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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第二十三章 明らかになる迷宮出現の裏側

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第5話 瑛士はすでに気がついていた……

 神妙な顔で話す音羽を見て、瑛士が大きなため息を吐くとゆっくり口を開く。


「……知っていたよ」

「そうよね、ショックで何も言えな……って、え?」


 用意していた言葉を口にするが、予想と違う返答が返ってきた音羽は言葉に詰まる。意味が分からないといった様子で固まる彼女を見て、瑛士が静かに話しかける。


「どうしたんだ? なにも驚くようなことはないだろ?」

「あれ? 私の聞き間違いかしら……瑛士くん、もう一度聞くけど……何を知っていたのかしら?」

「お前らしくないな。もう一回言うぞ……俺は知っていたんだよ、()()()()()()()()()()()を」


 苦虫を噛み潰したような顔で答える瑛士に対し、目を見開いて固まる音羽。しばらく二人の間に何とも言えない沈黙が流れ、重苦しい空気が支配し始める。すると、我に返った彼女が震える声で沈黙を破る。


「ちょ、ちょっと待ってよ……ど、どこでその事実を知ったの?」

「どこでって……」

「だって、私も全部を聞かされていないんだよ? うちの両親だって知らないのに……」


 冷静沈着な音羽には珍しく、身振り手振りを交えて問いかける。そんな彼女の様子を気に留めることなく、遠くを見るような目をした瑛士が静かに語り出す。


「俺も親父から直接聞いたわけじゃない……幼いころから何かの研究をしていたことくらいは、気が付いていた。それがかなり危険を伴い、失敗すれば命を落とすだけではすまないことくらいは……俺が研究の全貌を知ったのは、研究所で幽閉される直前だ。家の倉庫で遊んでいた時に、ある古い日記のような物を見つけたんだ」


 少し寂しそうな顔になると、俯いて吐き捨てるように声を上げる。


「そこに書かれていたのは……迷宮出現に伴う手順だった。必要な儀式、生贄……そして、出現に必要な擬人化する禁書の存在……」

「え……擬人化する禁書って……」


 話を聞いていた音羽が何かに気が付き、驚きの声を上げる。すると、天を仰ぐように顔を上げた瑛士が小さく息を吐き、絞り出すように声を上げる。


「ああ、まさにルリのことだ……」

「そんな……でも、ルリちゃんってところどころ記憶がないって言っていたし、最初に会ったのも瑛士くんの家じゃなかった?」

「ああ、そうだ。なぜか()()()()()に保管されていたんだよ……」


 言葉を聞いた音羽は瑛士が何を言っているのか理解できず、声を荒げながら聞き返す。


「お、おかしいじゃない! だって、迷宮出現には禁書が必要なんでしょ? なのに瑛士くんの家にあったらつじつまが合わないじゃない! 誰かが意図的にバラして、隠したとしかな……」

「そうだな。そんなことができるのは一人しかいない、親父だけだ!」


 力強く言い切ると、小さく息を吐く瑛士。すると、今まで溜め込んでいた物が溢れ出すかのように、言葉が止まらなくなる。


「親父は何とかして迷宮を世のために役立てようとしていた……しかし、世界の構造を根底から覆すことができる研究だ。そんな美味しい権利に飯島が飛びつかないはずはない……ヤツは秘密裏に進めている研究を知り、裏から手を回して研究員として潜り込んだと思われる。どんな手を使ったのか知らないが、いつの間にか主席研究員の地位まで上り詰め、親父のミスを徹底的に追及したらしい」

「飯島女史ならやりかねないわね……欲しいのは自分に対する名声と名誉だけだもん……」

「ああ。ヤツは俺に読書魔法の適性があるとわかると、親父を脅したんだ……私の言う通りにしなければ、家族に危害を加えると……」

「え……」


 瑛士の口から語られた衝撃の事実を聞き、口を大きく開けたまま固まってしまう音羽。


「しぶしぶ研究に付き合わされることになった親父は、秘密裏に禁書のコピーを作成して本書を隠した。そして、迷宮出現の儀式の日……直前で何者かの襲撃によって、実験は失敗に終わった。だが、その代償はあまりにも大きかった。研究所が崩壊し、多くの人が行方不明になってしまった……」

「……」

「あとの話はお前も知っている通り、親父は行方不明、母親は巻き込まれて今も意識不明のままだ……」


 悲しそうな表情で語る瑛士を見て、絞り出すように声を上げる音羽。


「そ、そうだったのね……で、でも、今の話はどうやって知ったの? お母さんは話せないし……」

「ルリを見つけた数日前、倉庫の中からたまたま母親の日記が見つかった……俺に宛てた手紙と一緒にな」


 思わず唾を飲み込み、瑛士を真っすぐ見る音羽。すると、彼も真剣な眼差しで見返すと、口を開く。


「親父は迷宮のどこかにいるはず……倉庫に隠した禁書が飯島の手に渡る前に、あなたが封印を開封しなさい。きっと助けになるはずだからと書いてあった。まさか、擬人化する本とは思わなかったが」


 どこか吹っ切れたような顔で話す瑛士を見て、音羽が小さく息を吐いて話しかける。


「なるほどね……なおさら飯島女史から守らないとね」

「ああ、俺たちを狙って血眼で探しているのは間違いない……だからこそ、その考え方を逆手に取ってやろうと思っているんだ」


 瑛士が不敵な笑みを浮かべ、意味深な言葉を呟く。


「逆手に取るって……いったい何を考えているの?」


 怪訝な顔をして音羽が聞き返すと、瑛士が彼女に近寄って耳元で囁く。すると、目を見開いて驚きの声を上げる。


「はぁ? そんなことができるの?」


 思わず大声を上げて瑛士を見返す音羽。

 いったい彼は何を彼女に伝えたのか?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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