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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第二十四章 ルリの探し物

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第9話 勝ったのはどっちだ?

 ルリたちが六階層に足を踏み入れた時、信じられない光景が目に飛び込んできた。フロアのいたるところに転がるおびただしい数の屍、ところどころから上がる煙、そして今も響き渡る断末魔の叫び……


「い、いったい何が起こっておるのじゃ……」


 理解不能な光景を目の当たりにし、目を見開いて固まるルリ。すると、配信を見ていたリスナーからも次々とコメントが書き込まれる。


≪チャットコメント≫


『何が起こったんだ?』

『六階層のフロアに切り替わった瞬間にはもうこのありさまだったぜ……』

『そういえばご主人が突撃した直後から変な鳴き声がしてなかった?』

『ご主人はともかくルナちゃんは心配だな』

『それなwご主人は何とかするだろうけどw』


 流れるコメントを見て我に返ったルリが真っ青な顔になり、隣にいた音羽にすがるように抱き着くと声を上げる。


「音……ミルキーさん、ルナは……ルナは無事なんじゃろうか?」

「ルリちゃん、落ち着いて。そんなに慌てなくても大丈夫よ。ルナちゃんの首輪に生命管理装置を付けておいたことを忘れてない?」

「あ……そうじゃった」


 音羽の言葉を聞いて急に冷静になるルリ。彼女自身は完全に忘れていたが、迷宮内でルナに万が一のことがあった時のためにGPS付きの生命管理装置を付けていた。この装置は心拍数や各種バイタルはもちろん、特殊な信号により迷宮内のどこにいるか常にタブレットの専用アプリに記録されている。


「本当に万が一のためだから……変な通知も来ていないし、大丈夫だと思うわ」

「ありがとうなのじゃ。でも、どうしてこんな高性能な機械をもっておったのじゃ?」

「それはね……瑛士くんの動向を探るためにずーっと開発してきたの。ほら、好きな人のことなら何でも知りたいっていうじゃない? ちなみに瑛士くんのほうは音声記録機能とサブミナル機能も付けてあるの。私のことをひと時も忘れないように数秒に一回、人間では聞き取れない音域で愛の言葉が脳内に響くようにしてあるのよ」


 いつの間にか顔につけた仮面に両手を当て、体をよじらせながら恥ずかしがる音羽。そんな彼女の様子を見て、ルリは呆れたように声を絞り出す。


「あはは……少し前からご主人が『なんかよくわからんがすごく耳鳴りがする』と言っておったのは、これが原因じゃったのか……ずいぶん悩んでおったから、聞こえる音域以外を遮断する魔法をかけたことは黙っておくのがよさそうじゃな……」


 目の前で呪文のように何かをつぶやいている音羽を見て、口を半開きにしながら乾いた笑みを浮かべるルリ。すると二人の様子に気が付いたリスナーが考察コメントを書き込み始める。


≪チャットコメント≫


『む? ミルキーさんが謎の動きをしていらっしゃる……これは何かの()()なのか?』

『それよりもルリ様の表情を見ろ! 何か深いことを考えていらっしゃるに違いない……』

『そ、そうなのか? 何かに呆れているようにしか見えないんだが?』

『何を言うか! われらでは及ばない高貴なことを考えているに違いない』


 次々と流れるコメントを目の当たりにしたルリが、困ったような表情をしていた時だった。フロアの奥のほうから怒鳴り声が響き渡った。


「俺のほうが先に到着していただろうが! おとなしく認めろ!」

「ギュー、ギュギュギュ、ギュー!」

「あ? タッチの差でこっちが先だ! 見苦しい真似をしているのはそっちだ……だと? 何が見苦しいだ! お前に言われたくないわ!」

「ギュー! ギュギュ!」

「あ? この勝負は配信されているんだから、すぐばれる嘘をつくな! って、そのままそっくり返してやるよ、この畜生が!」


 瑛士とルナが怒鳴り合う声がフロア内に響き渡り、しっかり木の下でにらみ合う二人の様子が配信画面に映し出される。すると、木の陰に隠れていた鳥型のモンスターが二匹現れ、言い争う彼ら目がけて急降下し始める。


「あ、危ないのじゃ! ご主人、ルナ!」


 その姿を見たルリが慌てて叫ぶが、にらみ合っている瑛士とルナにその声が届くことはない。そして、モンスターが彼らの頭を貫こうと迫った時だった。


「さっきからちょろちょろ鬱陶しいんだよ!」

「ギュー!」


 迫るモンスターを見ることなく、瑛士が右手を振り上げる。同時にルナは飛び上がって右前足で蹴り飛ばすと、悲鳴を上げることなくモンスターが木に打ち付けられて力なく地面に落ちていった。


「……わらわは何を見ておるのじゃ……」


 信じられない光景を目の当たりにしたルリが呆然と立ち尽くしていると、いつの間にか隣に立っていた音羽が口を開く。


「あーほんと見事なカウンターね。話し合いの最中に邪魔されるとすごくムカつくもんね」

「いやいや、ムカつくで終わらせていい問題ではないと思うのじゃ……まあ、気持ちはすごくわかるのじゃが……」


 腕を組んだルリが複雑な顔をしていると、二人の存在に気が付いた瑛士とルナが声を上げる。


「あ、ルリと音羽! ちょうどいいところにいた! 今の勝負はどっちが勝ったのか判定してくれ!」

「キューキュキュキュ!」

「あ? 自分が勝ったに違いないから、配信のアーカイブを見てくれだと? だーかーら、お前じゃなくて俺が勝ったんだ!」

「キューキュキュ!」

「配信を見ればすぐわかることだ! 早く認めたほうがいいぞ? だと……テメェ、いい度胸をしているじゃねーか!」


 再びにらみ合って火花を散らす瑛士とルナ。

 真っ向から食い違う主張に対し、果たして真の勝者はどちらなのか?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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