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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第二十一章 再度迷宮攻略へ

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第10話 真の実力と謎の咆哮

 瑛士が二階層のフロアに足を踏み入れると、集まっていたホーンラビットの視線が一斉に向けられる。その様子を見て、口元を釣り上げて笑みを浮かべながら呟く。


「ふっ、なかなか壮観な光景だな。わざわざ全員で俺を出迎えてくれるとは……手間が省けたぜ」

「ギュアアァァァァ!」


 瑛士と目があったホーンラビットの軍団が一斉に咆哮を上げ、殺気を宿らせた視線を向ける。そして、額から彼らの象徴でもある角が現れ、全身から赤い魔力が溢れ始める。その様子を見ていたルリの額から一筋の汗が流れ落ちる。


「……やっぱりモンスターじゃったのう。モフモフするために飛び込んでおったら……」

「うん、まあそうね。でもルリちゃん、明らかに何かおかしいわ」


 ビビり散らかして固まるルリの隣で腕を組んでいた音羽が、目の前に広がる光景を見ながら呟く。


「ど、どういうことなのじゃ?」

「ホーンラビットってたしかに凶暴なモンスターだけど、最初から敵意むき出しで徒党を組むような性格じゃないのよ。何か刺激するようなことがないと」

「たしかになのじゃ。以前囲まれたときは……あ! 大声を出したのじゃ!」


 手を叩いたルリが何かを思い出したように声を上げる。彼女の言葉を聞いた音羽は、納得したように答える。


「なるほど、今回の件はすべて瑛士くんの作戦のうちだったわけね」

「作戦? ご主人の?」


 ルリが不思議そうに問いかけると、配信中のコメント欄にも書き込みが殺到し始める。


 《チャットコメント》


『あー誰かが言っていたな、ホーンラビットは音に敏感って』

『ご主人の作戦ってなんだ?』

『音に敏感なのは分かるけど、何でこんなに集まってるんだ?』

『KWSK』


 流れるコメントを見た音羽は、笑みを浮かべると得意げに答え始める。


「ふふふ、私の解説に期待する声が多く上がってるわね」

「うむ、わらわも解説を聞きたいのじゃ。ぜひとも下僕どもにも分かるように頼むのじゃ」


 ルリが上目遣いでお願いすると、まんざらでもない表情の音羽が自信たっぷりに答え始める。


「ルリちゃんにお願いされたら、答えないわけにはいかないわね。少し前のことを思い出してほしいのだけど、リスナーのみんなと瑛士くんが言い争いした事があったでしょ? あれはわざと大声で言い争うようにしていたの」


 音羽の言葉を聞いたルリとリスナーは、何を言っているのかわからず固まってしまう。そんな様子を気に留めることもなく、彼女は話を続ける。


「あえて二階層の入口近くで大声を出すことによって、モンスターを入口に集めて一網打尽にしようって作戦なわけね……まったく滅茶苦茶なことを思いつくんだから……」

「はて? そんなにうまくいくのかのう……」


 話を聞いたルリが呆れたように声を上げた時だった。目を瞑り、静かに構えを取っていた瑛士が小さく息を吐く。すると彼の姿が蜃気楼のように揺らぐと、その場から消えたのだ。


「は? ご主人の姿が消えたじゃと?」


 ルリが驚きの声を上げた次の瞬間、一斉に飛びかかろうとしたモンスターの動きが止まる。そして、数本の閃光が空間内に走り、ナイフを持った瑛士が草むらの中に現れる。


「ふう。終わったぞ」


 何事もなかったかのように前を向いたまま、小さく息を吐いて呟く瑛士。


「何を言っておるのじゃ! モンスターどもの動きは止まっておるが、そんな無防備で……は?」


 ルリが慌てて声を上げた時だった。まるで糸が切れたかのように、次々とホーンラビットが地面に倒れ込んでいく。そして、積み上がった屍から流れ出た血が、緑の草むらを赤く染め上げ始める。異様な光景が広がる中、瑛士は極めて冷静な態度で音羽に声を掛ける。


「ミルキー、()()()はどんなもんだ?」

「一分三十秒ってところね。まずまずの速さじゃない?」

「そうか……分切りを狙ったんだが、最初の蹴り出しが遅かったな」


 淡々と語る瑛士に対し、配信を見ていたリスナーから驚きの声が次々と書き込まれる。


 《チャットコメント》


『何が起こったんだよ!』

『え? あの群れを一瞬で片付けたの?』

『ご主人の姿が見えなかったよね? そんな実力隠していたの?』

『マジかよ……人間業じゃないだろ』


 小さく息を吐き、短剣をスマホに持ち替えた瑛士がコメントを見ると苦笑いしながら呟く。


「はは、分切りを目指したんだが……まだ本調子じゃないな」

「何を言っているの? 意図的に体力を温存したのはバレバレよ」

「さすがだな。そこまで見抜かれていたとはな……」


 小さくため息を吐いて答える瑛士を見て、目を見開いたルリが話しかける。


「は? あれで手を抜いていたじゃと? ご主人……冗談はやめてほしいのじゃ」

「冗談なんて言ってないぞ。奥にもう()()()()()()()()が控えているからな……」


 話を聞いたルリに答えると、瑛士は二階層の奥に向かって鋭い視線を向ける。しかし、彼が何を言っているのか理解できないルリは、顔を傾げながら問いかける。


「ご主人が何を言っておるのかサーッパリわからんのじゃ。どこにそんなヤバいのがおるのじゃ? 見る限り何の変哲もない草むらしか……」

「ギュオォォォォ!」


 彼らの会話を遮るようにフロア全体に謎の咆哮が響き渡る。


「さてと……本丸のお出ましか。きっちり決着を付けないといけないようだな」


 再びスマホから短剣に持ち替えた瑛士が構えを取り、咆哮の聞こえた草むらの奥を睨みつける。


「あの咆哮は……」


 睨みをきかせる瑛士とは違う反応を示すルリ。

 二階層の奥で彼らを待ち受ける者の正体は、いったい誰なのか?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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