表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
幕間㉖

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
373/383

閑話㉖-4 裏切りの末路――斎藤 賢治の場合邂逅編――

 遥香がモニター越しに飯島と話しているころ、賢治は迷宮内のある休憩スペースで紀元と顔を合わせていた。


「へぇ……こんな休憩ができる場所が迷宮内にあったとは知らなかったな」


 室内には数台の自動販売機と長椅子が設置され、よくある簡素な休憩所となっていた。


「ああ、基本的には関係者以外は立ち入れない場所だからな。そこの自販機はすべて無料だから、飲みたい物を選んでくれ。アルコールは置いていないがな」


 部屋の中央にある長椅子に座り、先ほど選んだ缶コーヒーを飲み始める紀元。一方の賢治はまだ状況が呑み込めず、呆然と入り口に立ったまま固まっていた。


「どうした? 遠慮する必要はないぞ。立ち話もなんだから座ってじっくり話そうじゃないか」

「ああ……それはそうなんだが……」


 フランクに話す紀元に対し、戸惑いを隠しきれない賢治。先ほど対面したときのような威圧感は消え、本当に信じていいのか疑心暗鬼になっていた。そんな彼の様子を見透かしたように、笑みを浮かべると優しく話しかける。


「さっきと態度が違いすぎて戸惑っているんだろ?」

「……その通りだ……俺はまだあんたのことを()()()()()()()からな」

「ははは、無理もない。俺が同じ立場でも警戒は解かない」


 賢治の顔を見ると、声を上げて笑う紀元。そのまま部屋の隅を指すと、安心させるように語り掛ける。


「この部屋の中には複数の防犯カメラがある。迷宮という特殊な環境であるがゆえに、どんな奴が侵入するかわからないからな」

「……」


 指さした部屋の隅を凝視する賢治だが、どこを見ても防犯カメラらしきものは見当たらない。怪訝そうな顔をしている彼の姿を見て、紀元が不敵な笑みを浮かべる。


「どこにも防犯カメラなんてないじゃないかって、顔をしているな?」

「ああ……どこを見てもただの壁と天井しかないぞ……」

「そうだろうな。最新式の特殊カメラだから壁と一体化しているんだ。よく見ればレンズが見えるはずだぞ」


 言葉を聞いた賢治が目を凝らして天井を見ると、ある一カ所だけ不自然に光を反射する場所を見つけて思わず声を上げる。


「な……あんな小さいところに?」

「よく見つけたな。カメラは小さいが、部屋全体を録画できるほどの超高性能品だ。そして、万が一不測の事態が起きたら、数分以内に警備員と制圧部隊が飛んでくる。だから変な手出しはできないというわけだ……俺もお前もな」


 笑みを浮かべたまま鋭い視線を送る紀元を見て、賢治は手のひらを天井に向けて小さくため息を吐きながら顔を左右に振る。


「そもそもあんたについてきた時点で、何かをするつもりはないよ。逃げようとしてもここは迷宮内……どこに出口があるかわからんし、下手にモンスターどもに遭遇しようものなら生存率は限りなくゼロになる」

「よくわかっているじゃないか。まあ……モンスターよりも質の悪い奴らと遭遇するかもしれんしな」

「モンスターよりも厄介な存在がいるのかよ……」


 話を聞き、絶望を通り越したような顔になる賢治。そんな彼の様子を見て、紀元が話しかける。


「あくまでもたとえ話だ。俺の指示を()()()()()()()では安全だ」

「そうだろうな……」


 再び笑い声を上げる紀元を見て、賢治の心の中に様々な考えが押し寄せる。


(俺はとんでもない貧乏くじを引いてしまったのかもしれない……しかし、誰かと話していた時に見えた遥香のぎらついた目も気になる……こいつらはいったい何を考えているんだ?)


 眉間にしわを寄せて賢治が目を細めていると、その視線に気が付いた紀元が口を開く。


「どうした? 相方の女性が気になるのか?」

「どうしてそう思った? 俺はまだ何も言っていないぞ……」

「簡単な話だ。俺は迷宮を管理する立場の人間だ……お前たちがどこで何をしていたかもすべて把握しているからな。そう、逃げ出したくても逃げ出せない事情も含めてだ」

「チッ……そこまで知られていたんじゃ何も言い返すことはない」


 言葉を聞いた賢治は悔しそうな表情になると顔を背け、小さく息を吐く。


「それで……俺に何をさせようとしているんだ?」

「理解が早くて助かる。まあ、落ち着け……何か飲みながらゆっくり話そうじゃないか」


 わざとらしく大きなため息を吐くと、紀元の後ろに並ぶ自動販売機に向かって歩き始める。そして、すれ違いざまに賢治がささやく。


「なかなかの策士だな……とても表舞台で活躍している人間とは思えないオーラがある」

「褒め言葉として受け取っておこう。陰湿な上司の下にいるといろいろ考えてしまうのさ」

「はっ、お互い苦労しているんだな」


 短く言葉を交わすと同時に笑い声を上げる二人。

 いよいよ計画の全貌が彼に告げられようとしていた……

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ