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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第二十五章 八階層と近づく激突の足音

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第4話 ルリが受け止めた正体は?

「いたたた……音羽お姉ちゃん、受け止めてくれてありがとうなのじゃ」


 何とか体を起こしたルリが顔をしかめながら、受け止めてくれた音羽に礼を言う。すると、盾になった音羽が小さく息を吐くと、乾いた笑いを浮かべて答える。


「あはは……何とか間に合ってよかったわ。それよりもすごい勢いだったけど、いったい何が……」


 抱き留めたルリに視線を向けると、聞き覚えのある鳴き声が聞こえてくる。


「ニャ……」

「は? この鳴き声って、翠ちゃん?」


 驚いた音羽が声を上げると、受け止めたルリがすっとぼけた声を上げる。


「へ? そうじゃよ。ものすごく怯えた顔してこっちに突っ込んできたのじゃ。あれ? 音羽お姉ちゃん、気が付いていたのじゃろ?」

「も、もちろんよ! ()()()()気が付いていたわ!」


 問いかけられた音羽は、慌てて胸を張って答える。その様子を見たルリが目を輝かせ、音羽のほうに向き直ると嬉しそうに話しかける。


「さすが音羽お姉ちゃんなのじゃ! わらわが気付いたのは目前に迫ってからじゃったのに……」

「ま、まあね! 私くらいになると気配だけでわかるから! それに翠ちゃんからすごいオーラが発せられていたでしょ? ここは迷宮だから何が起こるかわからないし……気を引き締めないとね!」

「間違いないのじゃ! 本当に勉強になるのう」


 尊敬の眼差しで見つめるルリに対し、腕を組んで大きく頷く音羽。しかし、彼女の内心は気が気ではなかった。


(あ、危なかったわ……なんとかうまいことごまかせてよかった)


 実は翠がこちらに向かってきていたことなど全く分からず、本気で変異種が襲いかかってきたと思っていたのだ。ギリギリまで魔法で吹き飛ばそうと考えていたのだが、ぼんやり見えたシルエットから咄嗟に二人に身体強化魔法をかけて防御に全振りしたのだ。タイミング的には間に合うかどうかのギリギリだったため、うまくいったことに対する安堵の気持ちが大半を占めていた。


(まあ、全部うまくいったし……結果オーライでよかったわよね?)


 安心した音羽がゆっくり息を吐くと、腕の中で目を輝かせていたルリが急に声を上げる。


「あ! そういえば翠に聞かねばならないことがあるのじゃ! 何で上の階層から走ってきたのじゃ?」

「ニャ……」

「むー! ちゃんと返事をしてくれないとわからないのじゃ!」


 目を回して伸びている翠に対し、ルリが声を上げる様子を見ていた音羽が慌てて止めに入る。


「ルリちゃん、翠ちゃんは伸びているから無理に聞き出そうとしても無理だって……」

「は? そうなのか? あれだけ元気よく走っていて伸びてしまうとは何たることじゃ」

「いやあれは……元気に走り回っていたというよりも、恐怖でビックリして逃げ回っていたというべきだと思うけど……」


 ルリが頬を膨らませて呟く様子を見て、呆れた顔で話しかける音羽。肝心の翠は目を回したまま伸びきっていて話せる状態ではなかった。


(でもほんと不思議な子よね……通路の奥から漂ってきた()()は、迷宮のどの魔物よりもすごかったし。研究所にいた時にお世話していた個体に似ている雰囲気はあるけど……ここまで強力な力は持っていなかったはず)


 眉間にしわを寄せながら翠を見つめていると、ルリが不思議そうな顔で問いかける。


「音羽お姉ちゃん、どうしたんじゃ? 何かおかしなことがあったのじゃろうか?」

「え、あ、だ、大丈夫よ! ちょっと昔のことを思い出しただけだからね」

「……まあ、翠と合流もできたことじゃし、七階層に向か……」


 何か引っかかる気がしたルリだが、軽く顔を左右に振って音羽に声をかけようとした時だった。


「あ! ルリたちこんなところにいたのかよ! 先に行くなら一言言ってくれよ」

「キュ、キュー!」


 背後から現れた瑛士たちが笑顔で声をかけてきた。


「げっ、ご主人……いやじゃのう。取り込み中じゃったし、邪魔すると申し訳ないと思ったのじゃよ。ね、音羽お姉ちゃん?」

「そ、そうよ! 二人で楽しそうに話していたから邪魔するのは野暮かなと思って……」


 瑛士たちの顔を見て、顔を引きつらせながら無理やり笑顔を作るルリと音羽。そんな二人の様子を見て、瑛士が怪訝そうな顔で問いかける。


「なんで顔を引きつらせているんだ? 俺の顔に何か変な物でも付いているか?」


 瑛士が不思議そうな顔で問いかけると、隣にいたルナが鳴き声を上げる。


「キューキュキュ」

「あ? たいした顔してないのに自意識過剰かよって、どういう意味だ?」

「キュキューキュキュ」

「自分みたいにキュートな存在は仕方ないにしろ、瑛士のような平凡なのは気にするだけ無駄だと? てめぇ……どこにでもいそうなウサギの癖に生意気な」

「キュキュキュ」

「うさぎは正義で愛される存在だから仕方ない……いや、それは他のウサギの話だろ?」


 呆れたような顔で瑛士が話しかけると、怒ったルナがその場で飛び上がって頭を蹴り飛ばす。


「いでっ! この野郎……やっと大人しくなったと思ったら……絶対に許さねえ!」

「キューキュキュキュ」


 怒り狂う瑛士をあざ笑うように鳴き声を上げると、七階層に向かって伸びる通路を駆け出していくルナ。


「あ! 逃げるなこの野郎!」


 後を追うように瑛士が勢いよく走り出し、暗闇の先に消えていった。その様子を呆然と見つめていた音羽が呆れたように口を開く。


「あの二人はいったい何がしたいのかしら……」

「さっぱりわからんのじゃ……」


 呆れた様子で二人が消えていった先を見つめていた矢先、暗闇の奥から瑛士の叫び声が響き渡る。


「な、なんだこれは!」


 突然大声で叫んだ瑛士にいったい何が起こったのか?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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