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第123話「影と影」

第123話

ご愛読いただきありがとうございます。

すでに、ブックマーク/星評価をつけてくださった皆様ありがとうございます

霧の都アーソン。

夜になると街全体が白い霧に包まれ、

灯りはぼやけ、足音は吸い込まれる。


この霧は、アーソンの象徴であり、

同時に“守り”でもあった。

濃霧が外敵の侵入を阻み、

街の気配を覆い隠す。


だが、この夜は違った。


霧の奥で、確かに“何か”が蠢いていた。

それは風でも獣でもない。

もっと静かで、もっと冷たく、

もっと“意図的”な動き。


封命供魔が解けたことで、

260年もの間アーソンを覆っていた巨大な結界は完全に消失した。

街を守る“外殻”が失われた今、

アーソンは久しくなかった無防備な状態にある。

しかし――

海核そのものを封じる 七重封海陣 は健在で、

海核の正確な位置は依然として不明のままだった。

結界が消えたことで街は外敵に晒されたが、

海核はまだ“深い霧”と“封印”の奥に隠されている。


しかし、その封印を破ろうとする影が、

アーソンへと迫っていた。


・・・・・・・・・・


アーソン外縁の森。

月明かりすら届かぬ闇の中に、

黒い影がひとつ、またひとつと現れた。

アスーカ教皇直属の暗部――

深影しんえい

20名。

全員が気配を消し、霧の中に溶け込むように進む。

隊長の男が、低く囁いた。

「アーソン全体の結界は消失した。

だが、海核を覆う結界は残っている」

深影の一人が頷く。

「海核の結界は魔力をほぼ完全に遮断している。

位置を特定するには、魔導探知機が反応できるほどに海核に近づくしかない」


隊長は霧の奥を見据えた。

「第一班は城下町へ。

騎士団の動きを封じろ」

「第二班は監視塔を沈黙させろ」

「第三班は私と共に、海核の痕跡を追う」

「「御意」」

深影は霧の中へ消えた。

まるで霧そのものが動き出したかのように。


・・・・・・・・・・


同じ頃――

アーソン城の高層部。

サマヴァー獣人王国 第1王女

スエン・ツー・カンコは、

窓の外の霧を見つめていた。


「……妙ね。

霧の流れが不自然」

アーソンの霧は、

風向きや湿度で変化するが、

“意志”を持ったように動くことはない。

だが今夜の霧は、

まるで何かを隠すように、

あるいは何かを飲み込むように揺れていた。


その背後に、

黒い影がひざまずく。

スエン直属の暗部――

影牙えいが

「姫殿下。

“異質な気配”を確認しました」

スエンは目を細めた。

「異質……?

アーソンの霧に紛れられる者など、

そう多くはないはずよ」


影牙の隊長が続ける。

「気配は極めて薄く、

通常の追跡術では捉えられません。

しかし……

“何者かが侵入している”のは確実です」


スエンは静かに命じた。

「影牙、全隊に通達。

アーソンに侵入した影を排除しなさい。

正体は問わない。

この街に害をなす者は――すべて敵よ」


「御意」

影牙は音もなく消えた。

最後までお読みいただきありがとうございました。

気に入っていただけた方は、ぜひ、

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よろしくお願いいたしますm(__)m

つけてくれると、嬉しいです。

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