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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第二十七章 ルリの探し物

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第9話 既視感を覚える瑛士

「ご、ご主人! 何を血迷っておるのじゃ!」

「え、瑛士くん! 何があったのかわからないけど、早まっちゃダメ!」


 底の見えない大穴へ向けて歩き始めた瑛士に対し、ルリと音羽が次々と声を上げ始める。しかし、当の本人はまったく気にする様子もなく、そのまま穴に向かって進み続ける。


「だ、ダメじゃ! ご主人、奈落の底へ落ちてしまうのじゃ。今すぐ引き返すのじゃ!」


 悲痛な声で叫び続けるルリに対し、大きくため息を吐くと額に手を当てて振り返る瑛士。


「お前らな……もうちょっと静かに見守るとかできんのか?」


 眉間にしわを寄せ、少し苛立ったように声を上げる瑛士。すると真っ青な顔をした音羽が訴えかけるような声で叫ぶ。


「なんでそんな冷静なのよ! 黙って奈落の底へ落ちていく様子なんか見たくないの!」

「だから、なんで俺が()()()()()で話が進んでいるんだよ……」

「どう見ても道なんてないし、あのまま進んだら大穴に真っ逆さまでしょ!」


 必死に訴える音羽を見て、大きなため息を吐いた瑛士が呆れたように言い返す。


「あのな……じゃあ、穴の中心にいるルナはどう説明するんだよ? お前らの言い方だと説明ができないじゃないか?」


 瑛士が指した先にいたのは、穴の中央付近で四つ足をついて顔を傾げているルナの姿だった。三人が大声で話している様子を不思議そうな顔で見つめていた。


「キュー? キュキュ?」

「あ? 自分がどうかしたかって? 何でもないからそのまま待っていろ、すぐにそっちに行く」

「キュー」


 返事を聞くと短く鳴き声を上げ、その場でおとなしくなるルナ。その姿を見ると、瑛士が音羽に問いかける。


「それでもう一度問うが……なんであいつのことは何とも思わないんだ?」


 彼が問いかけると、少し焦った様子で音羽が答える。


「それは……あれよ! ルナちゃんは特別な訓練を受けているから大丈夫なのよ!」

「特別な訓練ってなんだよ! そんな訓練を受けていたなんて聞いたことがねーぞ!」


 音羽の言葉を聞き、思わず声を荒げる瑛士。すると今度は黙って聞いていたルリが声を上げる。


「ご主人、落ち着くのじゃ。たしかにルナは特別な訓練を受けたことなどないのじゃ」

「そりゃそうだろ……」


 呆れたように言い返す瑛士に対し、腕を組んで頷きながらルリは語り始める。


「まあ、普通のウサギよりも()()()()運動神経と知能が高いのは知っておるじゃろ?」

「……少しどころじゃないと思うが?」

「細かいことは気にするでないぞ? そんな問題は些細なことなのじゃ」


 胸を張って答えるルリに対し、大きく肩を落としてため息をつく。すると彼女は急に真剣な声で声を上げる。


「ご主人、これはすごく大事な問題じゃから心して聞いてほしいのじゃ」

「な、なんだよ……急に真剣な顔になって……」


 あまりの豹変ぶりにただならぬ気配を感じ、思わず身構える瑛士。ルリの迫力に圧され、音羽も真剣な表情で見つめている。そんな二人の視線を受け、小さく息を吐いて口を開く。


「ご主人、もし大穴に落ちてしまったら……」

「落ちてしまったら?」

「誰がわらわのモーゲンダッツや部屋の掃除をするのじゃ!」


 拳を握り締めて大声を叫ぶルリに対し、豆鉄砲を食らったような顔になる瑛士。


「自分でやれや! なんで俺がアイスを補充することになっているんだよ!」


 すぐ正気に戻った瑛士が大声で叫ぶと、ルリが不思議そうな顔で問いかける。


「は? なんでそんなに怒っておるのじゃ? わらわのアイスがなくなったら大変じゃろうが」

「自分で買ってこいや! だいたいなんで俺が部屋の掃除までやらなきゃいけないんだよ! 普段でも『配信で忙しいから入るのは禁止じゃ!』って言っているじゃねーか!」

「ふむ……わらわのような美少女の部屋に勝手に入るには、許可がいるのじゃよ。ね、音羽お姉ちゃん?」


 ルリが黙って聞いていた音羽に声をかける。すると彼女は深く頷くと、口を開く。


「そうね、ルリちゃんの言っていることは間違っていないわ。私たちのような年頃の部屋に、異性が無断で侵入するなんて言語道断……ちゃんと事前に申請書を出して、許可を受けてもらいたいものだわ」

「申請書ってなんだよ! そもそも許可もくそもお前らは居候の身だろうが!」


 フロアに瑛士の絶叫が響くと、二人が大きく頷きながら話し続ける。


「ルリちゃん、聞いた? 居候の身だって」

「うむ、聞こえたのじゃ。まったく……立場というものをわかっておらんようじゃのう」


 わざと聞こえるような声で話し始める二人に対し、大きく口を開けて固まる瑛士。そんな彼のことなど気に留めることなく、会話を続けるルリと音羽。


「だいたい、私たちのような美少女と一緒に住んでいるだけでもご褒美なのに」

「本当にわかってないのじゃ。下僕どもが聞いたら発狂して収拾がつかなくなるというのにな」

「そうよ。私たちは間借りしてあげているだけなのにね」


 なぜか盛り上がり始める二人の会話を聞き、大きく肩を落としながらため息を吐く瑛士。


「なんで家の主人より、同居人のほうが強いんだよ……」


 大きなため息を吐き、ヒートアップする二人を見ると何かを決心したような顔になる瑛士。


「さてと……アイツらに付き合っていたら終わるものも終わらないからな」


 顔を左右に振り、ほほを両手で叩くと二人を無視して動き始める瑛士。

 動き出した彼の行動は吉と出るのか凶と出るのか?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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