい、けど」

「ああ」


間違いなく、何かがある。

鴨志田が肩を回す。


「じゃあ、夜遅いっすけど、渋谷行きます?」

「……いや、これ以上は三人を連れていけない。条例違反になりかねん」


今日はここまでだ。

無理に動く段階じゃない。


「帰るぞ」


鴨志田は残念そうな顔をしていたが、三人は素直に頷く。

鴨志田とは電車の中で別れ、夕飯の食材を購入して帰宅。

扉を開ける。

見慣れた部屋。


「……ただいま」


ミアが小さく言う。


「……ただいま」


リリアも続く。

エレナは静かに靴を揃える。

いつもの光景。


だが――


(……何も掴めず、か)


椅子に腰を下ろす。

目を閉じる。

渋谷。バー。黒スーツ。

異世界のメモ。


(……ドラッグと、異世界。 この二つが――繋がるのか?)


まだ足りない。

ゆっくりと息を吐く。


「……今日は休もう」

「はい」


短い返事。

夕飯を食べ、汗を流し、ベッドに横になる。

意識が沈んでいく。

次に目を開ける場所は、決まっている。


――異世界。


戦いと、答えが待つ場所へ。

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