第128話「影牙の血報、深影の名が響く」
第128話
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扉が強く叩かれた。
「姫殿下……!
影牙の隊長が……!」
声が震えている。
スエンはすぐに扉を開けた。
そこには――
血に濡れた影牙の隊長が立っていた。
その後ろには、
重傷を負った影牙の隊員が2名、
壁に寄りかかるようにして立っている。
全員が傷だらけ。
呼吸は荒く、
今にも倒れそうだった。
「……姫……殿下……」
スエンは駆け寄り、
隊長の身体を支えた。
「喋らなくていい。
治療班を――」
「いえ……
まず……報告を……」
隊長はスエンの腕を掴んだ。
その手は震えていた。
だが、その瞳は揺らいでいなかった。
「……侵入者……
は……深影……
三つの班に分かれ……
アーソンへ侵入……」
スエンの瞳が鋭く光る。
「深影……?
アスーカ教皇の……暗部……?」
隊長は小さく頷いた。
「……はい……
我ら影牙は……
三か所で迎撃……
しかし……」
言葉が途切れる。
スエンは静かに促した。
「続けなさい」
隊長は血を吐きながら、
それでも言葉を絞り出した。
「……第一戦場……
屋根の上……
我ら五名……
三名戦死……
二名……重傷……
深影は……全滅……」
スエンの胸が痛んだ。
だが表情は変わらない。
「第二戦場……
監視塔の庭……
我ら五名……
三名戦死……
二名重傷……
深影……全滅……」
スエンは息を呑む。
影牙は強い。
その影牙が、
これほどの損害を受けるなど――
前代未聞だった。
隊長はさらに続けた。
「第三戦場……
地下水路……
我ら五名……
四名戦死……
一名……重傷……
深影は……
二名が……突破……」
スエンの瞳が大きく揺れた。
「突破……?
どこへ?」
隊長はもう立っていられなかった。
スエンの腕の中に崩れ落ちる。
「姫殿下……
申し訳……ありませ……」
「謝る必要などないわ」
スエンは静かに言った。
その声は冷たく、
しかし深い慈しみを含んでいた。
「あなたたちは……
アーソンを守るために戦った。
その誇りは、誰にも汚させない」
隊長の瞳に、
わずかな光が戻る。
「……姫……殿下……」
スエンは彼の手を握りしめた。
「もういい。
休みなさい。
あとは私がやる」
隊長は小さく頷き、
静かに目を閉じた。
スエンは立ち上がり、
窓の外の霧を見つめる。
霧は静かだ。
だがその奥で、
確かに“何か”が動いている。
「深影……
アスーカ教皇の影……
何を狙っている……」
スエンの瞳が鋭く光る。
霧が揺れた。
まるでスエンの決意に応えるように。
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