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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
幕間⑳

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閑話⑳ー7 消えた博士と謎の違和感

「博士……あれ? いないだと……」


 慌てた紀元が駆け込んだのは、先ほど飯島と話していた迷宮内のモニタールームだった。しかし、室内には彼女の姿はなく、壁一面を埋め尽くす映像が室内を怪しく照らしていた。


「どこに行ったんだ? 机の上に飲みかけのコーヒーも置いてあるし、さっきまでこの場所にいたのは間違いなさそうなんだけどな」


 室内を見渡すと机に飲みかけのコーヒーと食べかけのチョコレートが置いてあり、先ほどまで飯島が好き勝手していた痕跡が残されていた。そして床に散らばったお菓子の空袋を見つけると、大きなため息を吐きながら呟く。


「まったくあの人は……ここは自分の部屋じゃないって何度言ったらわかるんだよ。たしかに誰も来ないけど、せめてゴミくらいはゴミ箱に捨ててくれ」


 右手を額に当てながら項垂れると、近くにあったビニール袋を手に取った。そして、床に散らかったお菓子の袋を次々と放り込んでいく。


「いつの間にこんなにお菓子を持ち込んだんだよ……さっき話していた時にはどこにもなかったはずなのに。別に食べるなとは言わないけど、もうちょっと量を考えて……ん? どこだ、この場所?」


 片付けている紀元の手が止まり、ある画面に映し出された光景に釘付けになる。そこに映っていたのは、見覚えのあるウサギと猫が並んでいる様子だった。すぐ近くにはよく知る三人と一人の男性が立っており、二匹の存在にまるで気が付いていないかのように話し込んでいる。


「これはどういうことだ? あれだけ至近距離にいたら、いくら鈍感なヤツでも気づくだろ。しかも、猫とウサギだぞ? どう考えても()()()()()()()は不自然だろ……」


 画面を凝視していると、男性の案内で三人が歩き始める。しかも真横を通っていったにもかかわらず、二匹も全く反応を示さない。


「……俺はいったい何を見ているんだ? ほぼぶつかるくらい真横を通過してるのに、逃げるどころか微動だにしないって……」


 モニターに映し出された異様な光景を見て、顔を傾げる紀元。しばらく固まっていたが、ふと我に返ると声を上げる。


「いかんいかん。こんなことをしている場合じゃなかった。早く片付けて、博士を探しに行かないと……それにしても、雫の姿も見当たらないが、どこに行ったんだよ」


 文句を呟きながら映し出されるモニターを見つめているが、二人の姿はどこにも映っていない。


「ほんと肝心な時に限っていなくなるのはやめてほしいんだが……それにしても、あの二匹が妙に気になるのはなぜだ……」


 先ほどの光景が忘れられず、二匹が映るモニターを見入ってしまう紀元。頭を左右に振って雑念を払おうとするが、確かめたい気持ちはどんどん大きくなる一方だった。


「クソっ、気になってしょうがない……博士も雫も行方不明だし、少しくらい見に行っても大丈夫だよな?」


 自分に言い聞かせるように問いかけるが、当然返事を返してくれる相手などいない。


「べ、別にさぼっているわけじゃないぞ。これは視察業務……そう、業務の一環であり、興味本位じゃないんだ」


 見えない誰かに言い訳するように大きな声で呟く紀元。すると、急に頭を大きく上下に振り、納得したように話し出す。


「そうだよな。部下の安全を確保するのは、重要な任務の一環だ。決して私情を挟んでいるわけじゃない。大丈夫だ……って、俺は何の心配をしているんだよ……」


 我に返った紀元に強烈な自己嫌悪感が襲いかかり、両手で頭を抱え込むとその場に座り込んでしまう。しばらくうずくまっていたが、頭を上げると再び該当のモニターを見つめて呟く。


「しかし、奇妙な光景だよな……一番最初に見てからずいぶん時間が経過しているはずなのに、二匹とも微動だにしないってどういうことだ? よくよく見ると……この場所って従業員出入口の近くじゃないか?」


 顎に手を当てて紀元が考え込むと、モニターの一つが突然ブルースクリーンに変わる。


「ん? いきなりどうしたんだ? 何かトラブルでも発生したのだろうか。でも、これはどのカメラなのかさっぱりわからん……まあ、博士が戻ったら聞いてみるか。それよりも、今はこの二匹の動向のほうが気になるしな」


 宣言するように声を上げると、そのままモニタールームを後にする紀元。すると、ブルースクリーンに変わったモニターに突然、赤字で文字が撃ち込まれ始める。


「……イジョウシンゴウヲカンチシマシタ。マモナクジドウボウエイプログラムガサドウ……ケイコク、ガイブヨリショウゲキアリ。データノハキ……ヲ……」


 文字が止まると同時にモニタールーム内に地震のような衝撃が走る。机の上にあったコーヒーはこぼれ、チョコレートは床に落ちて砕け散る。そして、誰もいない室内にけたたましい警報音と機械音声が響き渡る。


「振動と火災を検知しました。呪われた(ツイステッド)子供たち(・チルドレン)二号機の信号が途絶えています。廃棄しますか? (Y/N)」

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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