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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第二十五章 八階層と近づく激突の足音

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第7話 緊急事態発生!

「ん? 音羽、どうしたんだ?」


 顔を引きつらせている音羽を見て、瑛士が問いかける。


「さっきルリちゃんの説明を聞いていて、今まさに迷宮が修復を開始しようとしている状況なのよ」

「そうだな。まあ、なかなか見られるものじゃないし、どんなふうに作られるのか知れる良い機会じゃないか?」


 話を聞いていた瑛士が顔を傾げながら答えると、顔を青くした音羽がため息を吐きながら声を上げる。


「はぁ……ほんと呑気なんだから……」

「なんだよ? 別に何か問題が起きているわけじゃないんだし、そこまで言う必要ないだろ!」


 言葉を聞いて苛立ったように瑛士が声を荒げると、音羽が睨みつけながら話しかける。


「は? 問題が起きていないんじゃなくて、()()()()()()()のよ! そんなこともわからないの?」

「何を言っているのかさっぱりわからねーんだよ! 迷宮の修復を見ていることで何の問題が起きるんだよ!」


 どんどん口調が荒れ始め、一触即発の空気が流れ始めると見かねたルリが手を叩きながら間に割って入る。


「はいはい、ご主人も音羽お姉ちゃんも少しは落ち着くのじゃ。わらわがきちんと説明してやるのじゃ」

「説明って……何を説明される必要があるんだ?」

「短気は損をするぞ? まあ、わらわの話を聞くのじゃ」


 苛立った瑛士が強い口調で食って掛かるが、涼しい顔をしているルリ。そして彼のことなど一切気にすること無く、説明を始める。


「いいか、ご主人。迷宮が修復活動をしようとするということは、莫大なエネルギーが動くということじゃ。わかりやすく言えば、風邪を引いたりすると熱が出て異物を排除しようとするじゃろ?」

「ああ、たしかに防衛反応とかいうやつだっけか? 医学には詳しくないからよくわからんが。でもそれと今回の件がなにか関係あるのか?」


 話を聞いて一瞬納得した瑛士だったが、いまいち腑に落ちなかったのか眉間にシワを寄せて問いかける。


「なんと……今の説明でもまだわからぬか……簡単に言えば、本来いるはずの無い物が修復の場にいたら……どうなると思うのじゃ?」

「そりゃ異物がいるわけだし、全力で排除するよな。余計なものを取り込んで修復してしまったら、どんな不具合が起こるかわかったもんじゃない」

「そういうことじゃ。では……今の迷宮にとって()()とは誰のことを指すか分かるか?」


 腕を組んで意味深な視線を送るルリに対し、瑛士が自信たっぷりに答える。


「そりゃ俺たちに決まっている……だろって、もしかして音羽のいうまずい状況って……」

「ようやく理解したようじゃな。うむ、わらわたちを全力で排除しに来るのは時間の問題ということじゃ!」


 胸を張って堂々と答えるルリに対し、一瞬固まる瑛士。しかし、すぐに正気に戻ると一気に顔から血の気が引き、額から滝のような汗が流れ落ちる。事の重大さをやっと理解したのか震える声で話しかける。


「も、もしかして……このままいたら……」

「うむ、消し炭になる程度ならまだマシじゃないかのう。それに、六階層に引き返す入口はもう閉じられてしまったようじゃぞ」


 ルリが六階層に続く入口を指し示すと、先程まで開いていた穴が一枚の岩できれいに閉じられていた。その姿を目撃し、焦った瑛士が大声で訴えかける。


「ど、どうするんだよ! 逃げ道が塞がれているじゃねーか!」

「そうじゃのう。残されたのは八階層へ進む道しかないのう」

「どうして他人事なんだよ! 早くいかないとヤバいだろうが!」


 瑛士の怒号がフロア全体に響き渡るが、ルリはどこか涼しい顔で答える。


「まあ、焦っても仕方ないじゃろ。幸い見通し良好で七階層の出口は閉じられておらんしな。今から歩いていけば……」


 腕を組んで頷きながらルリが語り始めた時、音羽が被せるように割って入る。


「ルリちゃん……ずいぶん余裕がある言い方しているけど、残された時間はそんなに多くないわ。だって、七階層を壊滅させてから、一回引き返しているわけだし……私だけならまだしも、たぶん翠ちゃんもだから……」


 音羽がルリの足元にいる翠を指すと、両手足の先がわずかに赤黒くなっていた。その状態を見たルリが目を丸くして素っ頓狂な声を上げる。


「へ? 翠も七階層を通った?」

「ニャ―」


 ルリの言葉に反応するように声を上げる翠。すると彼女の顔がどんどん青くなり始め、声が震え始める。


「……ちょっと待つのじゃ……ということは迷宮の修復が始まってすでにかなりの時間が経過していると……」

「うん、間違いないかなと……だって六階層の通路が封鎖されるってことは……」

「ま、まずいのじゃ……ご主人、音羽お姉ちゃん、ルナ! 今すぐ七階層の出口を目指して全力で走るのじゃ!」


 ルリが叫び声を上げると同時に音羽が翠を抱き上げ、一斉に走り出す。その直後、先程まで三人がいた場所が音を立てて崩れ始め、底の見えない真っ黒な空間が出現する。


「な、なんだよ、あれは!」

「おそらく全てを無に返して、構築し直そうとしておるのじゃ……あれに巻き込まれたら存在ごとなかったことになるのじゃ」


 真っ青な顔をしたルリから悲痛な叫びが聞こえると、思わず大声で叫ぶ瑛士。


「お前な、そういうことはもっと早く言え!」

「し、仕方ないじゃろ! わらわだってすべてを知っておるわけじゃないのじゃ!」

「あーもう、こんな時にケンカなんてしないの! 早く出口に飛び込むことだけを考えて!」


 三者三様の叫びが崩壊の始まった七階層に響き渡る。

 はたして瑛士たちは無事に逃げ切ることができるのだろうか?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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