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あの夏の花火  作者: 森好子


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第5話 いらんことが誰かを癒やす

第5話。次で最終回です

教会を出たあと、二人は海沿いの道を歩いた。

潮風が髪を揺らし、遠くで鳴いているのはウミネコだろうか。

ふいに、ヨシコが言った。


「ヤスコ、昨日な……あんたが悲鳴あげたとき、うち思ったんよ」

「何を?」


ヤスコは立ち止まった。

ヨシコは、少しだけ寂しそうに笑っていた。


「中学のときから、ずっとやん。うちがいらんことして、ヤスコが困って……

 昨日もまた、そうやったなって」


ヤスコは、胸の奥がきゅっと痛んだ。

「……違うよ。

 確かに怖かったし、迷惑って思ったよ。

 でもな……あんた、すごいわ」


「え?」


「うちにはないもん、あんたには持ってる。

 ありえへんな、と思うものを見ても、怖がったり、拒絶したりせんと

 あんたは見たものを見たまま、受け入れられる。

 それって……すごいことやで」


ヨシコはぽかんとした顔をしたあと、

照れくさそうに笑った。


「ヤスコにそんなこと言われる日が来るとはなあ」


二人は顔を見合わせ、潮風の中で笑った。


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