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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
幕間㉑

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閑話㉑ー5 音羽の潜入作戦(前編)

 ルナと翠が迷宮内を進んでいた頃、清掃業者に扮した音羽が関係者通用口に向かって歩いていた。


「えっと、たしかこの近くにあったと思ったんだけど……」


 周囲を見渡しながら通用口を探しているが、迷宮の壁は草に覆われているためそれっぽい場所が全く見当たらない。


「ほんとどうなってるの? いくらなんでも()()してるとかありえないし……あーあ、こんなことならちゃんと聞きだしておけばよかった」


 ブツブツ文句を言いながら歩いていると、観光エリアのほうからスーツを着た若い男性が走ってきた。何か焦ったような顔で音羽の前を通り過ぎようとした時、思いきって声をかける。


「お急ぎのところすみません。ちょっと教えてほしいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」

「え? あ、はい。どうされました?」


 声をかけられた男性が立ち止まり、笑顔で音羽のほうへ近づいてくる。


「今日から清掃員として派遣されてきたのですが、迷宮の関係者用通用口の場所がわからなくて……どこに行けばよいのでしょうか?」


 少しうつむいた音羽が尋ねると、男性は首からぶら下がっていた社員証を見る。確認が終わると何事もなかったかのように話し始める。


「ああ、業者さんだったんですね。関係者入口はここから少し奥に行った壁沿いにありますよ」

「ありがとうございます。この先にあるんですね」

「そうです。入口に社員証のバーコードをかざすところがあるので、認証をさせてくださいね。最近何かとセキュリティについてうるさくなったので……」


 苦笑いを浮かべながら男性が答えると、音羽が同調するように声をかける。


「そうなんですか。そういえば先ほども凄い音がしてましたが……」

「あー! そうだった! 早く現場に行かないと! すみません、本来ならちゃんとご案内すべきなんですが……壁沿いを歩いていくとすぐわかると思います! それでは!」

「ありがとうございます」


 音羽がお礼を言うとすぐに奥の方へ向かって走り出す男性。その姿が見えなくなると、顔を上げて大きく息を吐く。


「ふぅ……何とかバレずに済んだわね。さて、関係者通用口を目指しますか」


 男性に教えてもらったように迷宮の壁沿いを歩いていくと、草に覆われている銀色の扉が現れる。近づいて見ればすぐわかるのだが、少し離れると壁の一部と錯覚してしまう。


「こんなのわかるわけないでしょ……さてと、さっさと中に入りますか」


 言われた通り扉に向かって社員証をかざすと、電子音が鳴って鍵が解除される音が響く。そのまま扉を開けて中に入ると、再び鍵の閉まる音が聞こえた。


「さてと……って、めっちゃ暗いじゃない!」


 関係者用の通路は壁に松明のような照明が等間隔で配置されており、全体的に薄暗く先が見えなかった。


「ちょっと……リニューアルするならこっちも改修しなさいよ。めっちゃ薄気味悪いし……」


 文句を言いながらも薄暗い廊下を歩き始める音羽。しばらく歩いていると、通路の途中から光が漏れている部屋が視界に入る。


「あれ? なんかあそこだけ妙に明るいわね。何があるのかしら……」


 小走りで灯りの漏れる部屋に駆け寄ると、そこは自販機が並ぶ休憩スペースだった。


「へえ、ずいぶん充実してる……って、新商品が入ってるじゃない!」


 音羽の目に飛び込んできたのは、話題沸騰中の新商品『メント・フルーツパンチ』という炭酸飲料だった。ごく一部の地域でゲリラ的に自動販売機で売られているらしく、幻と言われていた一品だった。


「なんでこんなところに? 飯島女史め……職権乱用とは許すまじ! まあ、でも売り切れてないところを見ると……まだ入荷したばかりなのかしら? さて、そんなことよりもきっちりゲットしておかないと!」


 深く頷くと自動販売機にスマホを当てて、次々と購入していく。この時、ある人物がすぐ後ろを通過していったことにも気が付かず……


「ふう、このくらいにしておいてあげるわ」


 十本ほど購入したところで持っていたバケツに商品を詰め込むと、満足げな表情で休憩室を後にする音羽。そのまま鼻歌を歌いながら薄暗い通路を歩いていると、前のほうから聞き覚えのある鳴き声が聞こえてくる。


「ん? あの鳴き声は……まさか?」


 しばらく進むと、壁の穴に体を突っ込んだ動物が二匹並んで体を震わせていた。


「ぷっ、頭隠して尻隠さずってまさにこのことじゃない。あ! いいこと思いついちゃった!」


 怪しげな笑みを浮かべて二匹を見つめながら呟く。

 音羽はいったい何を思いついたのだろうか?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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