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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第二十三章 明らかになる迷宮出現の裏側

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第3話 存在感の薄いエリアボス

「音羽の声を聞いた鉄牙狼(ラグナ=フェンリル)たちの体が、一瞬飛び上がるように跳ねる。その様子を見た瑛士が口を開く。


「そういえばコイツらいたんだったな……すっかり存在を忘れていたわ」

「ク、クーン……」


 思い出したように手を叩いて声を上げた瑛士に対し、項垂れながら情けない鳴き声を上げるモンスターたち。そんな姿を哀れに思ったのか、今度はルリが二人に話しかける。


「ご主人、音羽お姉ちゃん、その言い方は鉄牙狼たちに失礼じゃと思うのじゃ。ああ見えてもエリアボスなのじゃぞ? まあ、わらわたちから見たらちょっと大きいわんこと変わりはないのじゃが、少しくらいは立ててやらんと……って、ありゃ? いったいどうしたのじゃ?」


 ルリが意気揚々と語っていると、鉄牙狼たちが真っ白に燃え尽き、白目をむいたまま地面に突っ伏していた。一番大きな体格をしたボスの隣には、いつの間にかルナが座っており、慰めるかのように前足で優しく頭を撫でていた。


「キュー、キュキュ」

「ク、クーン……」


 ウサギがオオカミを慰めているという奇妙な光景を見て、ルリが顔を傾げながら呟く。


「ふむ……ウサギのほうがオオカミよりも強かったと、いうことなのじゃろうか?」

「そんなわけあるか! あからさまに止めを刺したのはお前だろうが!」


 顎に手を当ててすっとぼけたような声を上げるルリに対し、思わずツッコミを入れる瑛士。しかし、彼女は何のことかわかっておらず、不思議そうな顔で問いかける。


「まったく意味が分からんのじゃ。だいたいモンスターどもが、わらわたちの会話を理解しているとでも言いたそうじゃのう」

「いや、絶対理解しているだろ……だいたい、ルナや翠も普通に会話できているんだし」

「そうじゃった! でも、普通のウサギや猫でもそのくらいの芸当はできるんじゃろ?」

「できるわけがないだろうが! あいつらがおかしいんだって! そもそも、鉄牙狼はモンスターなんだから常識が通用するわけない!」


 瑛士が叫ぶように声を上げると、鉄牙狼たちが顔を上げて大きく頷く。しかし、そんなモンスターたちに対し、追い打ちをかけるようにルリが声を上げる。


「何を言っておるのじゃ! ルナたちとモンスターどもを同列扱いするなんて失礼じゃろうが!」

「ギャオン!」


 ルリのとどめの一言が思いっきりぶっ刺さり、悲鳴のような鳴き声を上げて地面に倒れ込むモンスターたち。その姿を見た瑛士が額に手を当てて、申し訳なさそうに話しかける。


「……ごめんな、お前たちのことは忘れないからな」


 瑛士の言葉を聞いて、完全に動かなくなってしまうモンスターたち。その様子を見ていた音羽が、呆れたような表情で呟く。


「瑛士くん……さすがに止めを刺しに行くのは……」

「ん? 止めを刺したのはルリのほうだろ?」


 言っていることが理解できず、首を傾げながら声を上げる瑛士。そんな彼の様子を見ると、大きなため息を吐く音羽。


「……この二人は……()()()()で迷宮を攻略してしまいそうね……」


 顔を左右に振りながら呆れたような声で呟く音羽。すると、不思議そうな顔をした瑛士が、問いかける。


「何を言っているんだ? 言葉だけで攻略できるほど迷宮は甘くないぞ。お前もよくわかっているだろ?」

「そうじゃぞ、音羽お姉ちゃん。モンスターどもと対話ができるとは思えんのじゃ。まあ、階層が進めば、言語や思考を理解して先読みしてくるヤツも現れるかもしれんのじゃが」

「いや……そういうことじゃないんだけどね……」


 意味を理解していないルリと瑛士が揃って顔を傾げる様子に、大きくため息を吐く音羽。すると、いつの間にか戻ってきたルナが足元で鳴き声を上げる。


「キュー、キュキュ」

「え? もうそのくらいにしてあげて……モンスターたちは立ち直れなくなっているから。ですって?」

「キュー」


 話を聞いて音羽が驚いていると、ルナがため息を吐きながら顔を動かす。視線の先には、涙を流して地面に倒れ込む鉄牙狼たちの姿があった。


「あ、あら? 本当に何もしていないのに倒しちゃったみたいね……」


 顔を引きつらせている音羽に対し、ルリが勝ち誇ったように声を上げる。


「む! わらわたちの迫力に押され、倒してしまったようじゃのう! ははは!」


 自信たっぷりに高笑いをするルリを見て、何も言えなくなった音羽が絞り出すように話しかける。


「えーっと……もうそういうことでいいわ」


 音羽が呆然と立ち尽くしていると、瑛士が優しく肩に手を置きながら話しかける。


「言いたいことはいろいろあるだろうが、今のルリに何を言っても無駄だぞ……」

「そうね……」


 二人が呆れたような顔をしていると、その様子に気が付いたルリが声をかけてくる。


「何をぼさっとしておるのじゃ? さあ、わらわの覇道のために六階層に向かうのじゃ! ルナ、翠、ついてくるのじゃ!」

「キュー」

「ニャー!」


 胸を張って歩き出したルリの後を追いかけるように、ルナと翠が小走りで駆け寄っていく。その様子を見ていた音羽が小さく息を吐くと、瑛士に小声で話しかける。


「ルリちゃんの機嫌が直ったから良しとしましょうか」

「そうだな……まあ、へそを曲げたままだといろいろと面倒なことになるからな……」


 意気揚々と歩くルリの姿を見ながら大きく息を吐く瑛士。すると、音羽の顔が急に険しくなり、緊張感の漂う声を上げる。


「ところで瑛士くん、ルナちゃんたちに気が付かれないようにうまくやったみたいね?」


 不敵な笑みを浮かべ、意味深な問いかけをする音羽。

 いったい彼女の問いかけは何を意図しているのか?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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