表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第二十六章 因縁再び

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
360/372

第2話 謎の唸り声の正体とは?

「フシャ―!」


 異様な唸り声のようなものが響き渡ると、翠が全身の毛を逆立てて威嚇するような大きな鳴き声を上げる。初めて見る姿に瑛士たちが困惑していると、ルリが近づき、片膝をついて声をかける。


「翠、どうしたのじゃ?」

「シャー!」

「うーむ、どうしたものかのう……」


 ルリが声をかけても血走った目で威嚇を続ける翠。彼女に対して噛みついたり暴れることはないが、明らかに気が立っているのは明白だった。すると腕を組み、その様子を見ていた瑛士が口を開く。


「どうやらこの唸り声が原因みたいだな」

「そのようじゃ。八階層のモンスターが威嚇しておるのじゃろうか……」


 眉間にしわを寄せたルリが答えると、瑛士が少し考え込むようなそぶりを見せながら答える。


「うーん、八階層のモンスターではないと思うぞ……こちらに向けた魔力や殺気も感じないし、そもそも動きがあるようには思えん」

「なんじゃと? じゃあこの唸り声の説明がつかないのではないか?」


 瑛士の返答を聞いたルリが困惑した様子で声を上げると、音羽が落ち着いた声で話しかける。


「ルリちゃん。瑛士くんの言っていることは間違ってないわ。私も探りを入れてみたけど、魔力はフロアの中央付近に固まったまま動いていないの。だからこの唸り声のようなものは、()()()()()()だと思うわ」

「そ、そうなのか? しかし、そうなると説明がつかんのじゃが……」


 二人の話を聞いたルリが困惑した顔で呟くと、わざとらしくため息を吐いた瑛士が声を上げる。


「はぁ……魔力探知はお前のほうが得意だろうが。苦手な俺でもわかるくらいだぞ?」

「む? 聞き捨てならんのじゃ。わらわだってそのくらいはわかっておるのじゃ! ちょっと翠の気持ちに寄り添うために、道化を演じておっただけじゃ」

「ほう? それならなんで最初から言わなかったんだ?」

「できるカリスマは多くを語らないのじゃ!」


 顔を真っ赤にして苛立ったルリが声を上げると、再び大きく息を吐く瑛士。


「そういうことにしておいてやるよ……それよりも、この声の正体を知りたくはないか?」


 少し呆れた瑛士が笑みを浮かべ、ルリに問いかける。すると彼女は目を見開きながら声を上げる。


「なんじゃと? ご主人はこの唸り声の正体をもう突き止めたのか?」

「ニャ、ニャーニャニャ!」


 先ほどまで全身の毛を逆立てて威嚇していた翠まで正気に戻り、ルリと一緒に目を見開いて声を上げる。すると不敵に笑った瑛士が音羽に視線を送って話しかける。


「音羽、俺からネタばらししてもいいのか?」

「お好きにどうぞ。私は最初から気が付いていたし……このままじゃ先に進めないでしょ? もったいぶらずにさっさと終わらせましょうよ」

「そうだな……ルリと翠、ちょっと通路の左端に立ってみろ」


 呆れた表情をした音羽に一蹴され、両手のひらを天井に向けて肩をすくめる瑛士。そのままルリと翠を手招きして、左手側の壁際に立たせる。


「ご主人、壁際に立ったのじゃが……これで何が分かるのじゃ?」

「ニャーニャニャ」


 不思議そうな顔をして壁際に立つルリたちが声を上げると、瑛士が笑みを浮かべて口を開く。


「そこに立っていると何か感じないか?」

「何を言っておるのじゃ? こんなところに立って……あれ? かすかに風が吹き出しておるのか?」


 壁に顔を近づけたルリが感じたのは、かすかに吹き出す風だった。


「ど、どういうことじゃ? 岩の壁から風が吹き出しておるじゃと?」

「ニャー?」


 ルリと翠が不思議そうな顔で壁を見つめて触っていると、後ろにいた瑛士が得意げな顔で話しかける。


「迷宮は密閉空間ではないからな。通路とはいえ、岩でできているから隙間風が結構通るみたいだ。そして、一定間隔で強くなると……」


 瑛士が言い終えると同時に風がわずかに強くなり、先ほど聞こえたような唸り声が通路に響き渡る。


「フシャ―!」


 再び翠が全身の毛を逆立てて威嚇し始めると、何かに気が付いたルリが声を上げる。


「もしかして……この唸り声の正体は岩の壁と風の吹く音が関係しておるのじゃな!」


 目を見開いて話すルリを見て、手を叩きながら感心したような声を上げる瑛士。


「ご名答、よくわかったな。一定間隔で迷宮内を風が吹き抜けるようだ。その時に不規則に穴が開いた岩の隙間を駆け抜けるとき、共鳴音が響くんだ。一つの音だけなら大したことはない……ただ複雑に入り組んだ地形と複数の音が重なると……」


「グアァァァァ!」


「こんな感じで咆哮に似たような音が響き渡るんだ」


 結論付けた瑛士が話を終えると、目を見開いたまま固まるルリと翠。


「へ? どうしたんだ?」


 二人の姿を見て驚いた瑛士が問いかけると、目を輝かせながらルリが声を上げる。


「なんということじゃ! そんな秘密が迷宮に隠されておったとは……」

「いや、割とよくあるというか……」

「むむむ……迷宮め……わらわを脅かして足止めしようなど、姑息な手を使いおって……」


 答えが分かると急に怒りをあらわにし、こぶしを握り締めるルリ。そんな彼女に対し、呆れたように瑛士が話しかける。


「いやいや……これくらいは誰でも知っているというか……」

「これが孔〇の罠というやつなのじゃな!」

「そんなわけあるか!」

「それにしてもご主人……知っておったなら早く教えてくれても良かったのじゃないか?」

「いや、まあ、なんか真剣に悩んでいたし、言い出しにくかったという……いて!」


 睨まれた瑛士が後ずさりしながら言い訳をしようとすると、後頭部に鈍い痛みが走る。慌てて後ろを振り返ると、全身の毛を逆立てて怒りをあらわにするルナの姿があった。


「ギュー!」

「なんでお前が怒っているんだよ!」


 ただならぬ怒りを感じた瑛士が慌てて声を上げると、ルリが不敵に笑い始める。


「ふふふ……わらわたちをはめようとした罪は重いのじゃ。翠、ルナと一緒にたーっぷり運動してくるのじゃ」

「ニャー!」


 嬉しそうに声を上げた翠が構えを取ると、瑛士がうろたえたように声を上げる。


「ちょ、ちょっと待て……こんな狭い通路で……」


 瑛士が言い終えるより早く一斉に飛びかかるルナと翠。

 その後、迷宮内に唸り声とは別の絶叫が鳴り響き、八階層のモンスターにも動きが出始めたとは――彼らは知る由もなかった。

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ