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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
幕間㉑

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閑話㉑ー4 ルナと翠の作戦会議⑧

 飯島と紀元が通用口でひと悶着を起こしていたころ、薄暗い関係者通路を歩く二つの影があった。


「ねえねえ、ルナさん。本当にこっちであっているの?」

「ああ、間違いない。たくさんの人の声が聞こえてきているからな」


 通路を歩いていたのは、関係者通用口から中に侵入したルナと翠だった。飯島たちが現れる少し前、トラックで現れた運送業者が入り口を開けたままにしていた。そして、商品を台車に乗せている隙を見逃さず、素早く中に侵入することに成功すると薄暗い通路を音を立てずに進んでいたのだ。


「勝手に入ってきちゃったけど……誰かに見つかったら怒られないかな?」

「その時は全力で逃げればいいだろ。そもそも、入り口を開けっぱなしにしているほうが悪い」

「そういうものかな? まあ、僕は少しでも隙間があれば大丈夫だけど」

「そういえばお前は猫だもんな……脱走と侵入はお手の物だろ」


 後ろを振り返ったルナがため息を吐くと、翠が誇らしげに話し始める。


「まあね! ダメって言われるとすごく燃えるんだよね! 絶対いたずらをしてやろうってさ」

「……まあ、頼むからほどほどにしてくれよ」


 笑顔で胸を張る翠を見て、ルナがため息を吐いた時だった。天に向かって立つ耳がかすかな足音を感知する。


「ん? 前方からこっちに歩いてくる足音が聞こえるな……近くの物陰に隠れるぞ」

「え? 何にも聞こえないけど?」

「そりゃお前には聞こえないだろうな。念には念を入れろってことだ」


 耳を立てて注意深く音を探るルナ。同時に周囲を見渡して、二匹が隠れられる物陰を見つける。


「よし、壁の岩とロッカーの隙間に隠れるぞ。いいというまで声を出すなよ」

「うん、わかったよ」


 ルナが声を上げると同時に翠と一緒に物陰に隠れる。しかし、数分が経過しても誰かが歩いてくるような気配は感じなかった。すると、おとなしく待っていた翠がしびれを切らし、抗議の声を上げる。


「ちょっとルナさん? 誰も来ないじゃないの! いつまでこんなところで隠れていないといけないのさ!」

「お前、大きな声を出すなって! まあ、聞こえないのも無理はないが……確実にこっちに近づいているからもう少し待っていろ」

「むー! もう隠れているの飽きた! 早く進みたい……むごむご」


 我慢の限界が来た翠が大声を上げようとしたとき、咄嗟に前足で口をふさぐルナ。


「来たぞ……いいか動くなよ」


 ルナが小声でささやくと同時に暗闇の中から、白衣を着た女性が現れる。そして、ルナたちの前を通り過ぎると、後ろを振り返りながら呟く。


「あれ? さっきなんか鳴き声のようなものが聞こえたけど……気のせいかしら? まあ、いいわ。迷宮の中だし、何が起こっても不思議じゃないし……()()()()がいれば捕まえて可愛がってあげようかしら」


 ルナたちが隠れている岩陰に視線を一瞬向けると、そのまま通路の奥へ消えていく。完全に足音が聞こえなくなると、前足を下ろしたルナが大きなため息をつく。


「危なかった……まさかヤツが歩いてくるとは想定外だった」

「ぷっはー。苦しかった……ルナさん、ちゃんと人が来たなら来たって言ってくれないとわからないじゃん!」


 大きく息を吐いた翠が、頬を膨らませながらルナに抗議する。その様子を見て、呆れたように話しかける。


「説明したところで聞く耳を持たないだろうに……まあ、何とか危機は去ったから良しとしようじゃないか」

「なんか納得できないけど……見つかっていたほうが面倒くさいことになっていたから、特別に許してあげる!」


 顔を背けながら話す翠を見て、呆れたように声を上げるルナ。

「なんで上から目線なんだよ……それよりも、早くご主人様たちと合流するためにも先を急ぐぞ」

「そうだね! じゃあ、どっちが早く着けるか競争しようか?」


 言い終えると同時に勢いよく通路を駆け出していく翠。その姿を見て、ルナが慌てて追いかけながら叫ぶ。


「あ、こら! 勝手に走り出すな。また誰かと遭遇したらどうするんだ!」

「大丈夫だよ! こう見えても逃げ足だけは早いんだから」

「そういう問題じゃねーよ!」


 ルナの叫びも虚しく翠はどんどん加速していく。そしてしばらく追いかけていくと、暗闇の中で突然立ち止まる。


「わ! いきなり立ち止まるんじゃない!」

「ごめん……ねえ、ルナさん。この先からすごく妙な気配がするんだけど……どうしたらいいかな?」


 後ろを振り向いた翠の顔に不安の色が滲んでおり、ただ事ではない雰囲気が伝わってくる。


「……言いたいことは山ほどあるが、これはちょっとやばい感じだぞ。けた外れの魔力と魔法の気配がこの先から伝わってくる……」

「ど、どうしよう……は、早く隠れないと!」


 通路の真ん中で二匹が慌てふためいていると、通路の奥の方から近づいてくる足音がどんどん大きくなる。パニックになった二匹が近くにあった岩の壁にできた隙間に頭を突っ込んでいると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「あれ? こんなところでどうしたの、ルナちゃんと翠ちゃん?」


 声を聞いた二匹が恐る恐る顔を出すと、驚いてその場で固まってしまう。

 二匹の前に現れた人物とは――いったい誰なのか?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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