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陰で育てる少女たちのチート冒険譚~奴隷少女たちを最強に育てる陰の策略~  作者: spichat
第1章 始まりの事件と奴隷少女

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第20話

草原に風が流れる。

足元には、倒れたホーンラビット。

初戦闘にしては上出来だろう。

短い戦闘だったが、本人たちにとっては死闘だっただろう。


「……やった」


ミアが、小さく息を吐く。

握っていた短剣を、ようやく下ろした。


「……倒せた」


リリアも、遅れて頷く。

まだどこか実感がないのか、倒れた魔物をじっと見ている。

エレナは一歩引いた位置で、周囲に視線を巡らせていた。


「……周囲に魔物はいません。危険はないかと。報告部位を持ち帰れば依頼達成です」

「そうだな」


三人を見る。

動きは拙い。隙も多い。

だが――


(ちゃんと“戦った”か)


それでいい。


「報告に戻るぞ」


三人が頷く。

そのまま街へと引き返した。

ギルドに戻ると、夜の空気に変わっていた。

声と、酒の匂いと、ざわめき。


「お帰りなさいませ。依頼はいかがでしたか?」

「ホーンラビット二体、討伐済みだ」


討伐証明部位の角を差し出す。

受付嬢が確認し、頷いた。


「依頼達成です。銅貨3枚です」


ミア、リリア、エレナがそれぞれ受け取る。

帰ってくる途中に報酬の話はしていた。

今回のクエストは彼女たちが受け、達成したものだ。

俺が受け取るのは筋違いだと。

ミアとリリアが、それをじっと見ていた。


「……これが、報酬」


ミアが呟く。


「……うん」


リリアも、小さく頷く。

エレナは静かに一礼した。


「ありがとうございます」


受付嬢が、少しだけ微笑む。

用は済んだ。

そのままギルドで夕飯を取るのも良かったが、ギルドで酔っ払いに絡まれても嫌なので後にする。

宿に戻る道中の屋台で夕食を買ってもいいが、食べ歩きよりかは、今は座って食べたい。

宿の扉を押し、カウンターへ向かう。


「部屋、もう一つ頼めるか?」


そう言った瞬間だった。


「必要ありません」


エレナが口を挟む。


「……は?」

「私たちは同じ部屋で構いません。お金の無駄です」


迷いのない声。

ミアも頷く。


「……一緒でいい」


リリアも、少しだけためらってから。


「……離れるの、やだ」


(いや待て)


「それは――」


言いかけたところで。


「その方が助かりますねぇ」


昨日とは違い、男の店主が割り込んできた。


「部屋が少なくてですね。大部屋一つでお願いできると助かります。おまけしますから」


(……そっちもか)


一瞬だけ考える。

三人を見る。

不安と、期待。


(……まあいいか)


「分かった。同じ部屋でいい」


三人の表情が、少しだけ緩んだ。

鍵を受け取り、先に食堂に入る。


木のテーブル。

温かい料理の匂い。

空いている席に着く。

女将さんは厨房で料理を作っているようだ。

忙しなく動く配膳係の少女がこちらにも料理を持ってきて並べる。


肉の香草焼き。野菜の煮込み。パン。

三人が、同時に手を止めた。


「……いただきます」


揃った声。


(ちゃんと覚えてるな)


ミアが一口食べる。


「……おいしい」


短い。

だが、それで十分だった。

リリアも続く。


「……あったかい」


エレナはゆっくりと口に運ぶ。


「……なんだか今日は疲れましたね」


(……疲れてるな)


三人とも、目に力がない。

手の動きも鈍い。


「食ったら寝ろ」


三人が顔を上げる。


「無理するな。明日も動くんだろ」


少しの沈黙。


「……分かりました」


エレナが頷く。

食事を終え3階の部屋に行く。

昨日と同じベッドが並ぶだけの簡素な部屋。


三人が、それぞれ横になる。

ミアはすぐに寝息を立てた。

リリアも、それに続く。

エレナだけが、少しだけこちらを見る。


「……ありがとうございます」


小さく言って、目を閉じた。

ベッドで寝るのは久々なのだろう。


(……少しは心を許してくれてるといいが。さて)


椅子に腰を下ろす。

三人とも今日は疲れていたのか既に寝息を立てている。

それであればと、鍵を取り出す。


(……使うか)


扉が現れ、中に入ると光に包まれる。

切り替わる空間。

ダンジョン。

ただ、視界に映った光景に驚く。

この光景は知っているーーまさかの最初から。


(リセットか。なんて事ないが…)


敵が現れては


(■■■――)


と、腕を振る。

時間の感覚が薄れていく。


(……これでいい)


ただ、積み上げる。

やがてーー


【ミア、リリア、エレナの職業レベルが上限に到達しました】


(……来たな)


共有スキルは正常に働いているようだ。

三人の“底”が引き上がる。


(村人Lv50)


目標到達に安心し、息を吐く。

共有スキルが正常に機能していることに加え、もう少し時間がかかるかと思ったが、案外短時間で終わってくれた。


(ここまででいい)


三人については十分と案男子、意識を切り替える。


(……俺の方はどうだ)


【職業レベル】

・村人 Lv114

・魔法使い Lv87

・黒魔術師 Lv68

・初級鑑定士 Lv72

・冒険者 Lv52

・ジョブ未設定


(…後々、考えるか)


ダンジョンから帰還し、部屋に戻る。

ダンジョンのことは三人に知らせたくなかったので、眠ったままの様子に安堵する。


(……よし)


椅子に腰を下ろす。

一階層から進んでいくのはさすがに疲れた。

自然と目を閉じる。


(次は――)


意識が、ゆっくりと落ちていった。

2026.04.26 文書を修正しました


お読みいただき誠にありがとうございます。

ついに20話公開となりました。

タイトル通り、キャラも揃い始め、これから物語はどんどん加速していきます。

面白いと思っていただけたら、ブクマや評価いただけると励みになります。

何卒よろしくお願い致します。       spichat

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