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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第二十五章 八階層と近づく激突の足音

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閑話㉕-4 雫の暴走は加速する

  「ん? 今度は誰が来たのかしら?」


 ドアを叩く音が聞こえていつも通りに飯島が返事をしようとした時、素早く前に出た雫が小声で話しかける。


「博士……もしかしたら()()かもしれません……」


 真剣な表情で語りかける雫を見て、呆気に取られた飯島が気の抜けた返事を返す。


「へ? 刺客?」

「ええ、そうです……博士が迷宮で作業していることを嗅ぎつけ、敵対勢力が仕掛けてきたのかもしれません」


 鬼気迫る顔で話す雫を見て、思わず吹き出しそうになる飯島。


(ちょっと雫ちゃんどうしちゃったのよ。この場所がどこにあるのかわかってないの? 迷宮の中だし、セキュリティも会社の倍以上かけてあるのよ? 一つでも突破したら即座に控えている(ツイステッド)(・チルドレン)が、排除に動くけど……って、言ってなかったわ)


 肝心なことを言い忘れていた事に気が付き、思わず声を出しそうになる。すると、その姿を見た雫が右手を口に当て、必死に声を出すなというアピールをしてくる。その姿がさらにツボを刺激したのか、俯いて必死に笑いをこらえる飯島。


(ほんと必死過ぎて笑えてくるわ! そもそも、すぐそこのモニターに訪ねてきた人物が映っているのに……でも、面白そうだし、ちょっと付き合ってあげようかしら?)


 横目でモニターを眺めながら口元をつり上げる飯島。そして、いかにも深刻そうな声で雫に話しかける。


「雫ちゃん、ありがとう……そうね、私のような重要人物となると、常に警戒を怠ってはいけないわよね」

「そうですよ! 迷宮研究の第一人者である博士を狙う不届き者が、どこで狙っているかわかりませんから……」

「なるほどね、ところで取材中に怪しい人物は見かけたりしたの?」


 周囲を警戒しながら緊張感ある面持ちで話す雫に対し、俯いて肩を震わせた飯島が問いかける。


「いえ……明らかに怪しい人物はいませんでした。しかし、爆発騒動もありましたし、資料室で怪しい唸り声を聞きました……あれは反発勢力が何か企んでいるに違いありません!」


 胸を張り、自信たっぷりに言い切る雫。その言葉を聞いた飯島は、なんとも言えない表情になる。


(あー資料室の件ね……あれは前理事が残した悪趣味なペットだし……爆発事故は紀元が処理していたし……)


 俯いたままどうやって話を切り出そうか考えながら顔を上げると、覚悟を決めたような目をした雫が入口を睨みつけていた。


「雫ちゃん? どうしたの?」

「いえ……これだけ物音を立てないようにしているのに、まだ扉の外から人の気配が消えないんです……」

「うん、そうだね。外にいるのはよく知っている人だしね」


 いたたまれなくなった飯島が、なんとか気が付かせようとヒントを出す。しかし、勝手に追い詰められた雫はどんどん暴走し始める。


「な……よく知っている人に変装していると……クソっ、そこまでして狙いに来るとは……」

「えーっと、私の話を聞いていたかな?」

「もちろんです! さすが博士ですね……まさか扉の向こうにいる人物像まで見えているとは……」

「うん、普通に監視カメラを通じて見えているからね」


 呆れたように飯島が話しかけるが、雫の耳には一切届かない。それどころか、さらに追い詰められたような表情で声を上げる。


「敵は監視カメラを利用しているのですか……何という技術力を……ふふふ、世界に誇る飯島博士を狙う相手として不足はないわ」

「うん、不足しか無いわね。まずは落ち着いて深呼吸しようか?」


 まったく人の話を聞かない雫に対し、途方に暮れる飯島。すると、扉の外にいた人物が顔を傾げながら、扉に設置してあるセキュリティコードの解除に取り掛かる。その姿を見た飯島が思わず声を漏らす。


「あーセキュリティコードって教えていたっけ? 三回間違えるとロックされちゃうんだよね~解除するのがかなり面倒なんだけど」


 小さくため息を吐き、飯島が遠い目をした時だった。目の前にいた雫がゆっくり扉に向かって歩き始める。


「雫ちゃん? 扉の方に行ってどうするの?」

「博士……私が少しでも時間を稼ぎますから、安全なところに避難してください」

「え? 雫ちゃん、ちょっと落ち着いたほうがいいわ」

「大丈夫です。私は至って冷静ですから……」


 何かを悟ったような顔で返事をする雫。そんな彼女の姿を見て、飯島が焦ったように話しかける。


「ぜんぜん冷静じゃないからね! こっちに来て落ち着いてお話しましょうよ」


 飯島が必死に声をかけるが、目を閉じた雫は左右に首を振って答える。


「大丈夫です……万が一私に何かあっても、博士をお守りできたのであればもう思い残すことはありません……」

「いやいや、ものすごく話がぶっ飛んでいるから! ちょっとモニターを見て確認しようよ」


 まったく噛み合わないやり取りをしていると、扉にかけてあったセキュリティが解除される音が響いて扉が開き始める。すると意を決した雫が姿勢を低く構え、臨戦態勢になる。


「博士を狙う()()()()め……私が成敗してくれるわ!」


 扉が開き始めると、中に入ろうとする人物に向かって勢いよく床を蹴る。


「ちょっと待って! 今入ってきたら二人とも大怪我するわよ!」


 飯島が必死に声を上げて、扉の向こうの人物に訴える。

 はたして、監視カメラに映った人物はいったい誰だったのか?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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