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あの夏の花火  作者: 森好子


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第4話 教会の静けさの中で

第4話。あと1話で終了予定です。

翌朝、二人は予定通り教会巡りに出かけた。

島の教会は、どこも静かで、

潮風と祈りの気配が混ざり合っていた。


白い壁、木の香り、遠くで響く波の音。

その静けさの中で、ヤスコはふと、

昨夜の子どもたちの姿と、ヨシコの言葉を思い出した。

――困ったような、でも嬉しそうな表情。


あれは、確かに“誰か”の表情だった。


「ヤスコ」

ヨシコが隣に立っていた。

いつもの調子で笑っている。


「昨日のこと、怖かったな。ごめんな」

「……うん。怖かった。

 あんたが幽霊に話しかけんかったら、あんな怖い思いせんですんだんやで。

 なんであんな普通に話しかけたん?」


ヨシコは肩をすくめた。


「まあ、幽霊とか思ってなかったしな。でもなんか日本語ちゃう言葉で話してて

 ちょっと寂しそうにしてるように見えてん。」


「ていうか、目の前で消えたんやろ?普通に怖ないか?

 なんでそんなに落ち着いていられんねん」


「え?だって嬉しそうやったで。別に怖いと思わへん。」


その言葉は、あまりにも真っ直ぐで、

ヤスコは胸の奥がじんと熱くなった。

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