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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
幕間㉖

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閑話㉖-2 裏切りの末路――佐藤 遥香行動編――

 瑛士たちが八階層に到着する少し前、遥香は数台のモニターが並ぶ奇妙な部屋にいた。


「指示された部屋に来たけど……薄気味悪いわね」


 どこからともなく聞こえる声に従い、暗闇の広がる通路を歩いてたどり着いたのは岩で囲まれた行き止まりだった。また閉じ込められたと感じた遥香が声を上げようとしたとき、目の前にある壁が左右に開く。そして部屋の中央に置かれたモニターの一つが、彼女を待っていたかのように怪しく輝き始める。


「なに? いきなり光り始めたんだけど……」


 驚いた遥香が後ずさりしようとすると、いつの間にか背後に現れた壁のようなものにぶち当たる。


「は? ちょっとどういうことよ? さっきまで壁なんてなかったじゃない!」


 突然現れた壁に驚き、振り向いて両手で叩いてみる。するとプラスチックのような感触があり、明らかに誰かが設置したように思えた。


「ちょっと! 誰だか知らないけど、こんないたずらして何がしたいのよ! さっさとこの壁を外しなさい!」


 怒り狂った遥香は両手で壁を思いっきり叩くが、わずかにたわむ程度で傷一つ付かない。それどころか殴りつけた場所が徐々に固くなり、素手で叩ける柔らかさではなくなっていった。


「いった……どういう構造をしているのよ? なんで殴りつけるたびにどんどん()()()()の?」


 目の前で起きている現象が理解できず、声を上げながら必死に壁を叩き続ける遥香。しかし、彼女の行動は事態をどんどん悪化させる。壁は岩のように硬くなり、ついには必死に叫ぶ声すら響かなくなっていった。


「ど、どういうことよ……声も反響しなくなってきたし……」


 遥香が取り返しのつかない間違いに気が付いたとき、すべてが手遅れだった。戻る道は完全に遮断され、目の前にある怪しいモニターが設置された部屋に進む以外の選択肢はなかった。俯いて肩を落とした彼女は、何かを決意したかのように呟く。


「どうしても私をその部屋に進ませたいようね……いいわ、たとえ罠だとしても乗ってあげようじゃない! 最後に自由を手にし、笑うのは私だから!」


 顔を上げた遥香はうすら笑いを浮かべながら笑い声を上げると、引き寄せられるようにゆっくりモニターに向かって歩き始める。


「ふふふ……私を侮ったことを後悔させてあげるわ……こう見えても執念深いんだから」


 念仏のように呟きながらモニターの前にたどり着くと、モニターを睨みつける。すると、彼女が来ることを待っていたかのように電源が入り、急に光を放ち始める。


「へえ……なかなか粋な演出をしてくれるじゃない……」


 感心した様子で遥香が呟くと、画面の中にスーツを着た子供のような女性が映し出される。


「よく来たわね。途中で()()()()かと思ったのに」


 画面の中にいた女性は大きな椅子に座り、足を組んで胸を張っていた。しかし、容姿が中学生くらいの背丈で童顔のため、子供が背伸びしているようにしか見えなかった。その様子を見た遥香は思わず禁断の言葉をつぶやいてしまう。


「へ? 子供……?」

「誰が子供よ! こんなナイスバディでグラマラスな美女を前にして、失礼じゃないの?」

「いやいや、どこがグラマラスなのよ……どう見ても中学生が背伸びしているようにしか見えないわよ……」


 女性の発言を聞き、口を大きく開けて呆れかえった遥香。思わず本音を漏らすと、画面の向こうから金切り声のような絶叫が響き渡る。


「だーかーら! この私のどこが中学生なのよ! 超絶美女で天才科学者として名高い飯島博士なのよ!」

「は? あの悪名高い天才の飯島博士? そんなわけないでしょ、あの人がこんな()()()()()()なわけがないし」

「誰がチンチクリンよ! だいたい悪名高いっていう話も、私の才能に嫉妬した醜い連中が流した話でしょ?」

「いや……それは知らないけど……」


 あまりの勢いに圧倒されていると、飯島は遥香が納得したと勘違いして上機嫌な様子で話を続ける。


「ふふふ、これだから真実を知らない情弱はダメなのよ。いい? 私は人類のために多大な研究成果を残してきた歴史上に名を刻む人物なの。だから困っちゃうわ、能力も足りずに一方的に嫉妬する人間が多くて」


「は、はあ……」


 まくし立てるように語り続ける飯島を見て、遥香は何を言っても無駄だということを悟る。そしてそのまま呆然と演説を聞き続けること数十分、満足げな表情になった彼女が口を開く。


「よくわかったかしら? 本来であれば私が直々にあなたに指示を出すなんて、ありえないことなの」


「ハーソウデスネー」


 遠い目をしたままモニターに向かって頷く遥香だが、話の内容は全く聞こえていなかった。呆れ果てたように生返事を返していると、飯島が不敵な笑みを浮かべながら話しかける。


「ふふふ。私の偉大さを理解したところで、本題に入りましょうか? あなた……今回のミッションを成功させて自由になりたいでしょ?」


 自由という言葉を聞き、意識が飛びかけていた遥香の目が大きく見開かれる。


 飯島が告げようとしているミッションとは……いったい?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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