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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
幕間㉖

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閑話㉖-6 裏で動く思惑

 遥香との面談を終えた飯島が、モニタールームの椅子にもたれ掛かって大きなため息を吐く。


「ふう……まったく、変に野心を持っている相手は疲れるわ。もうちょっと素直に従っていればいいのに」


 目を細めながら数あるモニターの一つに視線を向けると、そこに映っていたのは怪しげな笑みを浮かべた遥香の姿だった。その姿を見た飯島は、声を出して笑い始める。


「あはは! ばっかじゃない? 本気で自由を手にできると思っているみたいだし。まあ、()()()()()()()()けどね」


 ゆがんだ笑みを浮かべ、ご機嫌な様子で飯島が体を伸ばした時だった。モニタールームの入り口をノックする音が響く。


「はーい、開いているわよ」


 面倒くさそうに返事をすると、聞き慣れた声とともに扉が開く。


「博士、失礼します……って、取り込み中でしたか?」

「もう終わったわよ。ちょっと面倒くさい相手で疲れちゃったけど」


 室内に入ってきた人物を見ることなく返事をすると、少しいら立ったような声が飛んできた。


「そうですか……って、部屋から一歩も出ていないくせに何を言っているんですか! こっちは顔を合わせて交渉してきたんですよ?」

「あーはいはい、お疲れ様。だいたいなんで私のような高貴な人間が、使い捨ての駒ごときに出向かなきゃいけないの? あいつらが私のもとに来てひれ伏しながら、よろしくお願いしますっていうのが筋でしょ?」


 頬を膨らませてそっぽを向いて文句を言う飯島に対し、紀元が怒りで肩を震わせながら声を上げる。


「そもそも……この場所にあの二人がたどり着けるわけがないでしょう……アイツを探すのも一苦労だったんですよ?」

「だーかーら、ちゃんと案内図はメールで送ったでしょ? ちゃんと会えたんだからいいじゃない」

「そういう問題じゃないですよ! まさか十階層の裏に幽閉されているなんて思わないですって! モンスターに襲われないかヒヤヒヤだったんですから!」


 紀元が机を叩きながら抗議の声を上げると、飯島が不貞腐れたような態度で言葉を返す。


「だって仕方ないでしょ? 瑛士くんたちに見つかったら厄介だし、ちょうどいいスペースがあそこしかなかったんだもん。別に死なない程度に食事も与えていたし、ちょっと真っ暗なだけで快適そのものじゃない」

「いや、そのちょっとが普通じゃないって言っているんです……」


 呆れたように紀元が呟くと、腕を組んだ飯島が鋭く睨みつけながら話しかける。


「そもそも……私が時間を割いて面談をしてあげたのに、あんたは差し入れの一つも持ってこないの? 上司が疲れているのはわかっているんだし、ジュース一本くらい買ってきてくれてもいいでしょ?」

「なんでそうなるんですか……そこにある冷蔵庫に大量にアイスがストックされているのは知っていますよ」

「それとこれとは別よ! あの賢治とかいうやつにコーラを与えておきながら、尊敬する上司には手ぶらってのが気に食わないの!」


 子供が駄々をこねるように手足をじたばたさせる飯島を見て、額に手を当てて大きなため息を吐く紀元。


(この人は……世界的な研究結果を次々と発表している博士なのか? 全世界に向けてこの姿を発信してしまいたい……)


「あ、すごく反抗的なことを考えたでしょ? 今の私を世界中の奴らに見せてやりたいとか」

「げっ、なんでわかった……あ!」


 心の中を言い当てられ、思わず本音がこぼれる紀元。すぐに否定しようと試みるが、飯島はその隙を見逃がさない。


「やっぱりね。でも残念でした~あんたが私の醜態をさらそうとしても無駄よ? 『これは私が作らせたフェイク』と私が言えば、すべてなかったことになるのよ」

「そ、そんな馬鹿な……」

「ふっ、詰めが甘いわね。さあ、私にジュースを差し入れて詫びを請いなさい!」


 勝ち誇ったような顔で椅子から立ち上がり、胸を張る飯島。しかし、紀元にはまだ隠し玉が残されていた。机の陰に隠してあったクーラーボックスを取り出し、中を見せながら話しかける。


「博士、これが見えませんか?」

「あ? そんなクーラーボックスの中身を見ても……って、モーゲンダッツじゃない! しかも期間限定フレーバーまで……」

「ふふふ、どうですか? すごく魅力的でしょ?」


 立場が逆転したことで強気になった紀元が怪しげに笑い、飯島に問いかける。


「くっ……やるじゃない。まさか期間限定フレーバーまで用意してくるとは……」

「ふふふ、当たり前じゃないですか。何年あなたと一緒に仕事してきたと思っているんですか?」

「さすがね……では、話を聞きましょうか」


 もたれ掛かるように椅子に座ると、机に両腕を置いて上目遣いで話し始める飯島。

 いよいよ遥香と賢治に課されたミッションの全貌が明らかになろうとしていた……

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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