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第127話「第三戦場:地下水路」

第127話

ご愛読いただきありがとうございます。

すでに、ブックマーク/星評価をつけてくださった皆様ありがとうございます!

アーソンの地下は、

地上とは別の“もう一つの街”のように広がっている。

古代の水路、

獣人王国が築いた防衛用の地下道、

封命供魔の儀式に使われた痕跡――

それらが複雑に絡み合い、

迷宮のような構造を作り上げていた。


深影しんえい第三班――6名。

任務は 海核の所在を特定すること。


彼らは魔導探知機を手に、

湿った石畳の上を音もなく進んでいた。

水路の天井から滴る水滴が、

ぽたり、ぽたりと落ちる。

その音が、

やけに大きく響く。

「……静かすぎるな」

隊長が低く呟く。

「霧の流れも……地上とは違う。

ここは“閉じた空間”だ。

気配が乱れる」

深影の一人が魔導探知機を確認する。

「海核の反応、微弱ですが確かにあります。

この先……さらに奥です」

隊長は頷く。

「急ぐぞ。

海核の所在を突き止める」

6名は再び進む。


だが――

その先に、

すでに“影”が待ち構えていた。


水路の奥から、

金色の瞳が五つ、

ゆっくりと浮かび上がる。

「……影牙えいが

深影の隊長が呟く。

影牙のひとりが一歩前に出る。

その動きは静かで、

しかし獣の威圧感を纏っていた。

「侵入者。

ここから先は通さない」

深影隊長が刃を抜く。

水音が止まった。

湿った空気が揺れた。

そして――

戦いが始まった。


・・・・・・・・・・


地下水路は狭い。

天井は低く、

左右の壁は湿って滑りやすい。

深影は連携を重視するが、

この狭さでは動きが制限される。

影牙は獣の勘で動く。

狭い空間は、

むしろ彼らにとって有利だった。

影牙の一人が、

獣の速度で深影へ飛びかかる。

深影は即座に反応し、

刃を横に払って受け止める。

金属音は鳴らない。

湿気が音を吸い込む。

ただ、

衝撃だけが空気を震わせた。

深影の一人が魔道具を起動し、

淡い光が水路を照らす。

その一瞬だけ、

影牙の姿が浮かび上がる。

だが――

その姿はすでに次の動きへ移っていた。

「速い……!」

深影の一人が呟く間もなく、

影牙の爪が深影の肩を裂いた。

血が水路の水に落ち、

赤い波紋が広がる。

深影は反撃に転じ、

刃を影牙の腹部へ突き立てる。

影牙は跳躍し、

天井を蹴って深影の背後へ回り込む。

「くっ……!」

深影の刃が影牙の腕を裂き、

影牙の爪が深影の胸を貫く。

互いに血を流しながら、

狭い水路で倒れていく。


・・・・・・・・・・


深影隊長が叫ぶ。

「隊形を維持しろ!

狭さを利用しろ!」

だが――

その声も湿気に飲まれた。

影牙の爪が深影の背中を裂き、

深影の刃が影牙の腹を貫く。

二人は同時に倒れた。


残る深影は5名。

影牙は4名。


深影の一人が魔道具を起動し、

光で水路を照らす。

その一瞬、

影牙の位置が見える。

「そこだ!」

深影が一斉に飛びかかる。

だが――

影牙は壁を蹴り、

天井を蹴り、

水路の中を縦横無尽に動く。

「なんて動きだ……!」

深影の一人が驚愕する。


影牙にとって狭い空間は、彼らの“縄張り”だった。

深影の一人が背後から喉を裂かれ、

水路に沈む。

別の深影が影牙の足元へ滑り込み、

短剣を突き上げる。

影牙は跳躍し、

深影の頭上を飛び越え、

背後から喉元を狙う。

深影は振り返りざまに刃を構えるが――

間に合わない。

爪が深影の喉を裂いた。

水路が赤く染まる。


・・・・・・・・・・


激しい戦闘の末、

深影第三班は――

隊長を含む四名が戦死。

残るは二名。

二人とも深手を負い、

呼吸は荒く、

足取りは重い。

だが――

彼らには“使命”があった。

「……魔導探知機……

海核の位置……記録した……」

「行くぞ……

ここで死ぬわけには……いかん……」

影牙の隊長、影牙最後の一人が、

血を流しながら立ちはだかる。

「……通さない……

ここから先は……」

深影の一人が刃を構える。

「悪いが……

俺たちは行く」

二人は影牙を振り切り、

水路の奥へと走り出した。

影牙は追おうとするが――

膝をつき、

その場に倒れた。

深影の刃が、

影牙の胸を貫いていた。

影牙5名のうち4名が戦死し、

残る一名も重傷で倒れた。


・・・・・・・・・・


深影の二名は、

血を流しながら水路を抜け、

地上へと戻った。

霧の中をふらつきながら進み、

城下町を抜け、

アーソン外縁の森へと向かう。

「……急げ……

ブルイドン様に……伝えねば……」

「海核の位置……」

二人の足取りは重く、

視界は揺れ、

呼吸は荒い。

だが――

彼らは進む。

使命のために。

最後までお読みいただきありがとうございました。

気に入っていただけた方は、ぜひ、

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よろしくお願いいたしますm(__)m

つけてくれると、嬉しいです。

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