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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第二十八章 謎の隠し通路

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第3話 暗闇の中から現れたのは?

「はっ、ルナ! 早く隠れるのじゃ! 何か良からぬ気配がこちらに近づいてきておるのじゃ!」


 暗闇の中から近づく気配を察知してルリが慌てた様子で声をかけると、不思議そうに顔を傾げるルナ。


「何をしておるのじゃ! もしかしたら飯島の関係者が戻ってきたのかもしれぬ……」


 神妙な面持ちで声を上げるルリを見て、ルナは小さく息を吐くと暗闇が広がる通路に向けて飛び出していく。信じられない行動を目の当たりにした彼女は真っ青な顔になり、慌てて後を追いかける。


「ルナ! 早く戻ってくるのじゃ!」

「キュ? キューキュキュ」

「いやいや、大丈夫だからついて来て……じゃないのじゃよ! どこに何があるのかわからないのに危なすぎるのじゃ!」


 必死に訴えかけるルリの言葉など気に留めることもなく、暗闇が続く通路を駆け抜けていく。そしてしばらく走ったところで、何の前触れもなく急停止する。


「わー! 急に止まるのではない!」


 いきなり止まったルナにぶつかりそうになったため、回避しようとしたルリの足がもつれて盛大に転ぶ。


「キュー! キュキュキュ!」


 顔面から地面に飛び込んだルリを見て、悲痛な鳴き声を上げたルナが慌てて駆け寄っていく。


「イタタ……ルナ、急に止まるのはやめてほしいのじゃ」

「キュ……」


 申し訳なさそうに耳が垂れ、悲しそうな声を上げるルナ。その姿を見たルリは小さく息を吐くと、優しく頭を撫でながら話しかける。


「わかってくれればいいのじゃよ。わらわは大丈夫……っというか、なぜか床がゴムのように柔らかくて怪我をしておらんのじゃ」

「キュ? キューキュキュ?」


 話を聞いていたルナが意味がわからず、不思議そうに顔を傾げている。すると、笑みを浮かべたルリが地面を触りながら声をかける。


「この辺りを触ってみるとわかるのじゃが、不思議な素材でできておるのじゃ。普通に触ると硬いのじゃが、強く押したりするとゴムのように弾力がある素材に変わるのじゃよ」


 ルリの言っている意味がわからず、怪訝そうな顔をしていたルナ。その様子を見て、苦笑いを浮かべた彼女が拳を握りしめて地面に叩きつける。


「キュ!」


 驚いたルナが鳴き声を上げると、さらに信じられない光景が飛び込んでくる。思いっきり叩きつけた拳が地面に激突した瞬間、柔らかいクッションを殴ったような音が響く。そして、手を包み込むように床が受け止めていたのだ。


「キュ……キュキュ!」

「ははは、驚いたじゃろ? どんな構造なのかよくわからんが、衝撃を吸収してくれるのじゃ」

「キュキュ!」


 話を聞いたルナが思いっきり飛び上がり、地面に向かって落ちてくる。そのまま床に体がめり込むと、まるでトランポリンのように体が空中に跳ね上がる。そして、落下してくるとゴムの上にいるように何度も飛び跳ねていた。


「キュキュ!」


 飛び跳ねながら嬉しそうな鳴き声を上げるルナを見て、ルリが目を細めて声をかける。


「ふふふ、ずいぶん楽しそうで何よりじゃ。しかしどんな仕組みや素材を使っておるのか謎じゃのう……」


 ルリが顎に手を当てて考え込んでいると、暗闇の奥から何かが近づいてくる気配を感じた。


「はっ! しまったのじゃ……不思議な素材に気を取られて、すっかり忘れておった……」


 ルリの額から一筋の汗が流れ、どうすることもできない状況に気持ちが焦り始める。


(ど、どうするのが正解じゃ? ルナを連れて今すぐ引き返す……いや、楽しそうに遊んでいるルナを捕まえる時間があるかどうかも怪しいのじゃ。しかし、わらわだけ逃げるなんてことはできぬ……そうなればやることは一つしか無いのじゃ)


 嬉しそうに飛び跳ねているルナを横目で見ながら、覚悟を決めるルリ。短く詠唱を唱え、右手に本を出現させると暗闇の先を睨みつける。


(わらわだけでも切り抜けられるところを見せなければならぬ……いつまでもご主人や音羽お姉ちゃんに頼りっきりというわけには、いかんのじゃ!)


 目を閉じて息を吐くと、静かに魔力をまとわせる。そして、暗闇から近づく影に対し、狙いを定めて先制攻撃を仕掛けようとした時だった。


「ニャ―?」


 暗闇の中から聞こえてきたのは、聞き覚えのある鳴き声。


「え? その()()()は……」


 魔力を集中させていたルリが呆気にとられていると、暗闇の中から顔を傾げた翠が姿を現す。


「な、なんで翠がこんなところに? それよりも今までどこにおったのじゃ?」

「ニャ―? ニャ」


 目を見開いて驚くルリに対し、嬉しそうに笑顔を浮かべてすり寄ってくる翠。意味がわからず困惑していると、飛び跳ねて遊んでいたルナも近寄ってきて体を擦り付ける。


「えーっと……これはどういう状況なのじゃ?」


 意味がわからずルリが困惑していると、ルナと翠が申し合わせたように鳴き声を上げて訴えかける。


「キューキュキュ!」

「ニャ―ニャニャ!」

「へ? ぼーっとしていないで、一緒についてきて。脱出するよ……じゃと? どういうことなのじゃ?」


 二匹が言っていることがまるで理解できず、豆鉄砲を喰らった鳩のような顔になるルリ。

 はたしてルナと翠は、謎の空間から脱出する術を本当に知っているのだろうか?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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