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陰で育てる少女たちのチート冒険譚~奴隷少女たちを最強に育てる陰の策略~  作者: spichat
第4章 南部奪還と奴隷少女

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第102話

(……さて、どうしたものでしょう)


家の外を囲む気配は、およそ二十とミアが手で合図した教えてくれます。

自然な流れで窓からリリアが確認しますが、取り囲んでいる人たちは確認できず……

こちらが寝静まるのを待ってのことだと思いますが、数だけで見れば、私たちを制圧するには十分な人数でしょう。


(……一体、何が目的なのか)


私たちを捉えようとしているのか、はたまた邪魔者を消そうとしているのか。

どちらの理由であっても、今、取り囲んでいるのは明らかに敵でることは間違いありません。


「……エレナさん、どうしますか?」

「できれば、穏便に済ませたいところですが」


セラとしては、ここで敵を掃討するのは避けたいように感じます。

帝国民の可能性もありますが、人を殺めることに対して抵抗があるようにも思えます。

ですが、ここは戦地。

甘えなどしてしまっては、こちらの損害が大きくなるばかりです。


「……ご主人様には申し訳ないですが、相手の無力化を最優先に。手加減は無用。いいですね?」


私の判断に皆さん頷いてくれます。

私はゆっくりと息を整え、全員の顔を見渡しました。

誰一人、焦っている者はいません。


「まずは、ルナ。魔法で広範囲に攻撃を。それを合図に攻撃を仕掛けます」


ルナが何時でもいけると合図を返してきたので、早速掃除を始めてしまいましょう。

ご主人様が戻る前に――


「いきます!」


私の合図でルナが範囲魔法を放ちます。

その範囲魔法の餌食になった数名は、これで戦闘から離脱することでしょう。

ミアは魔法の発動と同時に、窓から飛び出て玄関正面にいる相手に突っ込みます。

そちらの援護にはフィアが入り、ミアが対処しきれなかった相手の足を的確に撃ち抜きます。

リリアはミアとは逆方向に向かい、そちらの掃討をするようです。

リリアは最近、双剣に凝り始めて、手数の多さもさることながら、ミアに攻撃の軌道や相手の動きの読み方を教わって、ぐんぐん力をつけています。

こちらはリリアだけでも大丈夫でしょう。

セラさんは建物の東側を相手するようで、彼女が持つ剣の中でもあまり殺傷能力のないものを選んでふるっています。

とはいえ、セラもだいぶ腕力が付いているというか、普通の人なら悶絶で済みそうなもころを、安易に骨折させれる程度の怪力は持っています。


(……セラは殺さずを貫くでしょう。尋問するならそちらの構成員にしましょうかね)


襲ってきている時点で、私の中では殺さないという選択肢はありません。

ご主人様であればそうしたかもしれませんが、相手からの殺意に優しさは不要なのがこの世界です。

最後に、ルナは範囲魔法を家の中から連発して放っています。

炎の壁や氷の礫、風の刃に電気ショック。

ルナの魔法もたいぶ凶悪なものに変わってます。

今は多少威力を弱めているのか、そこまで致命傷にならない程度にしていそうです。

私はというと、西側に展開している相手に攻撃を仕掛けます。

ルナのお陰で、相手の行動は単調なものになっているので、相手しやすいです。


「…………!!」

「……あなた方は何者ですか?」


私が担当している西では、皆さん黒装束で、私が改めて告げると、まさか声をかけられるとは思っていなかったのでしょうが、少し雰囲気から殺気が薄れているように感じます。


「……喋れませんか……何か知っていたら良かったのですが。あなた方に利用価値はなさそうですね」

「「……」」


言葉をかけても反応すらしません。

人型であっても、人族ではないような……

その違和感はルナも感じていたようで、私の近くに来ると、コソッと耳打ちしてきました。


「……この、人たち、心、失ってる、かも?」

「どういうことですか?」

「……催眠、とか?」


確かに私たちの攻撃を受けても、特に痛がる様子もなければ、仲間を気遣うこともしません。

感じていた違和感にやっと気付いた時、この村の異様さにも合点がいきました。

村人たちは生活しているようで、動作を真似ているだけ。

ここの村人は既に人ならざるものであった……


(……となると、ここの村でラグナードの話やサウスノーランドの話が聞けなかったことも)


私の中で答えが繋がり始めます。

あくまで推論にすぎませんが、この村は既に壊滅された後。

村という建前を利用した、外部からの冒険者等をこの村で始末するために作られた村。

となると、この村人たちは――


「……ルナ、あの人たちは人族かしら?」

「……やって、みる?」


ルナは私の意図を汲み取り、ある呪文の詠唱を始めます。

ルナにお願いした魔法は、他の魔法の詠唱を破棄できるルナでさえ、きちんと詠唱しなければならない高等魔法。

それは、ルナが魔族であることも要因としてありますが、神に祈り、神の奇跡の一端を借りる魔法。


「……いく!セイクリッドサークル!」


ルナが唱えた"神聖魔法"により、円の中に存在するアンデットを浄化したり、ルナが疑っていた催眠効果を打ち消す呪文です。

いわゆる、聖女が使えるような魔法を、ルナはいつの間にか練習して、詠唱の必要性があるものの使えるようになっていました。

サークル内にいた村人らしきものは、この聖なる円によって行動を停止、もしくはその場で膝から崩れ落ちていきます。


「……エレナ、当たり。この人たち、アンデット」

「……そうですか。なら、早く楽にしてあげないとですね」


私の中に怒りの感情が芽生えます。

この村人たちは、ただ生きていたかっただけなはずなのに、それすらも許されない、死を冒涜したような扱いをする黒幕がいることに苛立ちが収まりません。

しかも、形は人型。

アステリアは今まで人を殺めるということはしてきませんでした。

それはご主人様の世界では決してしてはならないことであり、この世界に生きる私たちでも最初は躊躇うものだからです。

それを逆手にとったような作戦に、私は大きな声で皆に作戦を伝えます。


「総員!相手は人型ですが人族ではありません!早く楽にしてあげてください!」


私の言葉にセラは嫌な顔をしたことでしょう。

彼らもまた、元帝国民であったのですから。

ただ、現状では、生きる屍でしかありません。

きちんと弔うのであれば、彼らを嫌でも止めるしかありません。


「……ルナ、大変でしょうが、連発できますか?」

「……頑張る」


こんな時にご主人様がいればなんて思ってしまうこともありますが、いない以上、私たちでやれる最大限をやるしかありません。

南側はミアとフィアが人族だろうと構わず殲滅することにしたお陰でだいぶ数は減っているようです。

相手が生きていなければ、ミアとしても思いっきり攻撃できるからでしょう。

セラとリリアがいる西側は、セラがまだ踏ん切りがつかないようですが、リリアの双剣から繰り出される連撃で相手を沈黙させているようです。


(……これだけの数のアンデットとなると、村にいる誰かが使役していると考えるのが妥当ですよね。怪しいのは村長ですが――)


怪しい人物はわかっています。

しかし、今この場から村長は見当たりません。

とすれば、どこからかこの戦いを見ているはず。

ルナに西と北の処理は任せ、私は一度家の屋根から周囲を確認します。


(……あの村長のことです。安全な場所からコソコソ攻撃しているに違いありません)


そう思い、懸命に探しますがそういった人物はいません。

であれば、この集まった二十人を迅速に処理するしかありません。


(……倒しても起き上がるとは。なんと面倒な)


今はこちらが有利に進めていますが、疲労や魔力枯渇は既にいつ起きてもおかしくありません。


(ご主人様……早く帰ってきてください)


そう願ってしまうほどの消耗戦。

それでも戦いは加速するのでした。

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