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第120話「封じられた魂と三つの角」

第120話

ご愛読いただきありがとうございます。

すでに、ブックマーク/星評価をつけてくださった皆様ありがとうございます!


ぐーたら第三王子は、魔法の廃れた世界で、龍魔王の力をこっそり使い、世界を救う 第31話「封じられた魂と三つの角」とあわせてお楽しみください。

翌朝。

王都アイーズは、雲ひとつない快晴だった。

山々の雪が陽光を反射し、空気は澄みきっている。

「今日は……どうなるかな」

マサヴェイは小さく呟いた。

背後には、黒燕尾服のゴシファー、

地味メイド服のシスモ、

そして革靴を鳴らしながら歩く、見た目は完璧な紳士なのにオネエ口調のゴモン。

「マサヴェイ様、アツレク殿下の監視はすでにまきました。

ご安心を」

ゴシファーが淡々と言う。

「えっ、いつの間に……?」

「マサヴェイ様が靴紐を結び直している間に」

「は、早い……」

シスモがくすくす笑う。

「はいはい、マサヴェイ君は気にしなくていいのよ~。

あたしたち、こういうの得意なんだから」

ゴモンは扇子をパタパタさせながら言う。

「アツレク君の監視なんて、あたしの革靴で軽くいなしてきたわよ~♡

ヒールじゃないから走りやすいのよねぇ」

「走るな」

ゴシファーが冷静に突っ込む。

そんな軽口を交わしながら、

一行は王宮から離れた湖畔へと向かった。


・・・・・・・・・・


湖畔に着いた瞬間、

マサヴェイは思わず息を呑んだ。

湖面には、雪をかぶった山々と青空が映り込み、

上下の境界が分からなくなるほどの透明度だった。

「……綺麗だ」

「マサヴェイ様、足元にお気をつけください」

ゴシファーがそっと支える。

湖畔の風は冷たく、しかし心地よい。

マサヴェイは深呼吸し、胸ポケットにそっと触れた。

「……ん?」

胸ポケットから、黒く艶のある小さなトカゲが

ひょこっと顔を出した。

「おはよう」

トカゲは小さく「コロロ」と鳴いた。

このトカゲは、

マサヴェイが召喚した使い魔であり、

ヴィオデスの魂とつながる“媒介”だ。

その瞳は、ただの使い魔とは思えないほど深い黒。


・・・・・・・・・・


湖畔を歩いていると――

前方に3つの影が見えた。

ガルド・ホルヴァルガ・ヴァルノクス。

リュシアンナ・ネレアーク・ヴァルノクス。

エヴァンジェリナ・ノクティカーナ・ヴァルノクス。

3人は膝をつき、頭を垂れていた。


そして――

それぞれの角が、朝日に照らされて輝いていた。

ガルドの白銀色の角。

リュシアンナの淡い青色の角。

エヴァンジェリナの漆黒の角。

その三つの角が、

まるで“探知機”のようにマサヴェイへ向けられている。

「……始めたな」

ゴシファーが小声で呟く。

ヴァルノクス3人は、

必死にマサヴェイの中の“魂”を探っていた。

だが――

マサヴェイの胸の奥には、

蒼く輝く透明のキューブが存在している。

その中に、

ヴィオデスの魂は封じられていた。

外からはほとんど感じ取れないほど、

強固な封印。

(……これなら、簡単には気づかれない)

マサヴェイは静かに立っていた。

胸ポケットのトカゲ――ヴィオデスが、

じっと3人を見つめている。

* * *

最初に反応したのは、ガルドだった。

白銀の角が、わずかに震える。

「……っ……!」

ガルドの目が見開かれた。

「……微かだが……確かに……

“龍魔王様の魂”の波動……!」

リュシアンナは眉をひそめる。

「えっ……?

わ、私は……何も……」

エヴァンジェリナも首をかしげた。

「私も……感じ取れませんでした……」

ガルドは深く息を吸い、

ゆっくりと立ち上がった。

「……確かに、微弱だ。

だが――間違いなく“そこ”にある」

ガルドの視線は、

マサヴェイの胸元へ向けられていた。

その瞬間――

胸ポケットのトカゲが「コロッ」と鳴いた。

ガルドの目が丸くなる。

「……そ、そのトカゲは……?」

「マサヴェイ様の使い魔です」

ゴシファーが淡々と答える。

ガルドは慎重に問いかけた。

「……あなたは……

ヴィオデス様の……?」

トカゲが、

ゆっくりと頷いた。

「コロロ」

ガルドは一歩後ずさり、

次の瞬間――

膝をついた。

「……っ……!

このような形で……お目にかかれるとは……!」

リュシアンナとエヴァンジェリナも慌てて跪く。

「ま、まさか……!」

「魂の“分身”……!」

ゴモンは扇子をパタパタさせながら目を輝かせた。

「やぁん……可愛い姿しちゃって……♡

でも中身はヴィオデス様なのねぇ……!」

シスモも頬に手を当てる。

「マサヴェイ君の胸ポケットから出てくるのって……

なんて可愛いの……!」

ゴシファーは静かに微笑んだ。

(……マサヴェイ様の封印は完璧です。

感じ取れたのは、ガルド殿だけ……)

ガルドは深く頭を垂れた。

「マサヴェイ殿下……

そしてヴィオデス様……

我らヴァルノクスは、

あなた方に忠誠を誓います」


ガルドたちが深く頭を垂れたまま動かない。

湖畔には風の音と、水面の揺れる微かな音だけが響いている。

マサヴェイは静かに息を吐いた。

(……これで、ヴィオデスの魂を正しく感じ取れたのは

ゴシファーとガルドの2人、ということか)

胸ポケットのトカゲのヴィオデスが、

「コロロ」と小さく鳴いてマサヴェイを見上げる。

(……そろそろ、ちゃんと向き合わないとな)

湖面に映る自分の姿は、

どこか覚悟を決めたように見えた。

最後までお読みいただきありがとうございました。

気に入っていただけた方は、ぜひ、

・ブックマーク

・下の評価で5つ星

よろしくお願いいたしますm(__)m

つけてくれると、嬉しいです。

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