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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
幕間㉖

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閑話㉖-3 裏切りの末路――佐藤 遥香実行編――

「ミッションですって?」


 椅子にもたれ掛かって話しかける飯島を見て、遥香は鋭い視線を送る。そんな彼女の様子を見て、不敵な笑みを浮かべた飯島が口を開く。


「そうよ。ただで自由が手に入るとは誰も言っていないでしょ? 最初に言ったわよね、自由になりたければ協力しなさいって」

「そうだったわね……まあ、いいわ。最後に笑うのは私だもん。どんなミッションか話してみなさい」


 勝ち誇ったような顔で言い切る遥香を見て、飯島は表情を一つ変えることなく笑みを浮かべていた。


(バッカじゃないの? 最後に笑うのは自分ですって? ほんと低学歴な奴は深く考えないから扱いやすいわ)


 笑い声を上げる遥香を眺めながら、内心でバカにしていた飯島。すると彼女が笑うのをやめると、見下すような態度で問いかけてきた。


「それで私に何をさせようっていうの?」

「ふーん、それが依頼主に対する言葉遣いなのかしら? すぐに取り消してもいいのよ?」


 立場の違いが分かっていない遥香に対し、冷たく言い放つ飯島。彼女から凍てつくような視線を向けられ、一瞬で固まってしまう。


(な、なによ、この視線……()()()()()()()()ことがあるようなすごみがある……賢治や組織の人間でも、ここまで恐ろしい感覚に陥ったことはないわ……)


 蛇に睨まれた蛙のように固まってしまい、冷や汗が止まらなくなる遥香。そんな彼女の姿を見て、飯島は一切視線を逸らさずに話しかける。


「さっきまでの威勢のよさはどこへ行ったのかしら? 嫌いじゃないわよ、その態度は」

「ひっ! い、いえ……ちょっといろいろ考えていたというか……」

「へえ? 何を考えていたのかしら? ぜひとも聞かせてもらいたいものね……数々の悪事に手を染めてきたんでしょ、遥香さん?」

「……」


 鋭い視線を向けたまま口角を吊り上げ、問いかける飯島を見て**、**すべてを悟った遥香。


(あ……これは後戻りできないやつだわ……でも、こいつの依頼を成功させれば、弱みを握れるかもしれない)


 必死に考えを巡らせながら気持ちを保とうと試みる。するとそんな遥香の心を見透かしたように、飯島が甘い声で話しかける。


「ふふふ……ところで、この依頼にかける意気込みは並々ならぬものを感じるわ。覚悟が決まっていないお子様よりも、あなたのような野心家はすごく魅力があるの。もし、この仕事を成功することができたら……私の下で働いてみない? もちろん最初に言った条件を用意させていただいたうえで」

「な……自由に加えて、仕事まで……」

「もちろん。それに万が一を考えて、常にSPも付けるわ」


 飯島の口から次々と飛び出すありえない条件を聞き、遥香の心は揺れ動いていた。この得体のしれない人間と仕事をするリスクは頭をよぎるが、それ以上に彼女にとって破格の条件を突き付けられていた。それは、安定した収入を確保できるという仕事だった。


(ど、どうする? たしかに身の安全と自由は確保される最初の条件……不自由なく暮らせるとは言っていたけど、仕事をできるとは聞いていない。またあの組織と同じようなことをしなければならないのであれば、コイツの下で身を潜めていたほうが圧倒的に安全だわ)


 目を見開いて固まる遥香を見て、内心でほくそ笑んだ飯島がさらに追撃を仕掛ける。


「そうね、月給は片手でどうかしら? もちろんボーナスも出すわ……」

「な、なんですって……」

「安心しなさい。命にかかわるような危ないことはさせないから……受けられるのならね」

「も、もちろん受けます!」


 飯島の言葉を聞き、間髪入れずに遥香は返事をする。


「オッケー。じゃあ、まずは依頼を完了させてもらおうかしら。内容は簡単よ、今からあなたを迷宮の八階層へ送り込むの。そこで、モンスターどもにある機械を装着してもらいたい。よほど刺激しなければ、襲われることはないと思うわ」

「……万が一の時はどうすれば?」

「もちろん丸腰で行けなんて言わないわ。この後、うちの職員から護身用の武器一式を受け取ってもらう。迷宮内だから絶対安全とは言えないし、自分の身は守ってほしいから」

「わかったわ……設置に成功したらどうすればいいの?」

「武器と一緒に渡される腕時計に赤いボタンがあるから、それを押してくれればいいわ。安全な場所まで自動的に転送されるから……ま、無理だと思うけど」

「わかったわ。設置できたら押せばいいのね**」**


 最後に飯島が呟いた内容は遥香の耳には届いていなかった。すると、やる気に満ちた表情に変わった彼女は鼻息荒く画面に向かって話しかける。


「善は急げよ。さっさと終わらせてくるから、部下の人を呼んでくれない?」

「ふふ、検討を祈るわ。それじゃあ、このモニターの後ろをまっすぐ進んでいって。そうしたらすぐに合流できるから」

「わかったわ。約束……忘れないでよ」


 モニターに向かって笑みを浮かべて言い放つと、そのまま暗闇に消えていく遥香。彼女の姿も消え、静寂が戻ると画面の中から笑い声が響き渡る。


「あはは! ほんとバカな人間ね! 成功なんてするわけないのに、欲に目がくらむってこういうことをいうのよ! せいぜい頑張ってね……もう()()()()()()()()()()だろうし、最期に感動の再会も用意してあげたから」


 暗闇に飯島の笑い声が響き渡り、そのまま消えていった……彼女がいう感動の再会とはいったい何を意味しているのか?

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