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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
幕間㉕

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閑話㉕ー6 Xデーまでのカウントダウン③

 飯島と紀元が迷宮内で不穏な動きを見せる中、来たる日に向けて着々と準備を進める桜井の怒号が会議室に響き渡っていた。


「ふざけんな! なんで計画を()()()なんて言われないといけないんだよ!」


 机を勢いよく叩き、椅子を蹴り飛ばして怒りを露わにする。感情が爆発した桜井が暴れまわっていると、会議室のドアを開ける人物がいた。


「先輩、失礼しますよ……っと、やっぱり荒れていますね」

「あ? 何だ? 入る時はノックしろといつも言っているだろうが!」

「何度も外から呼びましたよ。どうせ怒り狂って、何も聞こえてないと思いましたから勝手に入りました」


 鬼の形相で睨みつける桜井に対し、冷めた目線を送る部下。わざとらしく大きなため息を吐き、呆れた様子で話しかける。


「またこんなに備品を蹴り飛ばして……見つかったら始末書が増えますよ?」

「あ? 始末書なんて知ったことか! 何枚でも書いてやるよ!」


 怒り狂って何を言っているのかわかっていない桜井を見て、額に手を当てて呆れ果てたように声を上げる。


「始末書を量産してどうするんですか……」

「書類が欲しいだけなんだろ? そんなものくれてやるわ! 俺の邪魔をしたいだけのクソどもが!」

「あーこの人、最後まで話を聞いていなかったのがバレバレだ……」

「何がだ?」

「ちゃんと言っていたじゃないですか、『お前の計画だと失敗する可能性が高いから、もう少し()()()()()()()()。必要なら立ち入りの日を延期して、体制を整える案もありだぞ』って。闇雲に延期しろ、中止しろとは言っていないですよ?」


 部下の話を聞いた桜井が立ち止まると、言われたことをよく思い出してみる。すると、言われた話と同じ内容が脳内で再生され、どんどん冷静さを取り戻して黙り込んでしまう。


「……」

「どうやら思い出したようですね。まったく……最後まで話を聞かずに顔を真っ赤にして出ていっちゃうんですから。あとは頼むって言われた身にもなってください」

「……申し訳ない……でも、開口一番に『お前の計画ではダメだ』と言われたら、カッとなるだろ?」

「まあ気持ちはわかります……が、もう少し感情を抑え込むのが大人の対応ってやつじゃないですか?」

「……」


 部下からド正論を突きつけられ、何も言えずに黙り込む桜井。そのまま無言で蹴り飛ばした椅子を拾い上げ、元の位置に戻し始める。


「先輩? ちゃんと片付けるのはいいことですが、自分に何か言うことがあるんじゃないですか?」

「……ゴメン……」

「え? 聞こえないですよ? 何か言いました?」

「ご迷惑をかけて申し訳ございませんでした! これでいいだろ!」


 顔を真っ赤にして謝罪の言葉を叫ぶ桜井に対し、部下は大きくため息を吐きながら口を開く。


「謝っている態度じゃないですが……まあいいです。そこまで期待していませんでしたし」

「う……」


 呆れ果てた部下の言葉が桜井の心を抉るように突き刺さる。どんどん元気をなくし、うつむく様子を見て、大きく息を吐くと口を開く。


「それよりも人員配置の見直しとか、何か考えているんですか?」

「……まだ何も……」

「え? なんて言ったのですか? ちゃんとハッキリ答えてください」

「まだ何も考えてねーよ! だいたいどうしろっていうんだ? 頼もうとしても、みんな苦笑いをしながら去っていくし。あからさまに関わりたくないのが見え見えだろうが!」

「それは先輩の頼み方に問題があるんじゃないですか? 『迷宮の調査をするから黙ってついてこい』って言われて、『はい、分かりました』というわけがないでしょ?」

「なんでだ? 業務の一環だぞ?」


 部下の指摘を受け、意味がわからないといった顔で聞き返す桜井。


「あのね……詳細な資料や計画を聞いても『まだ準備中だ! 来るのか来ないのか先に返事をしろ』って、ありえないでしょ? みんな暇じゃないんですよ? 人に頼むなら、ちゃんと計画書を見せて説明するのが義務です。先輩の脳内にあることを察しろなんて、エスパーじゃないんですから……それに、調査する先が曰く付きの迷宮ですよ……なおさら誰も関わりたくないに決まっているでしょ……」

「……」


 あまりにも正論すぎる意見を突きつけられ、何も言えずに再び黙り込む桜井。その様子を見て、呆れ果てた部下が、持っていたある資料を机に置く。


「しょうがないですね。何も考えていない先輩のために、ちゃんと資料を用意しておきましたよ。人の確保は自分がやるので、ちゃんとその計画書に目を通しておいてください」

「あ、ありがとう……仕事ができる部下がいると助かる……」


 資料を手に取ると、涙目で感謝の言葉を口に出す。そんな桜井の様子を見て、呆れ果てた部下が呟く。


「先輩はもう少し考えて行動してください……」


 齧りつく勢いで資料を凝視する桜井の耳に部下の呟きは届いていなかった。


「さてと……人員は確保できたとして、先輩の計画で()()()()()()()()()()()んですよね。不測の事態も考えないと……」


 窓の外に映る迷宮を眺めながら、部下はため息を吐いて静かに呟く。


 ――迷宮の家宅捜索実行まで残り五日――

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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