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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第二十一章 再度迷宮攻略へ

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第2話 警戒するに越したことはない?

 瑛士たちが一階層の入り口に降り立った瞬間、目の前に現れた人物が声をかけてきた。


「ずいぶん遅い到着だったわね。ほんと待ちくたびれたわよ」

「お前こそ早すぎるんじゃないか? 予定ではもう少しかかるって言っていただろ」


 苛立った様子で話しかけてきた人物に対し、呆れたように声をかける瑛士。その隣にいたルリは目を見開いたまま驚きの声を上げる。


「な、なんでここにいるのじゃ? 音羽お姉ちゃん!」


 瑛士たちに声をかけてきたのは、狐のお面を顔につけた音羽だった。驚いて固まっているルリを見て、少し困ったような表情で話しかける。


「あーうん、ビックリするよね……?」

「そりゃそうなのじゃ! 音羽お姉ちゃんは忘れ物を取りに行ったはずじゃし、迷宮の入り口で探索者はわらわたちが()()じゃと聞いたのじゃ!」


 興奮した様子で詰め寄るルリに対し、右手で頬を掻くと音羽が言葉に詰まりながら答える。


「えっと、まあ、なんというか……裏口みたいなところからこそっと入ってきたというか……」

「裏口じゃと? そんなところがあるのは知らなかったのじゃ! それは……もごもご」

「えーっと、ルリちゃん。ちょっと声のトーンを落とそうか」


 驚いたルリの声に周囲の人々の注目が集まり始めると、音羽は彼女の口を慌てて塞ぐ。そして、周囲に聞こえないように耳元で囁く。


「ルリちゃん、ちょっと声が大きいって……」

「むぐーむぐー!」

「バレるといろいろマズいことがあるから……ルリちゃん、喉が乾いたでしょ? あっちで飲み物でも飲みましょうね。瑛士くんも」

「ああ、そうだな」

「むぐー!」


 手足をバタバタさせながら必死に抵抗するルリを引きずりながら、自動販売機のあるコーナーへ向かって歩き始める三人。その間も周囲の注目を集めていたのだが……


「ぷはっー! いきなり口をふさぐとはひどいのじゃ!」


 自動販売機コーナーに着いて周囲に人の気配がないことを確認し、音羽がルリを解放すると声を上げる。


「ごめんね。悪気があったわけじゃないのよ」

「そんなことはわかっておるのじゃ。でも、口をふさぐ前に理由くらい教えてほしいのじゃ」


 頬を膨らませながらルリが抗議すると、お面をずらした音羽が苦笑いをしながら話しかける。


「いや~ルリちゃんの声が大きくて、周りの人が一斉にこっちを見ていたのよね。怪訝そうな顔をした人もいて、もしかしたら飯島女史の()()()もいるかもって警戒したの」

「そうじゃったか……それは申し訳ないのじゃ……」


 話を聞いて申し訳なさそうに俯くルリを見て、音羽が優しく声をかける。


「大丈夫よ。何とかうまく逃げられたみたいだし、捕まったらそれはその時だしね」


 横目で視線を向ける音羽に気が付いた瑛士が、怪訝そうな表情で話しかける。


「お前、またよからぬことを考えているんじゃないだろうな?」

「え? 何のことかしら?」

「どうせ関係者が近づいてきたら、俺に擦り付けて逃げようって魂胆だろ……」


 呆れたように瑛士が呟くと、音羽がわざとらしく視線を逸らす。そして、すっとぼけたように声を上げる。


「そ、そんなこと考えてないわよ。ちょっと不思議なことを呟きながら、ルリちゃんに迫ってきていたって言うだけじゃない」

「どう見ても不審者にしか見えないだろうが! それ社会的にも終わるやつだろ!」

「えー? 大丈夫でしょ? 迷宮の中は治外法権って言うじゃない」

「それとこれは違うってーの! どうせお前らのことだから……配信しながら実況とかするだろうが!」


 核心を突かれた音羽の顔が一瞬引きつるが、すぐに小さく息を吐くと口を開く。


「そこまで分かっているなら話が早いじゃない。こんなおいしい題材を見過ごして、配信者とは言えないわ!」

「ドアホ! 明らかに悪意しかないだろうが!」

「何を言っているのかしら? ちゃんと見ているリスナーはわかってくれると、私は信じているわ!」

「面白がっておもちゃにされる結末しか見えねーんだよ!」


 話を聞いていた瑛士が思わず絶叫すると、黙って話を聞いていたルリが手を叩きながら割って入る。


「話は聞かせてもらったのじゃ。ご主人……ちょっとは落ち着いたらどうなんじゃ?」

「今の状況でどう落ち着けというんだ?」

「少し冷静に考えるのじゃ。おもちゃにされる結末ということは、ありえないと思うのじゃよ」


 腕を組み、深く頷きながら話すルリ。あまりに自信たっぷりに話す彼女の姿に、思わず怯んでしまう瑛士。


「お、おう……お前が自信たっぷりに言うのには、何か裏付けがありそうだな……」

「うむ。もちろんなのじゃ。そもそも……もうすでに下僕どものおもちゃになっておるから、問題ないのじゃ!」

「それが問題なんだよ! すでにおもちゃ認定されているってどういうことだよ!」


 大声で叫ぶと頭を抱えてその場でしゃがみ込んでしまう瑛士。


「はて? ご主人はどうしてしまったんじゃろうか?」


 そんな彼の様子を見たルリは、顔を傾げながら声を上げる。すると、ゆっくり近づいてきた音羽が右肩に手を置きながら、優しく声をかける。


「ルリちゃん、大丈夫よ。きっと悩みの多いお年頃なの」

「そうなんじゃな。わらわにはよくわからんが、大変じゃのう」


 話を聞いて納得したような顔で呟くルリ。すると、何かを思い出したように手を叩いて、音羽に話しかける。


「おお、そうじゃった! 音羽お姉ちゃんも合流したことじゃし、受付カウンターに行かねばならぬ」

「受付カウンター? 登録は終わっているし、なにかあったかしら?」


 話を聞いて首をかしげる音羽を見て、ルリがタブレットを取り出して操作しはじめる。そして、ある画面を表示させると彼女に見せながら話しかける。


「これじゃよ。なんか()()()()匂いはするのじゃがな……」


 突きつけてきた画面を見て、音羽が無言になると目を細めながら食い入るように見つめる。

 ルリが見せてきた画面には、いったい何が表示されていたのだろうか?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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