↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
幕間⑳

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
259/424

閑話⑳―3 実は知らされていなかった?

 瑛士たちが呪われた(ツイステッド)子供たち(・チルドレン)と対峙していた頃、迷宮内の従業員控室で真っ白に燃え尽きた紀元の姿があった。


「……もう全部燃え尽きたぜ……」

「何てバカなことを言っているの? まだまだ素材の写真が足りないんだけど」

「お前な……取材そっちのけでお土産見ていたのはどこのどいつだよ、雫!」


 椅子に倒れ込んだ紀元が睨みつけた先にいたのは、壁にもたれかかってカメラのデータを確認する雫だった。彼女は嫌味を言われたのがよほど不満だったのか、不貞腐れた表情で言い返す。


「はあ? 広報としておみやげ売り場の魅力を最大限調査していただけですけど? 私は悟兄さんみたいに暇じゃないんで」

「どの口が言ってるんだよ……いーちゃんコーナーで、片っ端から取り置きの指示を出していたくせに」

「はぁ……ほんと何もわかってないから困るわ」


 話を聞いていた雫がカメラを机に置くと、わざとらしく大きなため息を吐く。その様子を見た紀元は少し苛立ったように言葉を返す。


「何がわかってないんだよ? 別に博士のグッズなんていつでも手に入るだろうが」

「あーダメだ、この人……オープニングイベントのこと全然把握してないし」

「は? オープニングイベントだ?」


 言っている意味が分からず顔を傾げていると、いつの間にか取り出したスマホの画面を押し付ける雫。その画面を見た紀元が素っ頓狂な声を上げて驚く。


「な、なんだこのイベントは!」

「あーやっぱり……ちゃんと社内決裁も回したし、悟兄さんもハンコを押したでしょ?」

「はあ? こんな企画にゴーサイン出した覚えは……」


 否定する言葉を途中まで言いかけた紀元が、必死に記憶を辿った時だった。数週間前、山のように積まれていた決裁関係の書類を処理していた時のことが脳裏をよぎる。


「……その決裁っていつ出したヤツだ?」

「三週間くらい前だったと思うよ。どこで止まっていたのか知らないけど、全然戻ってこなくて焦ったんだよね」

「……」


 話を聞いた紀元の額から大量の汗が流れ落ちる。雫が社内決裁を出した時期、ちょうど出張が重なって会社にほとんどいなかった。そして、ひさしぶりに出社すると、机の上には自分の承認待ちと思われる書類が所狭しと積み上げられていた。あまりの量に絶望していた時、たまたま訪ねてきた飯島博士が書類整理を手伝ってくれたのだが……


「……完全に博士にしてやられたのか……」


 当時のことを思い出し、肩を落として項垂れる紀元。意気揚々と博士が持っていった書類の中に、今回の決裁書もまぎれていた可能性が出てきたからだ。


「あの時やけにニヤついてハンコ押していたと思ったら……そういうことだったのか……」

「悟兄さんどうしたの? 何かあった?」


 あまりにも激しく落ち込む姿を見た雫が声をかけると、絞り出すような声で返す紀元。


「博士にまたやられた……その決裁を承認したのは俺じゃない……」

「そうなの? まあ、でも()()()()()は飯島博士にあるんだし、何か問題でもある?」

「大ありだ……だいたいなんだよ、このグッズを五千円以上購入したら迷宮探索無料券をプレゼントって……」

「あーそれね、いいでしょ? 博士のグッズも売れるし、知名度も上がるしね。それに何より迷宮のプロモーションとして最高でしょ?」


 胸を張って自信たっぷりに答える雫を見て、額に手を当てて再び大きなため息を吐く紀元。


「あーうん、まあ、そうだな……速攻でオークションサイトとかに投げ売りされそうだけど……」


 紀元の呟きを聞いた雫が不敵な笑みを浮かべると、静かに声を上げる。


「大丈夫、そんなことさせないから」

「それは無理な話だろ? たしかに迷宮でしか売ってないものだけど、一応量産品だし……それに博士には申し訳ないが、そこまで人気があるわけじゃ……」


 紀元の口から思わず本音が漏れた時、雫の鋭い視線が突き刺さる。


「はあ? 誰が人気無いっていったの? 私の最推しなのよ! これから爆発的にファンが増えてトップへ駆け上るのは間違いないわ!」

「その自信はどこから来るんだよ……それに今回の購入者って迷宮無料券が目当てだろ?」

「わかってないわね。()()()()()()()すべて終わるのよ」

「は?」


 言っている意味が全く分からない紀元が顔を傾げていると、雫が笑みを浮かべて話しかける。


「まあ、その意味はすぐ分かると思うわよ。それよりも外がすごく騒がしいけど、大丈夫なの?」


 やけに騒がしい外の様子に気が付いた雫が声を上げた時だった。血相を変えて部下の一人が勢いよく扉を開け、休憩室に駆け込んできた。


「ほ、本部長! すぐに来ていただけませんか? 不測の事態が発生しまして……」

「何が起こったんだ? 雫、必要なら適当に取材を進めておいてくれ」

「はいはーい。わかりました」


 駆け込んできた部下と一緒に飛び出していく紀元を見送る雫。扉が閉まる音が響き、室内に静寂が訪れると小声で呟く雫。


「あーちょっと宣伝で煽るのをやりすぎちゃったかな~まあ、悟兄さんなら何とかしてくれるでしょ。さてと、人が多くなる前に……博士に頼まれたもう一つの任務を片付けましょうか」


 言い終えると同時に紀元が出ていった扉とは、反対方向の壁に向かって歩き出す雫。そして手を当てるとそのまま吸い込まれるように姿を消した。

 はたして彼女が個別に頼まれた任務とはいったい何だったのだろうか?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。