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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第二十四章 ルリの探し物

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第10話 真の勝者は?

「相変わらず火花を散らしてにらみ合う瑛士とルナを見て、大きなため息を吐くルリ。すると遠い目をした音羽が優しく肩に手を添え、声をかける。」


「ルリちゃん、お疲れ様。なんかすごくめんどくさいことになってきたわね」

「ミルキー先輩、わらわはどうしたらよいのじゃろうか? 配信のアーカイブを見せろと言われても……」


 困り果てた顔ですがるように問いかけるルリに対し、頬を右手でかきながら苦笑いを浮かべる音羽。


「……なんというかアーカイブ見ても仕方がないというか……」

「そうなのじゃ。説明したところでご主人たちが納得するかどうかなのじゃよ」

「問題はそこなのよね。瑛士くんたちがむちゃくちゃしたせいで、爆発による煙で何も見えないから……もうちょっと加減ってものを知らないのかしら」


 大きなため息を吐きながらスマホを取り出し、慣れた手つきで配信者専用のアーカイブ画面を見る音羽。そこに映し出されていたのは、一面が煙に包まれた六階層の様子だった。そして、モンスターの断末魔が響く中、瑛士とルナの不気味な笑い声がひときわ大きく聞こえてくる。


「ふはは! 弱い、弱すぎるぞ! 勝利を呼び寄せるのは俺だ!」

「キュキューキュ、キュキュキュ!」


 映像を見ていた二人が額に手を当て、大きな息を吐きながら同時に呟く。


「これはどっちが悪者かわからないのじゃ……」

「ある意味ホラー映像よね……」

「うむ。配信されてしまっておるから何とも言えんが……非公開になるかもしれんのう」

「もういっそ『運営に非公開にされた』ってことにしておかない?」


 遠い目をした音羽が呟くと、ルリが手を叩いて声を上げる。


「さすがミルキー先輩なのじゃ! 動画を見えなくしてしまえばいいのじゃ!」

「は?」


 目を輝かせて話すルリを見て、意味が理解できない音羽が口を開けたまま固まってしまう。


「どうしたのじゃ、ミルキー先輩? そんなに驚くようなことはなかったじゃろ?」

「いやいや、動画を見えなくするってどうやってやるの? 基本的にアーカイブを残すって設定をしたら、運営サイドに要請しても審査期間があるわけだし……」


 慌てた様子で音羽が声を上げると、勝ち誇ったような顔をしたルリが腕を組みながら不敵な笑みを浮かべる。彼女の持っていたスマホを手に取ると、何やら操作を始める。


「ふふふ……普通に申請しようとすればミルキー先輩の言うように時間がかかるのじゃ。しかし、管理者権限で、ここを押すと……ほれ、見えなくなったじゃろ?」


 どや顔でルリが突き付けてきた画面を見ると、先ほどまで表示されていた動画がきれいさっぱり消えていた。


「ど、どうして! なんで動画がきれいさっぱり()()()()()の?」


 スマホをルリから奪い取ると、穴が開くように隅々まで見つめる音羽。画面をスクロールさせたり、さまざまな管理画面のメニューをタップするが、一向に動画が見つかることはなかった。


「ど、どうしてどこにも見当たらないの?」


 スマホを握り締めたまま固まっていると、腕を組んだルリが声をかける。


「簡単なことじゃよ。ただ未公開設定に切り替えただけじゃよ」

「は? その設定って運営しかできないってさっき……」

「ちがうのじゃ。アーカイブの配信は自由に公開時間を設定できるじゃろ? だから、公開日時の予約を数年先にしただけじゃ」

「でも、下にスクロールさせたらばれちゃうんじゃ……」


 話を聞いて怪訝そうな顔をした音羽が聞き返すと、ルリが勝ち誇ったように胸を張って答える。


「だいじょうぶじゃ。わらわはいろんな動画の予約投稿をしておるからのう。本数が多すぎて見つけることは不可能じゃ。それに、ご主人たちが気が付くはずがないからのう」


 あっけらかんと話す様子を見て、何かを悟った音羽が小さく息を吐く。そして、左右に顔を振ると落ち着いた様子でルリに話しかける。


「まったく、ルリちゃんはさすがね……さてと、瑛士くんたちはまだ長引きそうだし、ちょっと行ってくるわ」

「どこに行くのじゃ?」

「んーちょっとね。すぐ戻ってくるから、ルリちゃんはおやつでも食べて待っていて」


 声をかけると小走りでフロアの奥に向かって走り出す音羽。しばらく呆気にとられていると、瑛士とルナの声がフロアに響き渡る。


「この野郎……どうしても負けを認めないというわけだな!」


「キューキュキュキュ」

「は? いい加減大人になったらどうなんだ? さあ、認めろ、自分が勝ちを譲られたということを……だと? ふざけんな! こうしていても埒が明かねーな……どうだ? 七階層のタイムアタックで白黒つけるというのは?」

「キューキュキュキュー」

「望むところだ! やってやろうじゃないか……だと? そうと決まれば七階層へ行こうじゃないか!」


 意気投合した瑛士とルナがなぜか握手し、ルリのほうへ向き直ると声をかける。


「ルリ、そういうことだから七階層へ行くぞ!」

「は? 何のことかさっぱりわからんのじゃが……」


 困惑するルリを気に留めず、七階層へ続く出口に向かって歩き始める。すると、二人の前にある人物が立ちはだかる。


「あら? 二人そろってどこに行こうとしているのかしら?」

「お、音羽! お前今までどこに……」

「はあ? 二人が遅すぎるからちょっと七階層を()()()()()()だけよ。あ、もう制圧し終わっているからね」

「な、なんだと……」

「キュ、キュ……」


 音羽の言葉を聞いて信じられないものを見たような顔になる瑛士とルナ。そんな様子を見た彼女は小さく息を吐きながら話しかける。


「さて、タイムアタックの勝負は私の勝ちでいいかしら?」


 勝ち誇ったように告げると、ひざから崩れ落ちて項垂れる瑛士。その姿を見た音羽が満面の笑みを浮かべながら口を開く。


「そうそう、瑛士くんとルナちゃんにはお話があるの。もちろん……覚悟はできているわよね?」


 凍り付くような声がフロアに響くと、全身を震わせながら無言でうなずく瑛士とルナ。この後、彼女からありがたいお話を聞く様子が配信され、コメント欄が大盛り上がりになるのは別のお話。

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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