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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第二十六章 因縁再び

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第11話 ついに姿を表した因縁の相手

「この声は……やはり貴様の仕業だったのか! 飯島!」


 土煙が立ち込める中、怒りに満ちた瑛士の叫び声がフロア全体に響き渡る。


「あら? 誰かと思ったら瑛士くんじゃない。こんなところにいるなんて()()よね」

「ふざけるな! とどめを刺すような真似をしやがって……何を考えているんだ!」


 まったく気に留めない飯島の声を聞き、さらに怒りが加速する瑛士。しかし、彼女は気にする素振りもなく、話を続ける。


「何が起こっているのかさっぱり理解できないんだけど? 使えないゴミはちゃんと処分しないといけないでしょ。いくら迷宮内だからといっても放置するのは良くないから」

「はあ? 使えないゴミだと……人間を何だと思っているんだ……」


 肩を震わせながら瑛士が声を上げると、呆れたようにわざとらしく大きなため息を吐く飯島。


「はぁ……これだからお子様は困るのよね。綺麗事を言っていたら生き抜けないのよ? それにコイツらのような社会のゴミを使ってあげたんだし、私は感謝されるべきなの。分かるでしょ?」

「分かりたくねーよ! お前のような腐った大人の考えることなんか……」


 拳を握りしめ、体を小刻みに震わせる瑛士。全身から殺気のようなオーラが溢れ出し、今にも姿の見えぬ飯島に飛びかかろうと力を込めた時だった。右手を強く引っ張る感触が伝わり、後ろを振り返ると唇を噛み締めて悔しそうな表情をしている音羽の姿が目に入った。


「瑛士くん……怒りたい気持ちは分かるけど、今飛び出していったら相手の思うつぼよ」

「音羽……」


 俯いて声を絞り出すように訴える音羽を見て、瑛士はあることに気がつく。右手にわずかに震える感触が伝わり、彼女自身も必死に自分の感情を抑え込んでいたのだ。


(そうか……音羽も同じ気持ちだったのか……)


 全身を小刻みに震わせる彼女の様子を見て、徐々に冷静さを取り戻す瑛士。そして、優しく声をかけようとした時、音羽から思いもよらぬ言葉が飛び出す。


「……こんな()()()()が巡ってきたのに……瑛士くんが無計画に飛び出したら、飯島女史を仕留められないじゃない……」

「へ? 音羽さん? 何を考えているのでしょうか?」


 呆気にとられた瑛士が間の抜けた声をかけると、顔を上げた音羽は目を輝かせながら話しかける。


「何を言っているのかしら? すごいチャンスが回ってきたのよ! 迷宮内は治外法権だし、何をしてもお咎めはない……ということは、勢い余って仕留めてしまっても大丈夫ってことでしょ。こんなチャンス……みすみす見逃すわけにはいかないわよね?」

「えーっと……言っている意味がさっぱり理解できないのですが? さっき俺を止めましたよね?」


 音羽の言っていることが理解できず、思わず敬語で聞き返す瑛士。すると、大きなため息を吐き、握っていた手を離すと掌を空に向けて顔を左右に振りながら答える。


「はぁ……ほんと何もわかってないのね。いい? さっき止めたのは視界も確保できていないのに、鉄砲玉のように飛び出そうとしているからなの。だいたい、声が聞こえただけで相手の位置もろくに把握してないでしょ?」

「う……た、たしかに……でも、声の聞こえた方角を頼りにすれば……」


 痛いところを突かれた瑛士がなんとか反論をしようとすると、目を細めた音羽が不敵な笑みを浮かべながら口を開く。


「これだから瑛士くんはダメなのよ……声の聞こえた方向、光が放たれた場所……全部ハズレよ。その方向に向かったとしても、飯島女史の本体はいないわ……だって、()()()()()()んでしょ?」


 言い終えると同時に光が飛んできたのとは、反対方向に向けて隠し持っていた短刀を投げる音羽。次の瞬間、金属の壁にぶつかったような甲高い音が響き、飯島の笑い声が聞こえてくる。


「あはは! さすがよくわかっているじゃない! まさかこんなに早く見破られるとは思っていなかったわ」

「アンタの気色悪い気配は隠しきれてないのよ。さっさと黙ってくれないかしら?」

「私の素晴らしい美声を聞いて嫉妬しちゃったのかしら?」


 まったく噛み合っていない会話をする飯島に対し、音羽が明らかに苛立ち始める。


「ほんとアンタの金切り声を聞いていると虫唾が走るわ……さっさとこの世から退場してくれないかしら?」


 言い終えると同時に音羽が帯刀している刀を振り抜き、煙を切り裂くと再び金属が弾かれるような甲高い音が響き渡る。そして、煙が切り裂かれた先にいたのはスーツに身を包み、長い黒髪をツインテールにした女性が笑みを浮かべていた。


「ふふふ、素晴らしい太刀筋ね。でも私には届かないみたいだけど?」

「チッ……なにか細工をしているとは思っていたけど、一筋縄ではいかないわね」

「ふふふ、私に歯向かおうなんて半世紀早いのよ。まあ、嫌いじゃないけどね……それに、瑛士くんもいい男に成長したじゃない? 私のもとでもう一度実験に付き合う気はないかしら?」


 気持ち悪い笑みを浮かべ、話しかける飯島。すると次の瞬間、彼女の目前で大爆発が起こる。


「誰が協力するか! 過去にお前がやったことを忘れたわけじゃないぞ!」


 怒りと殺気に満ちた怒号が響く中、煙の中から飯島の楽しそうな声が響く。


「ふふふ、ずいぶん威力も上がって使えそうな感じに仕上がっているわね。まあいいわ、今日はご挨拶にきただけだから見逃してあげるわ。この先の階層で待っているからね」


 飯島の高笑いが響き渡る中、追撃の魔法を瑛士が放とうとした時だった。脳内にルリの声が響く。


「ご主人、これ以上手の内を見せるのは止めるのじゃ……今のヤツには何をしても勝てん……」

「はあ? どういうことだよ! みすみす見逃せというのか?」

「今はまだその時ではないということじゃ……それにまだやることが残っておるじゃろ」


 ルリの声を聞いて思い出した瑛士は、悔しそうに唇を噛みしめる。そして、右手を地面に打ち付けながら絞り出すように声を上げる。


「クソっ……次こそは……」


 飯島の高笑いが響き渡る中、何もできなかった三人が悔しそうな表情で立ち尽くす。

 ついに三人の前に姿を表した因縁の敵……この時、彼らはまだ気がついていなかった。彼女が仕掛けた巧妙な罠にまんまと引っかかってしまっていたということに……

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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